A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

2020/02/08 戸上電機 電氣巻時計

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戸上電機のベルタイマーは数年に1度程度巷に現れる事があるが、単なる電氣巻時計、時計としての品物は今迄見た事がない。

やはり今回も精工舎のケース、機械を改造した品物である。

然し乍ら、不自然な文字盤。

昭和5年というと、アラビア数字が我國では一般になっている時代で、ローマ字は年代が合わない気がする。

そう思って見たら、やはり貼り合わせてあった。

下にオリジナルが残っていて、見たらアラビア数字のSeikosha、所謂標準であった。

振り子は戦時中になれば、木竿にガラス玉の様式であろう。

竿の短い振り子が付いてきたが、これでは進み過ぎになるであろう。

大正期か明治期の精工舎のショートドロップ用と見受けられる。付属の巻き鍵も、ショートドロップ向けと思われし。

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肝心のモーターは魔改造レベルに、電動裁縫機、singerの物が取り付けられている。

台座が割れて破損したからか、針金で固定するという、何ともチープな出来栄え。

元々は、アラゴの円盤同様に1Wの微トルクで廻す構造であるが、55Wのモーターで強制的に巻き上げちゃおう という、力で何とかしようという荒いやり方。

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内部はモーターが横付けしてあるから、左が重い。

だから、右には鉛管を背負わせて均衡を保とうという事らしい。

こちらも針金細工である。

こうやる前、オリジナルの状態で手放してほしかった。

穴は開いちゃっているし、ボンドは凄いし、綺麗じゃない。

真っ当に分解掃除して手入れしていれば、其の儘のモーターで問題なく動き続けるハズなのになぁ。

壊してからだと元に戻すのが大変手間である。

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モーターは何時迄も巻いているとゼンマイを切ってしまうから、50分から正時の約10分間スイッチが入る様に仕組んであった。

試しに通電してみると、動くが何やら接触が悪い。

何だろうかと思ったら、端子もヒューズも銅線も、ボンド付け(ーー;)

こりゃ接触悪いわなぁ.....

というか、良く動いたなぁ......

ハンダ付け位しろよ...(ーー;)

針金にボンドに、直そうとしているのか、何をしたかったのか分からないから、全部撤去。

機械以外廃棄。

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木工の小細工は上手いが、配線や機械技術はまるで不適切。

機械は上板が反り返って歯車を潰して重荷になって廻りを悪くしている。

そのくせ給油は一応されているという、やはり何がしたいのか意味が分からん(ーー;)

マイナスの事をやっておきながら、プラスにしようと頑張るが、マイナスが勝ってしまっていて、どうしようもない。

時計部は何となく動くから、補助用の巻き穴からゼンマイを巻いて使用していたと思われる。

電動の意味が全く無いという残念な状態。

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機械のアラゴモーターシャフトの板にもボンド付けが凄くて、剥がすのに一苦労。

その後、真鍮の用途不明な曲がった棒がカシマってあったから、ボール盤で削ぎ落とした。

板はグニャグニャになっているから、これは叩き直しする。
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洗って気付いたが、ホゾ受けには、黒いガラスが入っている様で、黒光りしていた。

片方が強く締め過ぎたのか、欠けていたが、すり鉢状には形残っているから、先尖りにすれば、何とか使えるであろう。

コアーとコイルボビン、回転盤、シャフトを作らなくてはならない。

シャフトは歯切りが必要だから、5番車、風切車をガラ箱から見つけて加工する事にする。

回転盤はアルミ板を、コアーとボビンはどう作ろうか。

コイル巻機はあるから、巻くのは苦はない。

コアーを作るのが悩ましい。