A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

UY-47 スペースチャージ ダイレクトカップリング シングル 実験

UY-47(NU-47)とUX-30が1本づつ余っていて、もう1本を集めるのも割と高価になっている事であるし、モノーラルの単発でも良いやと実験をした。

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回路は初期のWesternElectricを思わす様な、初期のシーメンスを思わす様な構成である。

どっちつかずな、曖昧な具合であるが。

今回は珍しく、スペースチャージなる接続方を実験したく、sgへ初段のpとを共に繋いでいる。

 

ps:スペースチャージ接続の場合は、sgへは無バイアスで行う様子である事に気付いた。cgへはは+バイアスを印加して電流を流す。

よって、この方法では、単なるダイレクトカップリングsg入力というのかも知れない。

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実験に12Fを整流に使ったが、12Fは最大定格40mAだから、60mA程流したい設計だったからミスである。

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12Fが結構な負荷になっている事は言うまでも無いか、通電直後にプレート内が青白く光る。

平滑のCは20μFも大きいであろうから、ラッシュカレント緩和にReは入れているが、定格を上回っているであろう。

 

半波整流であるし、僅かはハムが残るが、音は出た。

然し乍ら、3dB程の入力では、静かに鳴る程度で、ガンガン鳴らせず、47のパワーを持て余して勿体無い程。

更にやはりBは電流が取れないから260Vタップは200V迄電圧降下を起こしてしまっていた。

実験からsg入力では、μがかなり小さくなってしまうから、初段のμは相当に大きい物でないとドライブ出来ない。

それに、ダイレクトカップリングな割には、初段のバイアスを得る為にCカップリングをしているから、意味がないか。

似た様なフィラメントでペントードのUX-34があるから、これの入力をsgへ入れて、スペースチャージとして働かせた方が面白いかも知れない。

 

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初段をスペースチャージとして実験。

結果的にはゲインも上がってかなり鳴らせる事が可能だった。

ハムもなく、一見すると良さそうに思えたが、信号を入れてみると、低域が不足し、まるで電話乃至マグネチックスピーカーを鳴らした時に近い帯域しか出てこなかった。

sgへは500kのグリッドリークを入れたが、開放状態でここへ触るとハムではなく、ピョーと結構な音量で発振を起こしたから、かなりインピーダンスが高い事が伺えるから、高インピーダンス出しの前段では発振してしまうであろう。

もしくはcgにデカップリングを入れて発振止めとすれば良いかも分からない。

スペースチャージの使い方自体は、昭和3年頃の技術であるから、時代背景を考えると、ホーンスピーカーやマグネチックの陣笠スピーカーしか無かった頃であるから、この帯域でも音が大きく鳴らせるという点からすると、満足できたと考えられる。

昨今のHiFiセットからすると、かなり独特の音で、モジュレーション歪みも結構あるから、音楽を楽しむというのは些か遠い様である。

ナレーションを聞くモニタとしてならば使えそうであるが、歪みが一昔前の電話並みである。

独特の音が表現したい場合のエフェクターとしての使用方法であれば、最高に良いであろう。

そういえば、少し前にトランペットの拡声器を一部に使ったアーティストが居られたが、あれを録音スタジオでやるには、再現が悪いから、これを通してもらえたら、何時でもアノ音になりそうである(笑)

 

まぁまぁ、結論からして、音楽を楽しむ用途としては、昨今一般の回路が無難なのかも知れない。

それも考えて古典的な球のアンプを形にする事にする。