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Abraham Audio Device Industrial Labo.

直熱管12Fと傍熱管80BKの違い

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12Fから80BK/80BHに変えてみたのであるが、80BKに交換するとハムが大きくなるという事が分かった。

12Fの場合は5V程のハムは、80BKに交換すると15V程に大きくなり、緩やかだった脈動は三角に角ばっていた。

単に80BKのカソード絶縁不良(?)も考え、シリコンDをプレートの前へ挟んで、逆向きに強くしたが、これでも変化はなかった。

専ら、カソードはフィラメントの片側と共通になっているから、絶縁不良はないとは思われる。

 

この事から、直熱管の場合は小容量のコンデンサと小さい抵抗で脈動は小さくできるが、傍熱管の場合は、大きい容量のコンデンサ乃至、大きい抵抗で電圧をドロップしてやらないと脈動が小さくならない。

内部抵抗rpの違いで片付けられる事柄なのかが分かっていないが、シリコン素子を代わりに使った時と等しくなるのは、傍熱管の方だったから、直熱管を使うと内部抵抗が低く、レギュレーションが良くなると考えられる。

 

ラジオ向けのB用の整流管という整流管が無かった頃(タンガーやバッテリーが主流)は、三極管を使った整流方法があったが、あの時代は全て直熱管で、205Dを終段に使ったセットの整流が205Dであったりと、終段が整流管兼用といった使い方をされていて、300Bも同様に電源制御用の素子として使われていたのだとか。

211も同様に、終段でppで2本、両波整流で2本使うセットがある。

B用の整流管が無かったと書いたが、実際は冷陰極ガス管が存在していて、これはあまり電流を取って使うと短寿命であったが、初期というよりは中期程のエリミネーターには採用されている事がある。

最初期のエリミネーターは三極管を使った物が一番古そうであるが、それよりも昔の物は、亜酸化銅整流器を使ったエリミネーターであったと考えられるが、これは見たことが無い。C電源に用いた物は見た事があり、現物も持っているが、大きさの割に電流が流せず、内部抵抗も大きい。

RCAの初期のフィールドダイナミックは亜酸化銅整流器が使われていたが、やはりかなり大掛かりだった。

WEは、古来よりのタンガーバルブを使った低電圧大電流の方式が採用されていたが、劇場向けの、これまた大掛かりな代物で、電源室がある程の代物である。

なんでも交流励磁音がトランスから鳴る物もあり、これはコアに対してのコイルボビンやコイルの巻き方、或いはコア自体の固定不良、振動や熱によるボルトの緩み、僅かな浮き、遊びが振動で鳴るのである。

鉄のシャーシであるから、これが余計に振動を共振させて、ブーン、ビーンと凄まじい音がするが、具合の良い物、もしくは電流を少なくする事で、鳴かない物もある。

 

そう考えると眞空管なるものは、まだまだ新しい時代の代物で、余程半導体というのは古い素子である。

 

さてさて、300Bの余りが幾つかあるから、これを整流管で使ったら、少ない部品点数で効率良くリプルが取れるかも分からない。

出力管として使うのは一般的過ぎて面白くないから、古来よりの使い方で、新しい発見があるか実験してみる事にする。