A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

OS51 アンプ

タングスラムのOS51は傍熱管で、前のPT15は直熱管だったから、その差がどんなものか知りたい次第。

もっぱら、送信管と元々拡声器の球とで、無理出来るレベルが違うが、OS51はppで194W出る球で、凄い事にAB1級で、194Wが得られる。KT150とは比にならない程やり手であるが、何故か国内では知名度は低いし何処でも売っている代物ではない(其の儘で良いが)

欧州では一般的な物のようだ。

 

電圧が低いとどうしても、AB2迄振らないと、良い部分の動作点で使えないイメージはあるし、ドライブが負けたら、それこそ出力管のパワーの意味が台無し。勿体ない使い方と言ったらキリがない。

12AX7は低雑音改良型の12AD7があるが、テレビジョンのカスコードチューナーの初段に使われていた事もある球で、RF増幅、局発には良いが、次段で12AT7で受けて、ある程度のパワーを得て出力している。

これを見習えば、AF帯でも、初段X7/D7で、次段にT7/U7で受けて、終段とした方が、終段はフルスイングする。

ただ、これだと初段が完全に動作する為にゲインが定格の100倍近くになり、次段で50倍あったとすると、トータルで150倍近くになって、100mVの信号で15Vになるから、高感度になる。効率が良いとも言える。

普通一般にX7初段に終段を繋げると、μは50も出ない。2、30が良いところであろう。

6V6でも古いギターアンプは6SJ7初段というスタイルがあるが、これは理に叶っていて、6V6をフルスイングさせるだけのパワーが6SJ7にはある。(Pd2.5W)

一般的なX7、6V6構成よりか、パワーのある音がするし、出力も得られる。

実験に、X7初段増幅、X7カソードフォロア、6V6終段でやってみたが、カソードフォロアにしても大差無く、出力は1W程度しか得られず、のっぺりした音だった。

電流を多くしたいが精々1mA程々しか流れなかった。

フィールドスピーカーでそれだったから、昨今のユニットでは、もっと鳴らないと思われる。

 

その点、OS51でも同じで、Rável VR 102の回路によれば、ECC40が指定されていて、これは6SN7、12AV7相当、若干のμが低くて12AU7。

これをP-Kコンバーションし、終段に送っている。

計算上では1.28mA流れている。

それで194W出るのだから、OS51のグリッドは低燃費で良く動く事が分かる。

Ep電圧は1kVと高いが、これはA1の範囲でフルスイングさせる為に必要な電圧である。

OPTへ入ると、信号の+は変調すると反転するからカットオフ動作になり、-時にトランスの逆起電力でEbよりか大きい信号が現れる。

最大でEbの電圧程が出るから、Ebの2倍。

1000Vであれば2000Vは出るから、絶縁が良い事は言うまでも無い。

この原理で、昇圧スイッチング電源は成り立っていて、高周波のパルス波をチョークトランスへ入れて、そのON-OFFで高圧を得る。

ONの時には殆どコイルは抵抗値が無い為に、ショートに近い様な動作になり、OFFの時に逆起電力が発生する。

これを100kc、またはそれ以上でスイッチングする事で、凹凸の少ない高圧が得られるが、そのスイッチング周波数は耳では聞く事は出来ないが、ノイズとして現れる事は間違えない。

小さい部品で大きいトランスの役割をするが、聞こえないノイズが多量に出る。

また高周波は電波と同じで、その周波数が撒き散るから、対策が極めて困難で、シールドケースに貫通コンデンサを用いて取り出すのが良い。

結局の所、ここ迄施し、最適を得るとトランスの方が安上がりで、サイズも小さく出来る。

外来ノイズは電燈線に依存するだけである。

そこ迄やってあるスイッチング電源のアンプは一部で見た事があるが、大凡の安物は、その様な事はしておらず、ノイズはダダ漏れ

オークションで自作のを売られているミテクレの良いやつは、その類で貫通コンデンサもシールドケースにも入っていないし使っていない。

電源はセパレートに分けている様だが。

まぁまぁ、すぐにまた買われた人が売りに出す程だから、聞こえない帯域の不満を覚えるのか、不安定要素の高い電源の音がするのか、説明では一切良い事にしか触れないから分からないが、大凡そんな事ではないかなと推測。

 

そんなこんな、世間一般にウケの良い、整流管5U4が3本に、6SN7が3本の構成で、組める様に誂えたP.Tと、欧州管で揃えられる様に誂えたP.Tとで、2台を組んでみて、どの位異なるか、実験してみる事にした。

6SN7であれば、MTコンバーションソケットを使えば、V7であろうがU7であろうが、差し替えが出来る。これは作る。

一方の特殊欧州球で揃えた物は、互換が薄いし、現行管は刺さらないから、これはこれになる。

双方で桁違いに異なる部品構成で作っては、違い云々は球に依存せずに部品で違うという話になるから、なるべく揃えた構成で作る事にする。

尚、6SN7の方は、Rávelの回路図通りの構成、時定数に近く作ってみる。

NFは掛かった回路指示されているが、これはON-OFF出来る様にしてみる。

NFBが無いとまともに鳴らないトランスは一応使っていないつもり。