A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

変わった自作品

ドイツ人の自作品(?)らしき面白そうなラインアンプを譲ってもらった。

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見た目は測器の様な、面白くない感じであるが、W-Germanと入っていて、尚且つ自作臭がしたから、かなり気になった。

我國の自作品は暫し見て来て、上手い方が手掛けた物は、製品以上に良い仕上がりをしているもので。

その中でも、舶来で尚且つ自作品というのは見た事が少ない。キット品は見ているが、これはキット品ではなく、完全に自作らしい自作品と思われる。

シーメンスキーを使う辺りがもう既に他とは違うオーラが出ている。

中身が知りたい次第。

 

ちなみに、ノイトリックXLRが使われているが、バランスでは使っておらず、XLRというように、LRを1本化した使い方である。

シングルである。

出力はXLRのシングル出しの規格に合わせてある不思議な設計である。

バランスではない。

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フォノEQとラインの簡素な仕上がりで、音色調整やステレオバランス等は省略してある。

部品配置は良く考えられているが、結構込み入ってる。
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エローのCはテレフンケンのPAアンプでも使っていたのと同じで、銀のケミカルは何処のか分からない。マークは地図か?
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平滑、B帰還はBOSCHのMPである。

大きい割に容量が小さい。これも壊れ難い良いものだ。
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Toroidはスウェーデンらしい。

P.Tは交換しているらしい。他に穴が開いている。

パーマロイのシールドかな。被せてあるから、リーケージでハムが出ていたのかも知れない。

それでトロイダルに交換したのかも。
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シーメンスの整流器、これは富士電機が提携していたから目にする機会は多いが、古い印象はある。

 

内部にマルコンが追加されていて、これはハム取りかに追加したのかも知れない。

そうでなければ、ステレオで一緒くた、それも2段でBを共有しているから、低域の漏れが結構あるのかも知れない。

それを消すのに大きくしたかも知れない。

通電するのは極めて危険なニオイがするが、まぁ良いやとやってみた。

115vでも僅か音が出る程度。

180vは無いと動かない。

そんなで、フォーミングしながらやって、温まってはいるが、パンクはしなかった。

温まるのは化学変化を起こしているから交換した方が良い。安全のためにも。
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Malotkiのチョークは小さい割に75Hある。

電話機の製造に携わっていた系列の作り方の雰囲気が強い。
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SQ管の為か金メッキだった。

工場や電話中継機、そういった物に使われた類である。

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回路を追うと、初段のRp対して、次段Rgの負荷が重く、通常では考えられない設計。

恐らく、何かの記事を参考に、回路を切り貼りして作ったのではないかと推測。

普通一般に、Rpが220kの場合に、次段は1Mで受けるのが相応しい。

この場合、過負荷に働いているとも言える。

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とりあえず鳴る事は確認したから、トランスを巻き直すか検討。

トロイダルの場合に巻き直しは輪をくぐらすから手間である。

部品箱を見たら、ループコアの都合の良いのが見つかったから、大きさも良いし、これを使う事に。
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電源とトランスアースが平滑に引き込んであるし、電源部でシャーシアースもして、入力側でもアースするという、二点アースになっているから、これを止める。
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継ぎ足された47μも外す。

これで再度通電。

ボリューム最大付近で、モーターボーディングを起こしている。

これはステレオでBが共通、でもって、2段で1纏めにしているのが原因であろう。

大きい信号が入って、終段でBが揺らぐ。

そうすると、その波が初段のBに伝わり、初段を通って終段に、戻って繰り返し、ボフボフと低域が発振し止まらなくなるのである。

シーソーの様になるから、これはステレオで分けて、安定の良い様に、回り込みが無い様にすれば良い。

そういった点は手抜きな回路構成であるが、まぁ良くある。自作品では。

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シーメンスキーは、使っていない箇所があるから、SP盤のカーブが出る様に活用した。

程々、部品が良いから不適当な回路構成でも、なにか良い感じに聞こえる不思議(笑)