“これ凄く良くない?見立てはどう思う?買って良い物だと思う?”とお墨付きが欲しいのか、背を押してほしいのかメールが来た。
その類の相談は多いのだけど、安いし経験として買ってみても良いんじゃあないの。としか言い様がないというか(^^;;
初心ならば、色々買ってみて、勉強するのが良さそう。
かく言う自分は、作る派だけども。それなりに仕上がる迄には、完成品を買い集めるのと同じく、研究費が掛かるから、どの道同じ様には思う。
安上がりは、結局其れ相当。
50ccバイクとも自転車とも言えない、ペケペケみたいな雰囲気かな。
ペダルは自転車よりも重いし、車道を走らないとならないし、免許も取得しなければならないし。
ならば50ccで良くないかね?っていう。
4輪の免許を取れば、50ccも乗れるし。
アンプも大凡それと同じかな。
それでいうと今回の品物は説明が割と面白い。
めちゃくちゃ良い音で倍音が響くそうだ。
倍音が録音されているソースを再生して単音に抽出されるアンプがあったら、それはそれで凄いけれども。測定器かな。
逆に、単音が倍音になる様だと、IM歪み、混変調が起きている。
所謂宜しくない状態のラジオの音。ラジオ声とも言われた。
ラジオで聞いた音楽が良いと思ってレコードを買ったが、全く違う音に聞こえる。という事が起きたりする。
このアンプの説明からすると、どうも後者の様な気はする。
倍音が更に増えて惜しい設計なので出品します。 それなら分かる気はする。
再生アンプに於いてIM歪が好まれない理由は、簡単に言えば、エフェクターか、そうでないか。
要は楽器なのか、音叉なのかの違い位あるかな。
音叉が面白い音が鳴っていたら、調律には使えない。基準に出来ない。
それは録音時にも起きる事で、例えばピアノソロを録音しようとしたが、部屋が反響也、壁也がピアノから発せられる音に対して、共振を起こして、部屋が鳴ったとすれば、それはピアノと壁の音が録音される訳で、大抵の録音室は無響室と言って、耳鳴りが聞こえる様な、静寂と無音空間になっていて、そこで録音する。
慣れない人が途端に入ると、モニタのスピーカーからの、スサァーとノイズが出ている音に安心感を覚える。
通常の調整卓では空調やらで聞こえないレベルである。
そういった環境で録音された場合は、ピアノから発せられる音と、人が操作している音、ペダルや息の音が一緒に録音され、リバーブを追加添加しない限りは、キレの良い音が収録される。
すなわち、楽器と人の音しか入らない。添加物のより少ない状態。
少々違和感のある音でもあるために、アンビエントマイクを設置したり、アンビエントリバーブ(柱状リバーブ)を置いたりする。
より自然に、クラシックコンサートのホール録音の場合は、空間が広く自然なリバーブが掛かる。
観客が居ない場合は、吸音材が少ないのと同じであるから、反響は幾分多い。
1アタックの尾が付く事になる。
センターマイクで集音した場合は、距離がある為か低い方のレベルが下がるが、ホールらしい収録になる。
こんな様に、録音時に2次、3次歪の音というのは、楽器が発せられる物のみとして、それを再生する場合は、それ以上にアレンジをしてはならない。というのが一般論で、クラシックコンサートのPAでは、まるで増幅していない様に自然にマッチングさせる技が必要になる。
要は、高忠実度アンプが必要になる。原音再生とも言う。
もしも、ここでIM歪が大きく、倍音が豊かになるアンプを繋いだとしたら、クラシックコンサートが、ロックコンサートになってしまう様なものである。楽器から出た音が、楽器の様なアンプを通るという事になる。
最前列のお客さんにはクラシックだが、後方座席の人は、ロックという様な具合に陥る。
ギターのエフェクターで言えば、ディストーション(歪)エフェクトと同じで、入れた綺麗な音が、ブスブスと歪んで出てくる。
ラジオの場合は、ナレーションが何を言っているのか、聞き取れたら良しとする合格レベルの場合は、音楽鑑賞という意識はない。
ピュアーオーディオというのは、高忠実度アンプではなくてはならない。元は電蓄の走りである。
エフェクター的なアンプならば、取っ替え引っ替え変化が大きくて楽しいとは思う。
そういう楽しいアンプが良ければ、それで良い訳で、別段悪い事はない。
こんな様なエフェクターアンプが安く出回るから、“このアンプはどのジャンルの音楽に合いますか”という不可思議な質問が湧き上がるのである。
基礎の基本として、エフェクターでない限りは、どのジャンルだとか、そういう事は疑問にも質問しようとも思わないはずなのである。
とは言っても、録音の時点から、録音アンプを通って、ディスクにする時にもRIAAカーブやらとエンコード、デコードするという事は、エフェクトを掛ける訳で、CDやデジタルにする場合にも同じく、圧縮という過激な歪みの塊にしてしまう訳で、再生の時には既に録音現場の音ではないのは確かである。
そもそもマイクを通った時点でもう別物なのである。
従って、調整卓でモニタして仕上げた時の音というのに近付けたら、それはかなり原音再生に近い物と考えられる。
素人が完成された作品に、幾ら上から色を足しても、結局は削ぎ取った方が良い事にも気付く。
これは、経験がないと分からないが、車でも、色々な装飾を派手に乗せて行って、原型が変わる位にやり倒した時に、次に行うのは、削ぎ取りである。
結局元の原型が一番良いと気付けたら流石、やり倒しただけあると思う。
オーディオも、色々なアクセサリーやら回路を乗せに乗せて、結局アクセサリーの無い時の音って、こんなに良い物なんだな。と思えたら、それはそれで経験値であろう。
だから、良くない物も経験として何がどうなのか知っておいて、次を考えたら良い。
真空管ならではの心地よいサウンドをストレートに届けるため、「シンプルに徹し、かつ“美味しいところ”を引き算の発想でストレートに引き出した、素性のよさを活かした設計およびチューニング」を施したとしている。
美味しい所を引き算の発想で…?
単なるNFBを掛けて引き算したという事かな。
美味しい所も引き算しちゃっている様な気もするけど、施したとしている。だから、他人事かな(笑)
していなくても、文句言わないでね。という事かな。
技術屋っぽい様な雰囲気で、初心者でも作れるアンプの本を読んで作ってみたのかな。
それとも中国で作ったキット品かな。
どちらにしても、普通のラジオからAF段だけを一部抜粋しただけのものであろう。
確かに独特の音がして面白いとは思う。
球も石も結局、歪は無にはならないし、極限に小さくは出来るが、それがまた良いかと言えば、十人十色で好みがあるから、最終的にはエンドユーザーが気にいるかどうかの話で良い。
例えば12AX7に6V6の構成で作ってくれ。と頼まれたら作るが、ジャンル的にはジャズか、ロックか、50-70年代流行歌が得意な音だろう。
静かに聞くクラシック向きではない。粗い。
一昔前の流行歌、POPはカーラジオ向けに録音を調整してあり仕上げてあるから、ある程度歪んでいた方が逆に当時のミキサーさんとしては喜ばしい事であるはずである。
繊細な音が出るピュアーオーディオの類や、電蓄で聞かれると、また印象が変わってしまう。
業務用PAアンプと言えども、歪みはある訳で、その中でも最良な状態で鳴らし、尚且つ遠くへ音を届ける為にはどうしたら良いのかという結果と思われる。
ちなみにBOSEのスピーカーは、スピーカー単体にイコライザが入っている。
従って、アンプ側がある程度のイコライジングを効かせたとしても、そのイコライジング割合は少なく音に出る。
要は、スピーカーが自体のイコライジングが効いているから、無効になる率も多いという事で、BOSEはBOSEらしい音がする。
これを録音室やスタジオでモニタとして用いないのは、他の装置で互換性が無くなるからである。
前世界がBOSE一択になれば、スタジオにも導入されるという事である。
JBLも同じく、音量によって各ユニットの音圧が変化を起こす為に、スタジオでは用いられない。(見た事がない)
それで言うと、実はボリュームに同期したラウドネス回路も不適切の場合がある。
入力信号電圧が定めてある物と一致している場合に、割合が揃えば、それはラウドネスとして効果が見込めるが、例えば入力信号が2倍だった場合は、ボリュームを1/2に絞る為に、ラウドネス効果が2倍の割合になって、効果が不自然になる。(極度のドンシャリになる)挿絵B
逆に1/2の入力信号だった場合には、ラウドネス効果は1/2になるから、中高音上がりの音になる。挿絵C
ラウドネス自体は、耳の曲線に沿わせたもので、非常に有効なエフェクトであるが、それが不一致であった場合に於いては、無い方が良いエフェクトになる可能性は極めて高い。
また、BOSEの様に、スピーカー自体にラウドネスイコライジングの持った機構のスピーカーとを合わせると、そのイコライジング特性が不一致となってしまい、整合性が悪くなるから、メーカーが指定するアンプを繋いだ方が余程良い可能性は高い。
だた、また数の内には不一致の音が良いと言う人も居るから、良し悪しはエンドユーザーによる。
ピュアーオーディオしか触った事がない人からすれば、それから外れた路線の音に感激するかも知れない。
またその逆もある。
結局、一番良くないのは、何もやってみない事で、大抵そういう人は、お金が云々言う。
少し我慢して貯金して買おうと思えば出来る筈であるし、もっとケチりたいのならば、自分で部品を買い集つめる也、廃品を拾ってそこから、部品を取るだとか、そうやってやれば、出来ない事もない。やらないだけ。
楽をしたいのは十分分かるが、言い訳を並べて何もしないで口だけ達者なのはナンセンスに思う。興味があるならば、徹底してやってみる。
ナマクラ興味、ニワカならば、どの道を進むか自身と検討した方が良いだろうと思う次第。