A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

フォノアンプの製作依頼

今回は少し難しい依頼である。

とにかく古いWEの線材、CR部品を使って組んでほしいという御依頼で、以前作ったアンプのホワイトノイズが気になるので、よりノイズの少ない良い物をという事が前提であるのである。

 

“分かりました。”と答えてしまったが、良く良く考えると、スゥー、という無音ノイズは抵抗ノイズである。

電源から来るというのもあるが、内部配線の抵抗器自体が出す物の率が大きい様に思う。

特に前回も古いソリッドカーボンを使ったと思うが、これが原因である可能性が高い。

どうしようか考えて、カスコードで使えば、Rpは不要になって、球が代わりになるから、これでノイズは減るかも知れない。

物理的に抵抗を使わなければ、古かろう新しかろうは関係なくなるが、カソードに入る抵抗は流石に省く事が出来ない。

カーボンは雑音が入るから、巻き線が良いが、そんな都合の良いのがない。

更にコンパクトに仕上げないとフォノEQは具合が悪いのは過去作って知っているから、大きい古いので組むのは実用的なHiFiセットとは離れそうである。

やはりDALEのキンピを使うのが良さそうである。

 

古いコンデンサを使うのはあまり良い選択とは思えないし、専ら古い物は新しい物へ交換するのが一般であるが、それの逆をやって欲しいというのは、ノイズ以前に真っ当な音が出るのかも保証出来ない。“良い音にお願いします”という事も言われているから、これだけは勘弁してもらった。

まぁ、腐った肉の方が美味しい(?)という事もあるらしいが、コンデンサはナマモノと考えた方が良くて、古い物は基本的に劣化している。

使えたとしても、賞味期限切れ。そう思って間違えないかと思われ、究極にはそれが良いかどうかは別として、である。

人それぞれ感じ方が異なるから、というのがある。

ただ、10個が10個同じ味になっているのかという問題もあるから、バラツキがあって、良い悪いが出ると思われる。

それよりも球の方がバラツキは大きいであろうが。

それと、球を変えて音がコロコロ変わる様だと、定めし安定の悪い増幅器である。

球もバラツキがある(無い方が不自然)のであるがバランスの良い設計であれば、少しの誤差も許容範囲で、そう表情は変えないハズである。

別の球を挿すとか、そういう事をした場合は別であるが。

ギターアンプの様に、規格外で使った様な場合は、激しいズレの場合は、最悪発振する。

しかしながら、これも良い味と思えばそれでも良いのであるが...

難しい。

 

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とりあえずの電源を組む。

平滑のRは英国ペイントンのヴィンテージ巻き線である。

ヒーターバイアスを定電圧放電管の分岐から貰って印加して、更に上の段では平滑のリプルを吸収させようという構成である。

ヒーターバイアスには、ソリッドカーボンを使ったが、増幅には影響与えないであろうが、AC点火であるから、ヒーターハムがどの様に出るか後で調査をする。

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それぞれ電圧が異なり、封入ガスの種類が異なるから、色とりどり。

負荷無しで動作させているから、割と煌々と光っているが、負荷側が動作すると暗くなる。

 

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増幅器の方も回路は出来ているから加工して組み始めた。

カソードへのコンデンサはフィリップスの局用のオープンでも使っているのにしたから、それらしい音がするかも分からないが、業務用機材に使うのであるから耐久性、安定性は良い筈である。

カップリングはどうしようか迷うが、ジェンセンのフィルムがあるから、それを使うか。