A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

6JA5 6HS5

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球屋から研究して下さいと支給された球。

6JA5の方は水平出力管で、テトロードのビーム管。

6HS5は高圧制御管で、三極のビーム管。

周囲の大きさは同じであるが、6HS5の方が少し背が高い。
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プレートも6HS5の方が少し大きい。

パワーは6HS5の方が多く取れそうである。

 

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6HS5を実験してみる。

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ビーム部はカソードに結んで使いなさいという指示がデータシートにあったが、それだと電流が流れず、電源も350V以上に上がらないから、高抵抗を通してB+に繋ぐと電流が流れ出し出力も得られる様になった。

Bに繋ぐとイオンが大分出て、上下のマイカに青々と光る。

普通の使い方でないから、暫くやっているとエミッションがダメになるか見ているが初っ端1時間でIkが5mA減ったが、その後は下がる気配はない。

何故下がったか分からないが、NOSだったから、久しぶりの通電で元気が良かっただけかも知れない。まだどうなるか分からないが。

Eb350、Ik20mA、1Vで4Ω 4Wピークで得られている。

0バイアスであるから、これ以上の信号はA2に掛かるか、グリッドが吸い始めて上がクリップしてしまう。

ドライブで押せる様にしてA2級にすれば、もう少し大きい出力が得られるかも分からない。

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カソードに200Ωを繋いで試したが、Ik10mAで1W得られる程度。

カップリングを入れてもゲインは抵抗なしの時程に上がってくるが、何か歪みっぽさがある。

入力もやはり相変わらず吸われてしまって、カソード抵抗なしの方がまだ具合良い感じである。

 

其の儘1本追加し、カソードチョークを入れてプッシュプルで試すと電流が流れなくなって、2本で5mA以下。

チョークはDCR200Ω程度。

そうだ。と閃いて、安定化電源をシリースに繋いで350v、350vで700v得られる。

これで試すと600v迄上げると10mA流れる様になったが、シングルと大して変化のない出力。

電流が流れないから大差ないのも分かるが、カソードチョーク反転はどうも苦手な球らしい。

グリッドが吸う様なA2級を要する球はカソード反転は向かないのかも知れない(?)

他にビーム部を面白い接続方法も思い浮かばないし、小さい信号でもゲインが高いから、GGのZ級でも良く動くかも知れない。

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例えばの回路。

リニアアンプかな(爆)

 

 

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6JA5を其の儘挿し替えに近く変えられるから、プッシュの儘で実験。

Pと後半のk、sg、gの位置が異なる。

若いピン番号は同じ位置。

ヒーターは6HS5が1.5A、6JA5が1A。f:id:A2laboratory:20210221174055j:image

170v程で40mA流れて、出力としては申し分無いHiFiである。

sgは64vでIk40mA、79vでIk45mA(Eb200)

電流はIsg0.3mA程。

AFとしては使い易いし安上がりに良質のオーディオアンプが組める。

そう考えると6HS5はクセがあって使い難い。

入力2Vで4Ω2.2W得られている。歪みも感じられない。

グリッドも吸わない様で入力の波形も歪んでいなくて綺麗である。

プレート変調で入れても問題なかろう。

カソードはチョーク反転であるが8.5V出ている。

ps:sgにCを入れずに試したが、Bだけを切断した時に信号が歪みながら、ボボボと発振する様な音がしたから、最低でも0.1μF程デカップリングを入れないと宜しくない様子である。

動作中は発振は起きず。
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実験はカソードチョークでやったが、p-kでも6SN7、12AT7、12AU7、5670、その辺りでドライブしてやれば問題無さそうである。

12AX7でも良いが、質を良くするならば、X7でない方が良い様な気はする。

入力感度が良いから、初段は飛ばしてドライブに直接入れる、所謂パワーアンプとした方が使い易いと思われる。

古いセット(1930年頃)は、終段だけを別ユニットとして、パワーアンプとしていた物があるが、これが本来の終段増幅器であろう。

もちろんゲインのATTはない。

ゲインコントロールは、コントロールアンプで行い、パワーアンプは出力をするだけの役割になっている構成が昔は一般的。

近代のパワーアンプは入力ATTがあって、かなり高感度になっているから、昔で言えば簡易PAセットに近い構成である。

従ってCDPを直接繋いでも、其の儘使えるといった様な具合である。

本来のパワーアンプであれば、コントロールアンプが無ければ鳴らない様な入力電圧が必要であったり、バランス入力を要する代物である。

今でも業務用のパワーアンプは、これを継承している事と思われる。ATTの付いた物も中にはあるだろうが。

 

当時の考え方からすると、電源トランスを分けたいというのが強いと思われ、終段は励磁スピーカーを動かし、終段も動かし、小信号を扱う部分は別の電源で動かして、電源の変動を受けない様に隔てるのが目的で、その理由は平滑に大きいコンデンサが無かった事と、同一電源から共有して、多くコンデンサを使うよりも分けて作った方がコストが下がったからではなかろうかと考える。

当時はトランスの方が安かったと思われ。

高級品としての位置付けの物しかこの様式になっている物は他に見た事がないが、大出力の物ほど別になっている。

もしかするとBが400V程出るからドロップして使うのもコストが悪いから別にしていたかも分からないが。

そういえば、AFのリニアアンプも昔は結構有って雑誌に広告が載っていた。

使い方は出力の小さいラジオセットや電蓄のスピーカー端子に繋ぎ、数十Wの出力を得て、簡易PAセットに早変わりという代物である。

 

 

とりあえず6JA5は大変に使い易い球である。

6V6に似た雰囲気がする。

コンパクトに仕上げた1台を試作してみる事にする。

 

古典球アンプはトランスを誂え注文準備中。

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100Wのレオスタットも偶然譲ってもらう事が出来たから、フィラメント点火に使える。

国産は滑らせた時の感触が一定していて非常に良質に感じる。

某舶来品は、滑らせるとガチャガチャと引っ掛かりがあって、破格だけあって、其れ相応であるから、文句を言ってはならないのであるが。

そんな事言ったら、“では自身でこの価格で卸せる品物を作ってみろ”と言われてしまうからである(^ω^;;)