A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

発振するプリアンプ

f:id:A2laboratory:20200705202422j:image

先日修理を頼まれたフォノイコライザ付き、ラインコントロールアンプを早速修繕する。

ナットが会社で見た時から緩んでいたが、全体に緩々だった様で、ガチャガチャになって届いた。
f:id:A2laboratory:20200705202412j:image

電源部がベナベナに曲がって、取り付け足も外れるという悲惨具合。
f:id:A2laboratory:20200705202425j:image

どんな構成になっているのかと思ったが、普通過ぎて面白くなかった(笑)

こんなに大きい板な必要があったのだろうか(; ^ω^)

更にAL薄板っていう。手で曲がりは修正できた。

トランスを乗せるならば、最低でも2mm位は欲しいかな。曲げ板ならば1mmでもペシャンコにはなり難いが、一枚板はなぁ…
f:id:A2laboratory:20200705202347j:image
f:id:A2laboratory:20200705202430j:image

シールド線が多用してあって目が回ってくる(^_^;

更にグチャグチャと這っていて気味悪い。

端子に番号と線に付箋があるが、パッとみると1st、2st、と段階を踏んで、SEL、TC、ATTとなっているから、ぱっと見で分からないのに修理しようというのは、少々難しいかなと思われ。失敗する可能性は高い。

パッと組み上がっている回路を見て理解ができないのであれば、修理は断った方が後々を考えて壊すよりか良いかと考えている次第。

難解過ぎる構造も困るが(; ^ω^)

勘が効かないと、とにかく機械も電氣も上手く付き合えない。
f:id:A2laboratory:20200705202403j:image

シールド線の赤はGNDに落としている様で、シールドは浮かしているのか?頭が良過ぎる人の組み立ては理解が難解である(; ^ω^)

単にアース忘れでもなさそうだが、なんだろう(^_^;
f:id:A2laboratory:20200705202418j:image

dBとあるが、メモリ表記も動きもVUかな…

左はLEDに前修理人がした様だが、右は電球の儘で切れていたから、ランプ交換した。

ランプは球ヒーターと同じく、AC点火だから、チラつきが出て指針がパラパラ漫画になってしまうものだから、LEDは取っ払って電球へ戻した。

配線はされていなかったから、多分修理が面倒になって外したのかな(; ^ω^)
f:id:A2laboratory:20200705202351j:image

問題の発振ユニットをバラす。
f:id:A2laboratory:20200705202408j:image

リードの遊びが凄い(; ^ω^)
f:id:A2laboratory:20200705202406j:image
f:id:A2laboratory:20200705202354j:image

外れ1

やはりB+から外れている。

カソードフォロアでも無い様子。

調べたら1段目のフォノに行ってた。
f:id:A2laboratory:20200705202416j:image

外れ2

これはグリッドリークであろう。

GND側が離れている。

フォノ2st EQ段だ。
f:id:A2laboratory:20200705202438j:image

良く良く見ると、GND線が2本入っている事に気付く。

1点アースをしようと頑張っている様だが、不適当にGND線を引っ張り回しているから、統一感が全く無い。

至る所から出して、色々な所を渡っていて、ループが出来ているのではないかという場所さえある。
f:id:A2laboratory:20200705202432j:image

こんな状態だから、追うに追えず(; ^ω^)

ひとまず、使う線と新しく引き直す線とで整理して行く。
f:id:A2laboratory:20200705202436j:image

付箋のついたGND線は取っ払って、新しい線を引いてやり直す。

主に束ねていない線は廃棄。
f:id:A2laboratory:20200705202441j:image

そうこう触っていると、回路全体が見えてきた。

12AU7 6段構成、内前2段はフォノ、中2段TC、終段2つはPPで出力トランスに入っている様子。

バランス入力にはなっているが、CD、AUX以外はアンバランスで、TCのVRは2連ではないから、バランス受けでも結局アンバランスに落として、それを終段でPPでトランスに送って、600Ω出しをしている様に見受けられるが、600Ωはアンバランスのタップしか無いから、結局…という感じだ(; ^ω^)

キャノンコネクタはそれっぽいが、最終的にはアンバランスっていう。

RCAで良いじゃん(^_^;
f:id:A2laboratory:20200705202357j:image

外れを改修、部品配置の整頓をしながら問題がないか見たが、特に部品的問題はなさそうだ。

発振がどういうループで起きているのか探らないとならない予感がある。

そもそもB+が100μF2つで済ませただけの古風な民生機みたいな回路構成だから、電源インピーダンスは高めだろうと推測。

残留ノイズは結構多そうだが、会社で通電した時はハムノイズはあまり感じられなかったが、発振している音と共に、入力ソースの音楽が変調されて変な音が出ていた。

もしかすると、初っ端から問題を抱えていたのではないかと、薄々思ったり。

 

 

f:id:A2laboratory:20200706014109j:image

ユニット毎に通電試験してみる。f:id:A2laboratory:20200706014121j:image

早1stで7kcで発振している。
f:id:A2laboratory:20200706014124j:image

2stのグリッドに15kcが現れている。

触っても変化がなく、非常に安定して発振している。

1段目の入力と2段目のプレート、カップリングが隣り合わせに配置してあるから、ここが怪しい。

ガタイの大きいオレンジドロップを動かすと発振周波数が変化した。

ここで間違えない。

アースに片方クリップした線を寄せて、更に発振源を絞る。

どうやら入力の線らしい。

グリッドリークは250k辺りが入っていて、ハイインピーである。

大体Magは50k負荷がメーカー指定が多いから、50kを入れてやると発振はピタリ止んだ。
f:id:A2laboratory:20200706014112j:image

次はヒーターハムが回り込んでいる。

綺麗な50c/sが現れている。

f:id:A2laboratory:20200706014118j:image

AC点火だから、ハムバランサを入れるのが普通だが、これは入っていない。

バイアスを掛ける方式でもなく、単に浮いている。

固定で良いから、バランスしてやると、ハムも綺麗に消えた。

もう片方のユニットも同じく発振していて、同じく修繕しておいた。

ハムバランスは共通だから片方だけで良い。

しかしながら、もう片方の方が、ハムが大きく、TC段で20mV以上あった。

最終出力には10mV以下になっていたから、まぁ無視できる程度かなぁと。

試しに試聴して、判断するかな。

f:id:A2laboratory:20200706014115j:image

発振原因メモ。

あれだけシールド線を這わせ使ったのに、ユニット内では一切使わない、そしてハイimp構成という、かなり分かっていないなぁという印象。

それか、ハムやら発振に困ってシールド線を多用したのかも知れないが、まぁ出来の悪い品物である(ーー;)