A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

2019/09/03

50、60dBの増幅器となると、どうしても気になり出すのがノイズ。

一概にノイズと言っても、様々あるのだが、今回はヒーターハムを徹底して排除したい考え。

色々試したので、一部抜粋。

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電源の内容はこの様。

電灯線側のCは、シャーシの電位が高い場合に誘導で痺れるのを伏せぐ意味と、高周波ノイズを下げる為に入っているが、通常は入れなくても良い。0.1μF以下。


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AC点火でハムバランサーでも幾らか静かにはなるが、フォノモーターと同等か程しか静かにならなかったから、DC点火とした。

Cは22000μFで試した。

図1はセンタータップをアースしたもの。

効果はAC点火でハムバランサーを入れた時と同じ。
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図2

ハムバランサーにBバイアスを引火した。

ヒーター線のどちらかを触るとハムが増した。

ハイインピーダンス気味か?

図1よりか静かだが、まだ残る。
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図3

CTにバイアスを印加。

逆効果。静かにならない。

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図4

ハムバランサーをアースに落とす。

かなり静かになる。
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図5

全波整流をする。

脈動が少なくなり静かになるが、端子に触れるとハムが増す。
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図6

全波整流してハムバランサーでアースする。

図4程大きいCを使用しなくて済むが、電圧が落ちるから、少し高い電圧のタップを使用した方が良さそう。

 

 

 

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 急仕事がひと段落したので、寝床で思いついたデザインを早速加工してきた。

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危ない石橋を叩かず渡ってみる(笑)

かなり冒険的。

部品の入手が難しい物を省いて、昨今のスタンダード現行品で対応出来る様にしたC108っぽいのを考えている。

オリジナルに近いのか遠いのかよく分からなくなってきている(; ^ω^)

アレンジの方が大きくなっている感はあるが、良いところ取りの寄せ集め感もある。

日本人やドイツ人が得意な改良を施す分野である(笑)
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自分が温めていた回路でも組める様に、シャーシは使いまわせる様に穴開け加工はちょっと頭を働かせた…つもり(; ^ω^)

ただ自分が考えている回路だと、モノーラルの単発になってしまうかな…

NFでMMもMCもゲインをコントロールしつつ、初段で発生する歪みを回避しようという回路で、カーブはNF、CRの構成。

デコードカーブも連続可変で、どんなディスクにも、カートリッジにも対応させちゃおうという、欲しい事を詰め込んだ構成に。

実際組んだ事は無く、紙の上では完成している感じだから、試したいというのもある。

 

 

 

 

 

 


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しばらく、5B38シングル 150Wや、UZ-42 P-PPや、117N7の不作試作機で鳴らしていて、結構満足行っていたし、暑いし、電力事情が悪くて寝かしていたのだが、”良い音”の基準が自分の中でズレて来た感があったから、起動させてみた。


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デンオンの劇場払い下げの品物。千代田区に今も建て直しをして現存のホール。

本当は正面の球ガードの蓋みたいなのがあったと思われるが、ラックから外した際に、廃棄したと思われる。

シャーシには罫書き線とセットプレスを使った形跡があるから、誂え物で、数多く作った物とは思い難い。当時はかなりの値段だったと思う。

バランス・アンバランスを結線で変更可能なトランス入力式。

初段はX7で、P-K分割して6AQ5でUY-807を押している。

贅沢な仕様であるが、送信管は最高出力に近くとグリッド電流が流れる様になって、フルスイング前に歪みが急激に上がってくるから、これを防ぎ、フルスイングする様にカソードフォロアで押している。

定格は30Wになっているが、おそらくもっと実力はあると思われ。

確かめていないけど、Tannoyの80W Maxが危険そうな位の音を出した事が映画を見ていた時にある(笑)どれだけ出るのかチェックすれば良いのだが、1台20kg以上ありそうで、めちゃんこ重い。

単発のクセに、電源2つ、スムージング1つ、OUT1つとトランスばかりせしめている。

チョークインプットが鳴らない様に、デカイというのもある。

Bは8μFの紙巻オイルが3筒で、24μFで平滑しているが、ハムはほとんど無に近い。

スピーカーに耳を当てると、僅かムーと聞こえる。

あとchが若干鳴っている音がエンクロージュアーに伝わっているかもしれない。

 

あと、モチロンの事、1955年代の代物であるから、部品交換の手入れはしている。

金属ケースのペーパーオイルは絶縁が良いので其の儘使用しているが、オイル切れになって絶縁低下を起こすと結構高圧が掛かっているから、最悪クラッカーになるかも知れない。

が、まぁケミコンじゃないから、油煙吹くくらいでしょw

金属ケース入りだし大丈夫 大丈夫w

 

※不具合が生じ始めたと勘で分からない乃至、経験の無い方には高圧やら色々と危険なので、専門の職人にOHしてもらった物を購入する様にするか、新しい安全な物を購入する事をお勧めします。

古い製品は非常に危険が伴い、オイルコンがパンクした時は、蒸発するレベルに熱くなった油が飛散しますので、火傷で済まなくなる場合があるのは事実です。

こういった様に、裸で端子剥き出しで使うのは真似しないでください。端子に触れても感電の危険が伴います。

 

 

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大きさ比較。

笑っちゃうけど、こんなにデカくて単発w

こんなに小さくてステレオ(笑)っていうw


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 奥行き(笑)

 

っで、肝心の出音。

ははぁ〜ん、なるほど、そうそう この音だわ。

 

NFが掛かっているというのもあるけど、低域の押しも引きもかなりシャキッとしていてホワホワっとした感じは無い。

ゆったり鳴るというよりかは、ドンと鳴り怯み無い印象。立ち直りの良さもズバ抜けている。

少し球らしく無い雰囲気もするが、C電源の平滑はシリコンだが、それ以外は全て球。

映画で”おおぅ!”とビックリする音の出方に近い。

パワー感と飛び出方が、小さいのとは1枚も2枚も違う印象。

残念だけど、作った小型アンプは負けている。チクショーメー!

でも良いのさ。これでまた改良しようっていう目標ができて。

 

面白い事に、石のパワーアンプ、デノンのPOA-1001やPioneerのM-73と比べると、瞬発力の良さは同等なのだが、硬くない音がする。

その辺りは球っぽいが、歪みっぽいソースを再生すると、綺麗に歪みぽさが再現されるから、かなり高忠実度ではある。

自分の中では、fm局内スタジオのモニタルームで聞いた時の音に似ている気がして、これを基準にしようと決めているが、それは自分の基準であって、目標としているだけである。

自分は、これ以上に何を求めるか、という質に思っているから、多分これを超える物はそうそう現れないと思う。スピーカー特性の和の様に、和を広げる事は多分難しいことと思われ、良いバランスで仕上がっている事と考える。

 

MS737も変な音を極めるには使えなくもないが、良い音で鳴ってしまう部分も多いから、品物によって、極める物、ある程度余裕を持たせた物とで、区別した方が良いのかも知れない。

コストをなるべく落として、これと同じ質に持って行くのは、無理難題。

例えば、プロの代わりに素人を安く雇ってきて、プロと同じ事を再現してくださいねって言われても、そりゃ無理があり過ぎる。そうじゃなきゃプロが不要になってしまう。

それは有り得ないから、プロがいるのであって、そこは理解をお願いしたいところ。

 

デンオン研は、元々トランス屋(?)の様で、業務用アンプを誂えで作ったり、後に商品名:DOKORDER を輸出向けに作っていたり、晩年はアーケードゲーム機を作っていた様である。

よくデノンと間違えられるが、大田区にあった会社で、電気音響株式會社、古くは電音研究所と銘板に記載あり。その後、村田製作所に買収された模様。

 

 

瞬発力と低域のドッカリ据わった音は5B38が一番すごい表現をしてくれる。

不思議な観客側の臨場感や、聞こえなかった音が不思議と小さい音でも聞こえるという謎の実力。これが良い音なのか、それとも面白い音なのかは分からないが、この球じゃないと再現が出来ないという結果に今のところ至っている。

ある大きさを超えると、電子的?な事なのか、製造が違うのか、構造が違うのか、違った世界が見えてくる。少し危な目(; ^ω^)

 

最終的には、気にいるかどうか、という問題なのだが、一般的に良い音というのは、HiFiであって、音が大きくできるっていう事と思う。

”良い音”と使いがちであるが、何がどう良いのか、かなり意味のわからない語なのは良く分かっているから、控えようと思っているのだが、つい使いたくなってしまう(; ^ω^)

雰囲気の伝わる表現を努力します(^_^;A