A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

大阪電気通信工作工場 臨時型3号 ドイツ シーメンス型

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臨時急造型の3号 自動電話機がSuccessfulBid。

今期有り難いです。初回出品から結構年月が経つと思うから、出荷前点検修繕をする。

内部回路部品はドイツ シーメンス製で、モールドケースと手に入る一部部品、組み立ては国内型。電線はシーメンスのコピーと思われる。ゴムの配合がやはり日本は良いのか、少し破れているが、かなり状態が良い。海外のだとカチカチかボロボロで無い物が殆ど。

戦後、3号自動電話機の需要が急増、製造が間に合わなくなって、臨時急造したモデルに当たる。

よく出来た代物で、ベル音は、ベルギーのアントワープの旧型に似ていて優しいチリン系の2音型。ここはシーメンスっぽくないが、EUという感じ。

 

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整備部分の故障がないか、改めてチェック。

修繕の必要はありませんでした。

C絶縁は250Vで5M、500Vで4MΩ出ていたので良しとする。昭和27年のモノっぽいけど、状態は良いでしょう。

本当は無限大が良いけど、実際使用の場合はベル音時に90V、通話中で3V程度になって、電流が流れるから、無視できる値に迄、低圧時は無限大に近くなると思われる。

 

これが100k以下になってる物も結構多いけど、それは殆どショートしたも同然であるから、そういう壊れ物を繋ぐと正常に使えないから、電話が掛かってこなかったり、社員が訪問に来て説教されるなんて事があるから、安易に繋いではなりません(^^;;

専ら、免許が無いと電話機内部は触ってもならないし、合格が出ないと繋いではならないという法律が。

今更、ダイヤル型の免許を取るっていうのもねぇ(^ω^;;) 

というか、申請したら試験受けられるのかな...?

 

私宅では、私設自動交換機を導入しているから、これにてチェックしている。

ダイレクトに局線へ繋いで試験している訳じゃないから、もしもの時にも問題は私宅の交換機のヒューズが飛ぶだけで済む。飛ばした事は一度も無いが。というか、どうやったら飛ぶのか...

試験結果は音声明瞭で問題なし。

 

 

 

以下使い方

 

標準3号とは、ダイヤル回路が若干異なっているから、ダイヤル中はレシーバーから耳を離す事。

これは、キーを送信する時に消音回路が働くが、定位置に戻った時にプツンと消音回路が切り離れるノイズの方が大きくなっているからである。

旧型回路では良くあるが、標準3号となるとこれが非常に少ないから耳に当ててから回したくなるが、避けた方が良いであろう。

 

ダイヤルはハンドセットを置いた位置では回らない様にロックが掛かる。

ハンドセットを持ってからダイヤルを回す事。

 

湿気た場所での使用は、トランシーバー(送話器)をガリにさせ、壊す原因になるから、通気の良い乾燥した場所での使用が長持ちする。

尚、トランシーバーに息を吹きかけない事。

これもやはり湿気で壊す原因になるから、やってはならない。

 

壊れる要因としては、トランシーバー内のカーボン粒が湿気でやられる。

ガサガサ、ガサガサと鳴ってしまい、声が通らない。

最悪は叩かないと送話が不可能になる。

戦前、ラヂオ放送局で使っていたのがカーボンマイクロホンで、これも同じ原理であるから、使い始めに叩いてカーボンの接触を良くして使うなんて事が日常茶飯事であった様子。

その後に湿気の入らない様に、シールをしたタイプに変わったが、やはり時間が経てば劣化は起きる。