欧州風イミテーション電話機かなと思ったが、見て見ないと分からないからとりあえず買った。
イミテーションにしては出来が良過ぎるから、多分ホンモノだろうなと想像。
とりあえず、知りたいとなったら買ってバラして確かめるしかない(笑)
答えは本物。
ダイアルはグッと重く、固着が酷いから年代物の証拠。
ハンドセットには“164 64”としか入っていなくて、何処の製品なのか全く分からないが、欧州である事は間違えなさそう。
エボナイトでアールデコだから、ベルギーじゃなさそうだし、ドイツでもなさそう。
一時期のは鉄箱が多かった。鉄箱にダイヤル部分だけエボナイトの組み合わせだったり。
ハンドセットも、ネジ込み部分が鉄枠だったり。
Oups。こりゃ驚いた。よく見たら0の前が1だぜ。
オーストラリア仕様でないか。
9を回すと、こちらでは1であるが、向こうでは逆数なのだ。多分唯一だと思う。
110番は990番になっちゃうし、177は933(笑)
東京03は07番にwww
使うにしても気持ち悪いが、どうしようか(^ω^;;) 考える
開腹。
カビてはいるが、綺麗なものだ。素晴らしい出来栄え。独特のニオイがする。
ドイツ シーメンスの電話機も同じ様な構造だ。
どちらが先かは分からないが、何処も似る様だ。
素晴らしい出来栄え…それしか言い様がない。
壊れそうにないレベルな素材と組み合わせである。とにかく凝っている。今や真似できない。
然し乍ら、ズッシリ重いのは致し方ない(笑)
この機種の面白いのは、自動交換機対応でありながら、オペレーター呼び出しの発電機があるという。
更に共電式ではなく、遠方用の様な、バッテリーを必要とするローカルバッテリー式の回路図が貼ってあった。
レタデーションコイルは、まさかの針金鉄芯。
WEの初期の物がやはり同じく針金鉄芯であったが、WE以外でも針金鉄芯のトランスがあったとは…。
ダイアルが重いのは、常にガバナーが連結になっていた為。
ガバナーの前にある、ラチェット歯車が錆びて空転しなくなったのが原因である。
バネが緩む一方方向へはスルーするが、バネが締め付けられる方向へは連結する。
これがまた直すのが大変で、ボール盤で咥えて、地味に給油して少しづつ動かして、錆び取りして動く様になった。
組み戻し。
OHをしても10pps以下に遅いからガバナーを調整して10ppsに合わせる。
古くなるとガバナが広がって接触が大きくなって遅くなるらしい。
速度メーターも電話試験機もあるから試験出来る。
組み立て。
回路は共電式ではないし、自動交換機を使う場合は、本体の正面にあるボタン、Automaticのスイッチを入れる事で自動化されるらしい。
遠距離用41号Mに似た構成で、それにダイヤルを付けた感じがある。
此の儘では、回線を繋いだ途端にベルを通して1kΩ負荷のオンフック検知をしてしまい問題がある。
更にバッテリーが無いと送話が出来ない。
もっと言うと、フックスイッチよりも前にダイアルキーがあると、オフフック状態でダイアルすると交換機はキーが打たれたと動作状態にしてしまう様な気がするが、向こうの交換機の構造がよく分からない。
ベルの中間でバランスする方式も初めて見る。
共電式に対応させるべく、回路変更して構内自動交換機で試験してみる。
手始めにローカルバッテリー式を共電型(セントラル式)へ変更する。
基本回路はトランシーバーとバッテリー、トランスでループし、2次側にレシーバで、局線に行く。
トランスによって送話される音をフィードバックで聞きながら先方へ送られる。
トランシーバーの部分はDCバイアスが印加され、レシーバ側はAC回路である。
丁度これは増幅の段間トランスに似た様な状態である。
問題なく使用できたが、返ってくる自分の声が大きい。
レシーバに150Ωを挟んでみたが、今度は先方の声も小さくなってしまう。
改修が必要。
調べると裏に書かれたN1071というモデルらしい。種類はA〜で複数ある。
1950年代(?)の物らしい。案外新しい。
センターラベルの保護面には、Kobe Custom House 神戸税関 48. 11. 2 通関済(?)102 Cleared.
と外からハンコをついた事がわかった。
S48年に輸入した物なのかな。
にしても、そこに押すかね(^^;;
キー送信時にも、ブツブツと結構な音がするから、ミュート回路をレシーバ部分へ挿入する必要がある。
最終的にベルのコンデンサは受話側と共用にすれば1個で済む事が分かったから、合理的になった。
キー送信時にはハンドセットの回路は閉になるからバタバタとキー音はしない。
返ってくる声が大きいのは、トランスを逆巻きでNFBを掛けて軽減したが、高域が下がっただけで低い方は相変わらず戻って来るのは大きい感じはする。
位相が合わないから完全に打ち消しされない。
よって低域に歪みが大きい事が分かる。
歪み率は昔のデータでは、20%が良い程で、40%以上あった様だ。昔の機材はそんなもんである。
先方は普通、聞き易いとの事であった。
2台あるから、改良を重ねて交互に試験していた。
1発目は綺麗に行かなかった(^^;;
もう1台は手が慣れて綺麗に仕上がった。
ローカルバッテリー式からセントラルバッテリー化完了。
ハンドルは飾り。交換機を壊す事はないと思うけれど、不要だから線は外した。
ウェスタンよりも深いラッパ付きのトランシーバーが良い感じ。(感度を高める為に付いている)
感度も良いし、カーボンのガリもまだない。
ユニットを見てみたかったが、エボナイトが膨張しているか、渋くて回らなかった。
無理矢理やると割るからやめた。問題があればホットガンと油を少しくれてやれば回り出すだろう。樹脂物に無理は禁物。
壁掛け式の保留スタイル。
デスクトップだと、机にゴロンで良いけれど、壁掛けの場合は置く場所が無いから、考えられている。
国産のはこういう配慮が無い代わりに、メモ台なる背板が別売であった。
番号はどうしようか(^ω^;;)
実験を色々やってみて回路図の山になったが、詳細は伏せる。
真似して局線へ繋ぐ輩が出て、失敗して処罰があると面倒事。
局線へ繋ぐのは基礎基本に電話工事資格、免許が必要である。
電話機本体も認可を得た物以外は接続してはならない。