20年の5月に作った作品。
ピアノブラックのツヤツヤケースにピカピカ系の球を寄せ集め、真空管式定電流回路で初段からプッシュプル動作(カレントミラー効果)で周波数変換管3BE6で2E24/26を押そうという結構贅沢な構成。
安定度を上げる為に、各所のB電圧は分けて使用し、定電流バイアス用、スクリーン用としている。
輸送で大きい部品が揺さぶられ、良くないので、それは改修。
今回全てを固定したのであるが、何故初めから完全に固定しなかったのかと申せば、試作要素が強かった為に耐久性が如何せん、何処迄か分からなかったから、年単位で使って特性がどう変化して劣化が進むか分からないから、あえて交換が容易の様にと考えていたからである。
しかしながら、通常使いしてもらって、特に設計から大きくズレる事も無く安定しているから良しとして固定したというワケ。
今回、帰還の理由は、“動作中に変な音がした“ “片chのハムが増えた” “電源を切ると変な音がする様になった”
という事である。
真空管のソケット接触不良も疑わしく思ったが、そうでは無い様だから、送ってもらった次第である。
定電圧放電管が光っていないと前々から何度も連絡を受けたがバイアス用だからそんなに多く電流は流していないから内部が光る程度で外から見える程激しくは光らない。
更に0B2だから内部封入はキセノンであるから、紫である。
これが数層のマイカ越しになると見え難くなるのである。
ネオンが封入された0A2は比較的明るく見える。
とりあえず、マイカの封入が緩い、作りが雑な物にすると、まぁ見える様になるから、選んで交換しておいた。
電流を流せばもっと光るが、寿命は其れ相応に短くなるのは言うまでも無い。
スピーカーを繋いで試験すると、片chからハムが薄っすら確認出来た。
そして電源を切ると、ブィーンと発振した様な音がする。
ポータブルラジオでも稀に起きる症状であるが、これは3BA6の電極内ショートの系列だ。
6BA6はかなり在庫があるが、ポータブル及びレス用3Vのは在庫が殆どなく、手持ちも少量で、今になってはかなり貴重な類になって高価になっている。
球は消耗品として考えるのもあり、WEオリジナルともなれば、持っているだけで、年々価値が上がるという、ある意味投資の様な事をして回し回しに売り買いする人もいる。
だから今後高くなると見込みの球を買い占める人も多くない。
こちらとしては一括で売れたら有難い話であるが。
定電流回路の6BD6は通常使いとは全く違う方法であり、電圧もオーバーしていて、すぐに不良になるかと思いきや、非常に安定していて問題ない事が分かっている。
定格は守らないと予期せぬ不具合に見舞われる、乃至故障に繋がるから避けよとハンドブックには明記されているが、必ずしも守らないと具合が悪いかと言えば、そうでない場合も存在していて、まだまだ、知られていない新しい使い方が存在する可能性は秘めていると考えている次第である。
それよりも問題があったのは、定電流バイアス用のレオスタットの接触不良である。
高抵抗巻線型であるが、ガリが出るらしい。
レギュレータ電源でも使っているが、あれは毎度シャコシャコやって動かしているから不具合を思わせないのかも知れない。
動かさない場合は、次第に接触抵抗値が上昇する物と考えられる。
これはWEのアンプも同様であったが、使用前に球のソケットをゴシゴシやってから通電しないと具合が悪いというのと同じ症状である。
幾度かスライドしてやってバイアス再調整で具合良く落ち着く。
やはりバイアス用のAdjを付けている以上は、WEを見習えば、メーターを付けるべきで、さもなくば、フォンジャックで電流計を挟んでチェック出来る様にしなければならないか。
コストを下げるならば、もっと簡易な物に、其れ相応の技量が必要になる物は、安くは上がらない。
F特は1kc辺りが上がり気味。
所謂ボーカルが良く聞こえるタイプだった様だ。
定電流バイアスを可変させるとF特とレベルが変化するが、バイアス用の定電圧放電管を抜いておくとレベルは下がるが、特性は直線的になる事を確認した。
定電圧放電管を挿したまま、カットオフにしても放電は続くのか、特性は同じにならなかった。
逆に放電が起き難い方が特性的には良くなるが、オーナーサイドは分かる様に光っていた方が良い様子だから、VR75に変更。
0C2はネオンだからオレンジ。
カットオフに近くても、割りかし派手に光る。
2E24は電子グローが青々出ていて元気が良さそうだ。
整流管や2E24は高耐久の物だから、交換に予備は無くても問題ないであろうと推測。
デカップリングを多用しノイズは無に等しい。
フィラメントは直流点火でシリースに使っている点も効果があるか。
電流を多く流した線を近くに置くとハムが引くようである。
これにて完了