A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

クラークスタン パッシブEQ

パッシブEQ 続き。

Klarkstanもバラさせてもらった。

CR構成で部品は6個で構成してあるから、軽いのも訳ない。

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イカは緑ピンクだから5000pf位で合っているかな?
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もう1つは、2100MMRと書いてあるから、2100pfかな。

5500pf出ているけど、外していないから、他と干渉しているのかと思ったのだが、回路を書き出してみると、2にセレクトしていなければ、フロートになる設計だったから、容量増加しているらしい。ここが増加すると、2kc付近からハイ落ちが強くなるから、HiFi感は薄れる。

オリジナルの部品ではあるが、容量の誤差が大きければ、オリジナルが当時求めたデコードカーブからは外れて、別物になるから、別の音が出てくる訳だが、部品を交換すれば、それもそれでまたオリジナルの部品の音からズレるワケで、結局、不良であってもオリジナルに依存し、当時のカーブからは外れているが、我慢(?)するか、デコードカーブを忠実にオリジナルに戻すかという2択。

新しい部品の方が、昔の物よりも絶縁が良かったり、質が良くなっているから、”良い音”になるはずである。

またこの”良い音”という解釈が非常に難しいものであるから、触れたくない語なのであるが、私の解釈では、良い音なるものは、大きい音が出せて、低歪、高忠実度HiFiセットの事としているので、”良い音”なる語が出た場合は、この事と思って頂けたら幸いです。もっぱら、曖昧な語は用いない事を努力します…

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ペーパー部分は.05μF位らしい。

ロスが多い様子

クロス部分の時定数の様だから、ここがズレると、ローとハイのクロス周波数が変わってくる。

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現物は0.03μF。

蝋にヒビが入ってバリバリ割れているから、湿気は十分に入り込んでいると思われる。

絶縁は低下しているであろう。

 

抵抗は、そんなに大きくなってはいなかったが、16kは19.5kになっていたから、約+22%か。

銀帯だから±10%オーダー。要は不良という事になるが、それらしい音は出る。

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回路構成をPC上でシュミレートしてみた。

100ΩオーダーではNormもNABも変化が得られなかったから、P.Uのインピーダンスを考えて、10kとした。

大凡15dBでイコライズされる回路構成という事が分かった。

低域はカット無しでダイレクトに出力、ロールオフとハイを減衰させてNABカーブを得る構成。

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試しに、0.03μが絶縁不良になったというシュミレートで、Cに10kをパラに入れて絶縁不良を再現してみると上記の様になった。

絶縁不良によって低域が漏電し減衰、ハイカットのみが働く様な具合に。

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先日の実測データと比べてみる。

全体に入力に対して-20dB下がっている事から、シュミレートでは10kにして多くて-17dB程であるから、10k以下になっている事と推測。

1番も2番もあまり変化がない所を見ると、マイカも容量膨大化が疑わしい。マイカは絶縁不良にはなっていないと推測するが、絶縁計で試験した方が良さそうである。

 

オリジナルを保ち、此の儘使おうという場合は、一応綺麗な-20dB減衰器としては働いているようであるから、イコライザではなく、減衰器としては何となく使えるかも知れない。

もしくは、回路は分かったから、新規に作り直して、オリジナルはオリジナルで保存しておくという手もある。

とりあえず依頼主と相談だ。