A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

最終調整

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普通じゃない使い方、例えばRCAの半挿(アース浮かし)とか、無負荷運転とか。

普通そういう使われ方はしないのだけれども、それに耐える様に作っているアマチュア品はそう多くないと思われる。(そこまで気が回っているかどうか?)

第一に、そういう使い方をされると壊れる要素が少なからずあるからである。

然し乍ら壊れるからって初めから対策しないのは如何なものか。

フルボリュームだとか、ボリュームレスで、電源も落とさず信号繋ぎ変えしちゃう人(自分)なので、その辺りの事は万全に毎度作っているのだけれども、今回は半挿アースループで盛大に発振する。

計算すると25kcが出ている。

聞こえないが、発振が始まった途端にバイアスが掛かる様に、プツッと鳴るから判別が付く。

少し入力の信号も高調波変調が起きて、変わった音がするのと同時に若干歪みっぽい。

薄らエフェクターと言ったら、そんな感じである。

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出力の負荷の有無に関係なく発振は一定していて、出力段のカソード抵抗を触ると発振が止み、触る量によって、周波数と振幅変化が起きることに気付いた。

そんな事があったから、終段のSGをカソードにCでデカップリングし、NFで戻して安定化を図ると周波数の変動は無くなった。

カソード抵抗に触ると止むのは変わらなかった。

次にプレートとOPTのBとの間に2200pを挟んでハイカットを試す。

そうすると今度はボツボツとトリガの様なノコギリ波の様なのが合わさった様な発振が始まって逆に安定が損なわれた。

比較的低周波で発振が始まる、止む、これを繰り返す場合はBの正帰還が考えられる。

OPTにCを挿むのはLC発振回路になり易いのかも知れない。

 

次に初段に目をやってみる。

終段は色々試みたが、これ以上の進展は得られなかったからである。

然し乍ら、発振している最中の様子を見ても、初段は発振をしていないのである。

発振が確認出来るのは終段のプレート部分だけである。

ただ、シャーシにギッチリ詰めてしまったから、初段と終段が明らかに距離が近過ぎる事は思う。

強烈な誘導を終段のプレートから発し、それが初段のグリッドがアンテナとなって直接飛び込んでいる可能性は十分ある。

初段のグリッドにデカップリングを挟んでみると確かに発振はピタリと止み、安定性は抜群である。

ただハイの明るさが失われるから、今度はプレートとカソードにデカップリングを当ててみると、これも効果があって、820pで発振が止むギリギリだった。
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しばしハイが落ちたが、程合い良い塩梅である。

これで良しとする。
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後ろ。

業務用テープレコーダのPhilipsTelefunken、EMTも慣れないと分かりにくい図柄と色で説明になっているが、それを少し模して(笑)

黒がLch、赤がRchである。

欧州で良くある青が陽極、黒が陰極である。