A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

親時計 御機嫌斜め

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新しい子時計を追加して具合良かったのも束の間。

全体がバラバラな時間を示す様になってしまって。

ある子時計は遅れ、またある子時計は進み…

30秒式と60秒式を混在させて動かしているから、微妙なエラー信号が、それぞれを曖昧に動作させてしまう原因に。

コイルに電気を送り、切断すると起きるのが、逆起電力である。

±が反転してコイル側から電気が現れる現象。

ボールを地面へ落とすと、元より低い位置迄跳ね返って来るのがそれと同じである。

但し、コイルの巻きが多い場合には大きな逆起電力が発生するから、感電する。

電話機のレタデーションコイルは結構巻いてあるのか音声がある時に触ると感電する。

その様に、感電するのであるから、コイルとコイルを繋いでおくと、逆起電力によって、相手に電気が送られて、瞬間に電磁石になる訳である。

 

初めは子時計自体ももうかなりの年月が経っているから、不具合が起きても不思議ではないから、その進み遅れかと思っていたが、どうも違う。

その証拠に、エラーを親時計が起こしているのを目撃したのである。
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一旦、第一スイッチを押し上げるものの、半掛かりで第二スイッチに触れるものだから、トルクの伝わりが悪く、止まってからバックを起こすらしい。

そうすると、第一スイッチが2回打電する事になる。

そうやって1、2、1、2…の規則正しい信号から遠ざかり子時計がバラバラに動き出す。

本来は完全に分解掃除をした方が良いのは分かっているが、これを止めると各部屋の子時計を合わせに回らないとならなくなるし、後々迄時間を要するから、停止させずに給油だけにした。

そんなナマクラやっているとツケが回って来るのは重々承知であるが、今日の所は勘弁である。

 

それと気になったのが、錘に付いている滑車である。

あれのコロが、押さえ板側に触ってガリガリとやるのである。

ワッシャかで寄らない様になっていないのがトルク伝達の悪化な可能性も無くは無さそうな気がして。

ただ江戸時代から変わらなそうな、鋳鉄の滑車で、微妙に小さいから、交換すると言ってもなぁ…

ファイバーでも真鍮でも隙間に咬ましてくれていればなぁと思ったり。

結局、ゴロゴロ動かしてやって、これまた油差しして。


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ダイアルは結構茶色に酸化膜が出始めた。

錫メッキのもあれば、銀メッキのもある。

美味しい洋モクをプカプカやりながら、磨き粉が出来上がる迄待つ…というか吸う(^^;;


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灰は銀に作用するから、ちょっと擦り込めば白くなる。

かなり生臭い。
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戻す。

動作は続いているから、秒針を合わせて、大凡数が合っている子時計に合わせて指針を取り付け。
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組み上がったら、毎度の馬油で拭いてやって。

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仕上がり。
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合わない数台の子時計を強制で送って一仕事終わり。