A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

LCR フォノアンプ 完結

B電圧はトランスタップが300Vだから、電流を定格付近まで使うと大凡表示通りになるから、それならばいっその事、250V迄下げてしまった方がより安定度が良いから、VR-150とVR-105に変更。

その前で2000μFにも及ぶ平滑になっているから、この時点でリプルは3mV以下と見受けられる。

f:id:A2laboratory:20201023143922j:image

DCヒーター点火は、ローノイズ設計で行きたいから、4700μFを4つでチョークを両サイドへ入れて平滑、最終的に22000μFを入れてリプルは3mV以下である。

一度チャージすると30mAの電球が大凡10秒弱か燈り続けた。
f:id:A2laboratory:20201023143916j:image

10mVレンジが最低だから、増幅率は悪いが、高周波のノイズを含んでいるか、薄っすらとラスタがボケて見えるから、バイパスにセラミックコンデンサを入れて、綺麗にする様に改修する。

Bの方はかなり綺麗であるが、やはり僅かながらのボケが見えるから、0.1μF以内で対策を施す。

定電圧放電管を使用した際は、同線上にコンデンサは0.1μF以内にしなくてはならないという規格であり、これ以上に大きくした場合に発振を起こす為である。

発振の原理の記述は無いが、実験した事があり、Cの充電が満たされるに近くなると、放電管の放電開始、急激に電流が流れ電圧降下、放電停止、電流が流れなくなり、Cへの充電が開始、放電開始...これを高速で繰り返し発振となる。

そもそも、定電圧放電管を動作させると、それ以上の部分にあるリプルは消されたも同然で、定格の電圧で一定になるから、大きなコンデンサで平滑をしなくても良い訳で、電流値だけを守れば、後は自動調整させたのと同じという意味合いである。

言い換えたら、固定の安定化電源なのである。

抵抗でドロップさせたのとは違う事が分かる。

この電圧に対しての電流加減は、一定であるから、終段のカソード抵抗に結んでおくと、大きい信号の時は電流が減り、終段へ電流が流れる。

逆は、定電圧放電管の方へ電流が流れ、終段の電流は減る。

従って、終段に50mA+放電管へ50mA=100mAがカソード抵抗に流れる様にしておけば、20+80mAになっても、60+40mAになっても、常に100mA一定が流れ、カソード電圧が定まるという仕掛けが出来る。

これはRCAPAアンプが採用していた。

少々計算が面倒になるが、-Cの様な安定的なバイアスが可能になり、自己バイアスの時に生じる、信号が大きい時に深いバイアスに片寄るのを抑制してくれる。

但し、計算上では上手く行く様に見受けられるが、実際はそんな上手くは行かないのが現実であるが、面白いアイデア設計であると考える。

実際組んでみた所、最大出力迄低歪みを保てる。

f:id:A2laboratory:20201023143919j:image

ICや三端子レギュレータ、FET等のトランジスタを使用しなくとも、アナログではあるが、極めようと思えば、極められる。

ソビエトの戦闘機、ミグが球式だった様に、球も強ち時代遅れな素子では無いと思うのであるが。

大きさには幾分負けるがね...(^ω^;;)

 

f:id:A2laboratory:20201024102256j:image

電源を改修してより電源から来る、“スー”というノイズを減らすに努める。

平滑2000μFもあると、幾分チャージにも時間が掛かって、初っ端は電圧が上昇と共に電流も流れてヒューズP.Lが結構光る。

f:id:A2laboratory:20201024102253j:image

安定になると2、30mAに落ち着くから、殆ど燈らない。
f:id:A2laboratory:20201024102250j:image

ノイズ率は普通以上に静かでマイクロホニックの方が上回ってしまう。

mcの様な小信号カートリッジを使う場合は床の音を増幅する様な具合だから、置く場所に気を付けないとならない。

電源とは別にしているから、ハムは皆無である。(近付けて配置すると誘導を受けるから、遠ざけて使う事)

f:id:A2laboratory:20201024102247j:image

音は、WEマニア好みの音と言うのか、電話の様な中高音にシフトしている様な明るさがある。

低域は出難く、ペン構成の低域の良く出るパワーアンプで、ゆったり低域が鳴るS.Pで鳴らすと低域を補って、バランスが良さそうだ。

あまり音を大きくしていないが、割りかしピークが鋭く立ち上がる様で、ピークインジケータがピカピカやっていた。

立ち上がり応答が良いという事は、寝ボケた音はしないか。

 

ps:最近の電話はHiFiになっている様であるが、WE201、WE202、Ateaphone 30の1920-1940年代のレシーバー音とを比較。

一番豊かな音がするのは、ベルギーATEA30。1926年製とは思えないWide-Rangeで現代的な音がする。

Siemensの電話機は軍用みたいな中高域しか出ない様にしている感あり。構造は丈夫で機構も面白いが、音はイマイチ。

国産の3号自動式の生産が間に合わなかった頃、Siemensの部品を輸入して組み立てていた時期がある。ハンドセットが割りかし軽い。

 

f:id:A2laboratory:20201024214743j:image

最終調整。
f:id:A2laboratory:20201024214751j:image

2mVスケールのあるナショナルのオシロに変更。

10Mc付近に4mVp-pのノイズがある。

可聴域もゆうに超えて、短波帯域であるから、良しとする。

定めし、外部から来る飛び込みノイズと思う。

インバータ等の電源やらを切ると消えるのではなかろうか。

静かな部分は1mV程である。

f:id:A2laboratory:20201024214748j:image

腕時計を作るかの様に、ピンセットで部品をハンダするというのは、あまり一般的ではないかも知れないが、フォノアンプの様に高ゲインの場合は、短距離配線が基本で、こうしないとノイズは防げない。

こんな様に、ラグなし高密度で組み上げても、問題はなくて、専ら昔じゃ有り得なかったサイズで多回路を詰め込める。

ある意味で、組み立て方法も1つの作品であって。

これに改造したいと挑戦される方が稀にいらっしゃるが、今後も難関、難儀する工法で組み立てて行くつもりである(笑)

是非とも機械式腕時計をバラして組み立てられる腕の持ち主は、ドライバーからハンダコテへ持ち変えて改造してみて下さい。

f:id:A2laboratory:20201024214740j:image

f:id:A2laboratory:20201024221157j:image

完成。
f:id:A2laboratory:20201024221200j:image
f:id:A2laboratory:20201024221153j:image

昔だったら、大変に巨大になる容量のコンデンサも、今では昔の47μF程度の大きさで1000μFもある。

然し乍ら、オイルコンデンサであれば、インピーダンスは電解コンの数倍は低いから、小さい容量の割に電解コンの数百、数千μFを使った時と同じ様なパワーが得られる。

やはり筐体は容量の割には大きいのであるが、其れ相応に馬力があるのは確かである。

MPコンデンサも馬力があるが、やはり値段からすると、電解は安い。

オイルコンを1つ買うとすれば、MPコンは2個買える。電解コンならば4個買える。

大体、Bの平滑であれば2個入り用になる。

オイルコンを使う場面は早々無いが、桁違いに注ぎ込む様になるし、シャーシも凝縮は出来なくなるから、大掛かりなセット用という印象がある。

 

明日また最終試聴してみる