A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

デンオン 807 AB2

f:id:A2laboratory:20200813092106j:image

807が2本、複合になったのが815。

当時のRCAカタログを見ると、807は$2.25、815は$4.50である。

2本買うならば、値段的には同じだから、1本で済む方がシャーシも小さく出来るしソケットも1つで済む事になる。

でもそれは、海の向こうの話で、我國では807を2本買うよりも815は高価な物で、簡単には手が出せなかった代物だった時代があった様だ。

 

戦後、807は放出やらで、出回った頃があったとの事で、更に当時は高出力球と言えば807という時があって、構内放送用PAアンプでは、古いモデルは807ppのセットがあった。

その後は6L6、またその後は6CA7のセットになって行く。

戦前は2A3ppが定めし高出力球としてPAアンプにもなっていた事と思われ。

時代順にすると、2A3、807、6L6、6CA7という順であろう。

PAアンプが出回る事は、劇場やらが解体にならないと、そう出回らないであろうが、出て来た時は使用の球構成で製造期が大凡判別つく。

f:id:A2laboratory:20200813092113j:image

815 AB2を納品したので、807 AB2を動かす事に。

安モノのシールド線を使っていたが、何か断線してしまったのか、線の角度によっては音が途切れ途切れになってしまって使い物にならなくなっていたから、手持ちのシールド線とプラグとで、急遽ケーブル製作。

本来は微弱信号用、フォノP.Uのシールド線で、高価であるのだけども、安モノの線とは格段にシールド性や耐久性が違う。使えば分かる。

普通一般にオグジュアリラインにこんなに良いシールド線は必要ないが、入力トランス受けの場合は、相手に合わせてインピーダンスが高くなるから、シールド線でないとハムが寄せる場合がある。

尚、ケーブルで音が変化するという類は、私は“変わらない”と言っているが、実質的には、シールドとの線容量とインピーダンスで、高域の変化があるのは間違えない。線はインダクタンス、Lであり、シールドとでコンデンサ、Cになる。

顕著に表す方法は、高インピーダンス出しで、高インピーダンス受けにしたラインに、シールド線を使う事である。

同じケーブルでも、線長30cmの時と5mの時では高域の衰退レベルが変わるから、音が変わったと感じるハズである。

最近の機材は、インピーダンス20kかそれ以下で、低インピーダンス出しであるから、シールド線による線容量の増加による高域衰退は起き難いが、長ければ長い程、衰退する。

もっと言うと、HiFiを謳ったケーブルは、高域にピークが来る様に設計してあるかも知れない。

LANケーブルは高域の伝達能力が良くないと速度低下になるらしいから、C成分には気を配っている様子。

オプチカルファイバーの線であれば、そんな事は関係ないが。

シールド線の切り売りの場合は、僅かながらの時定数が変化するから、狙った帯域に来るかは、切ってみて、測定器に掛けてみないと分からないが。

私の経験からすると、細い線程、線容量は大きく、10cmで300pf出る物もあった。

逆に芯線シースが太く、シールドが離れている様なシールド線程、線容量は少ない。

長く線を引っ張り回す際には、ちょっと高価でも太い線の方が、HiFiを維持出来る。

専ら、低インピーダンス送りにすれば、シールドは不要であり、クルクルと線を撚り合わせたら良い。

スピーカー線や電灯線がそれなのは、インピーダンスが低いからである。

f:id:A2laboratory:20200813205743j:image

今年は通電していなかったと思う。

去年も電源入れたかな....?(^^;;

1956年製のDOK デンオンの807pp。

チョークインプットで8μFの油紙コンデンサが3つ合わせて24μF1段という、残リプルでハムが出そうで出ない上手い設計。

5U4をパラに使っていて、単に電流を取ろうという事ではなく、電源インピーダンスを下げる為と、レギュレーションを良くする為の工夫であろう。

水銀整流管を使えばレギュレーションはスコブル良くなるが、大掛かりになるから、パラに使って改善しようと考えた事であろう。

専ら、シリコン素子にすれば、電源レギュレーションは最高に良くなる。

 

久し振りにの通電であったが問題ない。

通電開始暫くは、低域が引っ込んでいる様な雰囲気であったから、電源セレクタを90Vにして15分もすると豊かになって来た。

初段の方の充電が良い所迄安定した事と思われ、フォーミングという程のフォーミングにはならないが、少しは余裕が出来たであろう。

良い所で110Vに切り替え運転。

NFBが効いている為か、言ってしまえば普通だ(笑)

NF無しの時の、球らしいフワッとした感じは薄い。

f:id:A2laboratory:20200813210154j:image

ちなみに807のプレートは横付けのOPTからストッパ抵抗を通して直に引き込んである。

発振防止にも、19インチラックマウントとも都合の良い設計。

ラックから外した際に、フリントパネルは廃棄したのであろうが、本来はこの様な状態で球は見えないデザインであろう。

f:id:A2laboratory:20200813212356j:image

例えば、映画館だと、光学かディスクかテープで、モノーラルだから1台しかないパターンが多いけど、こんな様な。

分解済み&6L6の片方が空気球で使い物にならないけど、映写室に残っていた当時の状態。

そう考えるとこの807ppは昭和30年代、ステレオで入っていたとすると、かなり先行きした劇場だったんだなと。

ググったら有楽町にもあったらしいが、大手町かどちらかの放出と思われ。

f:id:A2laboratory:20200813210158j:image

-Cバイアスは裏に電圧調整とバランスとで並んでいるが、端子が剥き出し(笑)

昔の業務用はこういう危ないのが多いけど、勘が良ければ触らない(笑)

(触っても90Vだからまぁジワーっと来る程度。600Vは腕迄上がって来てかなり痛い。明日は筋肉痛確定(笑)

ナイフスイッチだって、刃には触れる状態ではあるが、あえて触ろうとは思わないだろうし、警告文が無くたって勘が良ければやはりやらん(笑)

安全に配慮するのは最もだが、し過ぎはダサイ。

今や民生機も業務用も変わらないけど、ダサイのは多分過保護にし過ぎのデザインではないかなと思う次第。

少し痺れるくらいの良いデザイン、各社お願いします(笑)

自分はもうネタ切れです(爆)