A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

バランス、アンバランス

 

 

お客さんのアンプを検査修理に出向いた時のこと。

“バランス接続にしてみたい”というご依頼だったから、キャノンのコネクタをバランスで作り替えて、バランス出力のコントロールアンプとで繋いだのであるが、何かボヤッとした音が出た。

(元はキャノン-RCAになっていた)

パワーアンプはバランス接続らしい構造ではあるが、アンバランスで入力していて具合が良いと言うのはどういうことか?
分解して回路を見るとFig4の様に接続してあった。

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整理がつかなくなって来たから、バランス接続とは、基本的にどんな動作なのか再確認。

HotとCold、これはGndに対してppの動作をするのがバランスなのだと思うが、これは間違っているのか(?)

キャノン入力のあるバランスのオシロスコープで確認すると、H、Cを結んでアンバランス接続にしようとすると波形は無になる。

従って、同相が入ると互いに打ち消しで、相殺されたという事であろう。

という事は、アンバランスで繋ぐ場合は、HかCのどちらかしか繋いではならないという意味になるであろう。

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H、Cを結んで、Fig2にになる様な動作はバランスというよりかは、DCアンプの動作の様である。

完全B級動作とも言えるのであろうが、これもバランス接続(?)と言うのか。分からない。

もしくは、この様な接続方式が一般市販品であるのであろうか?

シールドをGndに、±を出していると2芯シールドで良い訳で、一見してバランスっぽいが、多分これは±を線で出しただけのアンバランスではないかと思われる。

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お客さん所有のアンプは、Fig4の様に内部結線がされていたが、ケーブル側では2-3がショートしてあったから、実質的な回路はFig3になる。

こう見ると、結局バランスの接続風というだけで、アンバランスなアンプの様に見受けられる。
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Fig4のこの回路へ、ppの出力を入れたとして、バランスがH、C共に揃っているならば、出力は相殺されて出なくなりそうであるが、実際は音は出た。

然し乍ら、何かモコモコとしたハイが消えた様な音で、低域も薄い感じがした。

要は、バランスで歪みのある帯域(?)乃至、揃わない帯域の音が出た可能性を考えた。

という事は、低域の一部と、高域の一部は相殺する程の精度で出力されているが、中間の帯域は、互いにズレが生じていて音として出た。という結論で良いのであろうか。
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入力トランスを調べて、中間タップがある事が分かり、これを1番とアースへ落として試聴すると、今度は澄んだHiFiと言える音が出る様になった。細かな音も綺麗に出ている。

中間タップにはハンダが乗っていない様だったから、元々中間タップは使わない設計だったと思われるが、これで満足にバランス接続可能な機材として売っていて良いのか疑問である。

また、バランス出力の機材の2-3をショートさせてアンバランスにするというのも、誤っている様に思える。

やるならば、1が+、2を開放で3が-アースで良いのではなかろうか。

トランス出力だった場合に、2-3ショートでは、片方の巻線側がショートになって負荷になりそうである。音は出ると思うが。

もしくは、アースがフロートされているならば、1+、2- アース、3開放でも良さそうである。

この場合、600Ω出しの場合は、インピーダンス1.2kΩになる。

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キャノンコネクタが付いているからとバランス入力かは、内部回路の設計次第であるから、外見だけのミテクレだけでは判別は難しそうである。

特にメーカー品でない場合はかなり怪しい。

というのも、RCA-XLR入出力の出来るというコントロールアンプもお客さんはお持ちであったが、やはりこれもトランスの中間タップが無い物で、他の例えばBTS規格の機材との互換性は無さそうであった。

専ら、XLR対応にするならば、増幅段を全て直に受けてpp動作をさせてやれば、入力トランスやら出力トランスは不要なのではないかと思う。

こういうのを完全バランス式という物と思うが、ここ迄凝ったコントロールアンプはそうそうに無さそうである。特に球では。

 

 

ps:訂正。

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Fig5 接続順間違え。