A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

低域を持ち上げる

修理済品の出荷をして、入れ替えに搬入。

物量は相変わらず(笑)

 

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先日修繕したSopiaのフォノ付ラインアンプが出戻り。

内容は低域がスカして物足りないので、持ち上げてほしい。という依頼。

終段はWE-104Dシングルで、フィールドの12インチを鳴らす訳で、かなり低域は持ち上げてやらないと鳴らない構成であろう。
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片chずつ、抵抗結合と変圧器結合とにして調べていたら、モノーラルとの切り替えSWが不自然な動きをしている事に気付き、ステレオも変である。

前受け取った時は、電源のケミカルが飛んでいたから、そっちばかりで、増幅の方は切れたトランスの交換だけで、特に壊れていないと思ったが、予想外の状態だった様だ。

そんなで、ステレオで信号を入れていると分からなかったが、片一方にしか入れなかった時に、ステレオセパレーションが非常に悪い。

何かと思ったら、モノーラルミックスの為に、抵抗で両chショートしてある割に、Lchのモノーラルで、抵抗で常に薄くミックスしている状態であった。切り離れない。

3接点3回路で、2回路しか使っていないから、これを全回路使って、モノーラルミックスの時だけ抵抗でステレオショートさせてミックスになる様に変更。

配線も不思議な事になっていたからやり直し。

ステレオが薄くミックスされている事で、中心が出ている様に聞こえていて、これが好みであれば、22kで両chをショートさせておけば良いという事になる。

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これによって特性が悪くなっていた訳ではないが、50c/s以下は下がり気味で、聞いていてもやや低域が引いている程度に感じるが、12‘フィールドにWE555を上に合わせている事を考えると、かなり持ち上げないと、出ている様に聞こえないであろう。

それに追い討ちをかける様に、104Dシングルでトランス結合(?)で低域は出難いから、ドンシャリを合わせてフラットになりそうである。
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試しに、入力トランスが600ω以下だった事を想定して、どの位下がるのか見てみたが、結構減衰した。

600ωではまずまず変化はそこまで大きく無い。

 

それで、低域の持ち上げ方であるが、CRでフィルターを組めば良い。

昔の電蓄やラジオもそうやって音色調整をやっていた。

低域を持ち上げると言っても、実際は持ち上げていない。

ローパスでハイを落としてゲインを上げると、ローブーストした様になる。割と単純。

後はどの周波数帯域から下げるか決めたら良いが、Cだけを入れると、完全なカットオフになるから、そこはCRで調整する訳である。

ラジオでは、直にCだけを入れて調整してあるのもあるが、凄い減衰量だから、ハイが出なくなる。

長いシールド線と同じ効果。

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計算をしたが、実際やってみると合わないからC&T。

耳合わせで出過ぎかなという位でf特を見るとこんなだった。

ちょっとしか上がっていない様に見えるが、ズーンと凄いのが入ったソースはよく鳴る。

専ら、中高音の派手さが抑えられて、マイルドに聞き易くなっている。

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もう少し浅くして、聞き直して、ライン部は良しとした。

 

 

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次にフォノ部であるが、これがまたRIAAなのか疑問なカーブ。

低域が平坦でブーストしていない。

ラインでブーストしていてこれだから、山になっているだけの様。低域は出なくて当然の様。

SP盤の再生用途にしても、OLD78かな。

不思議な特性である。

とりあえずEQ時定数は変更、もしくは回路変更が必要か…