A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

テレフンケンのアンプ考察

テレフンケンの薄いピアノボタンのアンプを見た事はあったが、回路まで見た事なかったと思う。

中身を見た感じ、かなり無理をしたかなと推測。人の事は言えないが(笑)自身も十分無理した物を作っているのは百も承知(^ω^;;)

機会があったので回路考察してみる。

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回路を見る限り、このユニットは中高域用なのかな(?)という印象。

入力から見て行くと、68pとでラウドネス回路が入っている。中間程にしておくと68pでハイがパスされ、相当シャキシャキした音が出そう。

VRは1.3megだから、かなり高インピーダンス。カーボンノイズやら誘導が出そう。

あまり静かそうな良いアンプとは思い難い。

また、Gnd側に220Ωが挟まっているから、完全に音を絞れない設計である。

この220Ωで浮かしているのは、グリッドへ負帰還を掛ける為で、負帰還のスイッチNは、回路上ハイカットに働くから、NFがハイに掛からなくなり上昇、ハイブーストになる。

また、帰還させる都合上、スピーカーGnd側が陽極で、NFに戻している方が陰極になる。

普通一般だと、NFに戻す方が陽極とするが、これは逆相だから、逆に繋ぐか、逆相のコントロールアンプが必要という事になる。

 

JBLもアンプが逆相で出力していて、スピーカー側も各ユニットが正相、逆相色々あるとか無いとかという話は聞いた事がある。

 

初段の入力は.01と10megだから1.6c/sまで再生出来る。起電力タイプのバイアス方である。

コストを極限に削ったな感(笑)

プレートの方には、負荷抵抗220kで、割と大きい方かな。古いアンプはこんなものか。

データシートから1mA流れるかと推測したが、220kでは300Vで1.36mAだから、もっと低い電圧で動作させていると思われるから、1mA流れない様な気がする。

更に220kで左右のチャンネルを合成し、220k/6800pの2段フィルタで構成された出力用と思われし端子があり、TのスイッチはATTとして働くと思われる。

100c/s以下を強力に切りたかったのか、不思議な端子であるが、これは低域用アンプへの供給用に思う。

というのも、次段へのカップリングが220pに820kで構成されているから、遮断周波数は880c/sになる。

これでは大分低域が出ないから、このアンプは出力が小さい事もあろうし、中高域用のユニットとすれば、納得が行く。

 

終段のプレートへ入っている1000pは発振防止であろう。6BM8はかなり発振し易い。

問題のOPTの使い方であるが、シングルのコアをppの様に使用して磁気飽和を何とか抑えようという狙いであろう。

かなり小さいコアで電流が幾分流れると飽和が激しいのは実験済である。

ステレオ両方のコイルから5.5kが通されて結合しているから、実質は1/2で2.75kで、バランスしても10mA流れない程であろう。

もっと流してバランスしようというのであれば、ブリーダー抵抗を挟み込んでしまえば良い。

これも実験したが、30mA流して、逆向きに20mA近く流すと飽和が幾分良くなる。

合わせて30mA流してもあまり変化が分からないから、そんなに多くは必要では無い様である。

しかしこれらは巻き数比も関係するであろうから、一概にこれで良いとは言えないから、使用する各トランスで要実験。

それと、実験していてわかった事は、逆相で出る信号をすぐにデカップリングで消してしまう事をすると、急激にゲインが下がる(負荷が大きくなる)から、必ずストッパー抵抗を入れて、デカップリングを入れる様にしなければ宜しくない。