A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

切れたゼンマイの継ぎ合わせ

先日のFrance製、JAZの掛け時計のゼンマイを加工する。

幅は10mmで、交換ゼンマイが入手不可と思われし、中腹で破断したから、これを接ぎ合わせる方法とし修繕する。

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石で削り、形にする。

鋼相手だから、石がすぐ減るが、致し方ない。

バネは鈍すと、加工した部分から千切れるかも知れないから、其の儘の方が良かれと考える。
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迫り合いを考えて内側に引かれる方を上面に、外巻きを内側とした。

こうすると、穴を開けた部分との干渉が互いに打ち消し合うと考えたからである。

極力、面の接触干渉を少なくしたい為で、この干渉が大きいとトルクが変わってしまい、精度に影響を及ぼす。
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確認しながら加工を進め、入る様になったら、バネが互いに同じ高さにあるか見る。

同じ高さにないと、この部分が突き出て、やはり上手くない。

遊びが大きいと、これまた破断する原因となるから、勘と手際が肝心になる。
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完成したら、ヤットコで互いを押し合わせて、段ちを少なくする。

ちなみに、両面共に断面はテーパーにとってある。
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洗浄した後、機械へ組み込んでみる。
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巻いて干渉具合を見る。

然程干渉している様子もなく、テンプが振り始めたから、上手く行った様だ。
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とりあえずは問題なく運転しているが、しばらく様子見とする。
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お得意のローコストカバーである。

全体覆うよりか、確かにコストは掛かり難いし、デザイン変更しても転用が利きそうである。
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枠は事前に磨いておいた。

単なるアルミではなく、アルミ合金の様で、固かった。
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試運転。

 

 

 

この前から休みをとってた事もあるし、時計OH/修繕の仕事はめっきり来なくなった。

そりゃそうだよね、宣伝もしていないし、潰れる時計屋は多いから、その1つと思われても不思議じゃない。

物好きも少なくなる一方だろうし、今さえ良ければ良いとの考えの持ち主が多い様に思う。

後世に残すのなら、やはり手入れは重要だ。

その腕も確かじゃないと後世には伝わらないが…難しい