A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

コンデンサ不良

先日の42パラpp、ヒューズが飛んだみたいと連絡があった。

見てみると大元のヒューズも飛んでいるし、Bヒューズも飛んでいた。

大元のヒューズが飛んでいるとは予想外だったから秋葉原へ急行して買ってきた。

大きい電源トランスは励磁する時に瞬時電流が大きい時があるし、それかなと思っていたが、交換して通電してみるとやはりBヒューズがパッと光る。

光るという事はそれだけ大電流が流れている。

おかしいなぁ。

5Z3のレアショートはかなり稀だけど、可能性あるかなと交換してみると今度は問題なくなった。レアショートだったのかなぁ。疑わしい。

しかしながら、少しすると、カチカチと何か音がする。

トランスのニスが割れて、励磁でカチカチ鳴っているのかとも思ったが、判断出来ず。

調べている内に鳴らなくなった。

ハムが少し大きくなった様な雰囲気があるが、一応鳴っていて、動作も問題ない。

様子見して頂けますか。と御暇しようとしたら、バチチとBヒューズ断。

5Z3のプレートが赤熱していたのが一瞬見えた。

すぐに熱くなっている箇所を確認すると、コンデンサが若干温まっているが、パンクしそうな温度でもない。

UZ-42が珍しくレアショートの気配かなぁと想像。

どちらにしても入院が必要だから、客先さんには申し訳ないが持って帰ってきた。

営業で使っていなかったから助かる(^ω^;;)

f:id:A2laboratory:20220829174414j:image

現場でも確認したが、その時は膨らんでいなかったのだが、持って帰って再度確認すると、ケミカルが膨らんでいてパンク寸前。

後で分解して内部を確かめる。(やらない方が良い。危険を伴うからお勧めしない)
f:id:A2laboratory:20220829174422j:image

平滑の1段目でもあるし、やはり使わなかった期間が長いから、フォーミングが必要かな。

メーカーの説明をみると…

電解コンデンサを長時間(2〜3ヶ月)放置した後、すぐに定格動作電圧に接続すると、漏れや加熱が大幅に増加します。そのため、長期間保留された電解コンデンサは、正常に使用するためにエージング(活性化)プロセスが必要です。具体的な方法は、電解コンデンサの両端の動作電圧を段階的に上げて、定格電圧。電解コンデンサの動作電圧が450Vの場合、次の手順を実行できます。
最初にコンデンサに50Vの電圧を10〜15分間かけ、次に4〜5ごとに電圧をかけます。数分後、電圧は20V上昇し、動作電圧は徐々に上昇します。定格電圧まで。”

 

とあった。2-3ヶ月って。期間短過ぎないかなぁ。オーディオ向け部品はそんな物なのかなぁ。

工業用の高耐久にした方が余程丈夫そう。

それと、フォーミングと自分は習ったけど、エージングプロセスというのが正しいそうだ。f:id:A2laboratory:20220829174419j:image

若干下の方が暖まっていたのは確認したが、抵抗も付いているし、それかなと思っていたが、カチカチ音も此奴が発していたのだろう。

危ない壊れ方だ。

f:id:A2laboratory:20220829174425j:imagef:id:A2laboratory:20220829174416j:image

良い感じに膨らんでしまって。

f:id:A2laboratory:20220829181137j:image
f:id:A2laboratory:20220829181140j:image

息抜きさせるとプシューと結構だったが、飛沫は浴びなかった。

電解液は浸っているという程入っていない。

コンパウンドで止めてあって、手抜きの作り方ではないらしい。

本当は安いのに高価でオーディオ用として売っている不適当なナマクラとは違ったが、レアショート気味なのか、製造が悪かったのか、またまた放置期間が長かったから、ダメになったのか。

分からないが、ケミカルコンデンサなんていう不安定要素の大きい部品は、まぁこんな物だろう。致し方ない。

とりあえず派手にパンクなり、燃えなくて良かったなと。

電解液の紙吹雪になっても困るし。幾度も経験は無いが、ダメな場合は何時でもダメなタイプが多いが、時々ダメになるタイプは初めて。

白煙を上げてパンクした場合は、かなりの高温になっているから、飛沫がかなり危険。

コンデンサ自体も触れない温度になっている。

パンク寸前のコンデンサを分解するのも危険極まりないからお勧めしない。真似しても自己責任で。

 

調べると、4000時間が部品寿命との事が書かれていたが、実際は2000時間が限度の様。

紛い物は250時間でダメらしい。一時期のコンピュータ製品に於いて出回ったとの事。

 

f:id:A2laboratory:20220829211253j:image

交換して通電試験。

f:id:A2laboratory:20220829211250j:image

5Z3は2秒で立ち上がりであるが、他の球は傍熱型であるから20秒前後。

整流部だけが、先に立ち上がるから、その時のピーク電圧を見ると450V以上出ているものの、500V以内。

表記の500V以内で使っているものの、450V程々の物なの知れないという事を考えて、ドロップを増やす事にした。

交換した物は450VW。

整流管を出た1段目で10mA流して、上昇を抑える。

sgの定電圧放電管は、UZ-42の立ち上がりと共に流れ出す様にしていたが、UZ-42が立ち上がってくる迄は寝ているから、ここへもブリーダー抵抗を入れてドロップする事にした。

そうすると2秒で定電圧放電管も動作を始めて、アイドリング状態に入り、UZ-42の立ち上がりを待つ状態へ。安定性は向上する。

何故ドロップを入れていなかったのか分からないが、当時はこれで良しとしていたらしい。

これによって430V最大で止まっているから、問題なかろう。時間にして5秒程で降下する。

運転動作中は380Vに安定する。

業務用を考えると、30W級の巻線抵抗が結構熱くなる程のドロップをやっているから、初っ端の電圧上昇は大きいのだと思うし、球の消費だけではない方が、より良い安定性があるのは、100年も前から気付かれてやっていた事であるし、やらなくなったのは、その後の低コスト大量生産が始まった頃と思う。

トランスもケチっているから、多分電圧上昇は無くても、電圧降下は大きいと思う。

最近のシリコーンダイオードを使った製品はタイムスイッチかを入れて上昇時間を考えているのかな?

それとも石で制御しているのかな。

どちらにしても平滑1段目は相当な電圧上昇がありそうだ。

 

交換した物はパンクした物より容量が半分だから、ハムが若干残るから、平滑の抵抗を大きいにに変更。電圧はまた10V程下がるが、ハムはかなり減る。

 

初期不良が起こるとは想像もしなかったからディスカウントして譲ったけれど、損失が大きかった(笑)

メーカーは1年保証の分迄考えて割高にしているんだろうなと思ったり。