A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

2019/07/08

手塚時計 POPPOでお馴染みですが、アニマルクロックも作っていた様で、今回は目の動くワンコが再入院しました。

去年にコハゼのスプリング切れであったと記憶していますが、また外れてしまったそう。

 

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ゼンマイ巻き鍵を外すのに、空転してしまって、引っかかりが無いので外すのが困難に。

なんとか隙間から細いヤットコで挟んで回して。
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それとこの時計の珍しい所は、オキュパイド時代の代物で、JHQが居た時代の製造となる訳で、数年ではありましたが、戦後の一時期に作られた貴重なモノの1つである事でしょう。

機械にはTEZUKA CLOCK、OCCUPIED JAPANと刻印があり、オリジナルっぽい雰囲気もありますが、この機械のプレスは精工舎の小型8DAY置き時計(ウランガラスや大理石、ブロンズ)に使われていた物に非常に似ている。

OEMなのかは不明である。
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コハゼ部分は製造が荒いのか、バリが裏板の部分で返っていた様で、食いついてしまった模様。

バリ取りし、洗いにかけて動作を確認。


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組み上げ暫くは動いていたのだが、止まる様になってしまった。

どうも力が3番車に至っていない。

2番車の本剣をチェックすると、長針が文字盤に干渉している事が判明。

どうやら、文字盤が反っている様で、15分側では干渉しないが、45分サイドでは完全接触してしまうという問題で止まっていた。

風防とはギャップが大きいから、少し上向きに調整し解決。

ゼンマイの長さからして、1日巻と思われる。(36時間程)

目の玉はアンクルから針金が伸ばされていて、それが両目の球に接触する形で触れて、負荷にならない様に気を使ってある構造である。

逆向きのハンガーの様な形をしていて、針金の自重で中央に寄り、それに同期する。

目の玉に触れても、針金の上を滑って時計は止まらない様になっている。

実用品として機能はしているが、過度に使うと、時代が時代な品物であるから、ガタが早く来てしまうかも知れない。

戦後の間もない頃の出来としては、かなり良質の材料であると思われる。

精度もそこそこ出ていて、良い部類である。