A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

ATEA Serie 30

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先日から、受話器が上がりっぱなしになる症状とダイヤルがエラーを起こす症状があって、Western 201、スペースサーバーがあるから良いやと線を抜いていたのだけど、ひょんな話から、お客さんの知り合いに電話好きで修理やっている人がいるというから、まぁまぁそんなに好きなら頼んでも良いかなと、仕事を分けるつもりで渡しておいた。

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それからしばらして今日返って来たのだけど、結論から言うと失敗だったかな。

磨いてくれたらしく綺麗にはなったが、動作的に、受話器が上がりっぱなしになる症状は変わっていなくて。

分解してみるとダイヤル、キーの接点はかなり磨いたらしいが、接点が不良でダイヤルエラーを起こしていたのではない。

コンデンサが漏れていた為に漏電を起こしていたのが原因だが、話を聞けば、テスターでは問題無かったという。

また局線に繋いでも問題無かったそうな。

私宅は自動交換機PBXが挟まって局線へ行っているが、どうやらこれが敏感らしい。

スロットカードを確かめると、基板にフォトカプラが付いていたから、これでオンフックを検知している様である。

光素子だと僅か数mA無くても検知してしまうのかもわからない。

テスターと言っても、絶縁計ではなくポケットテスターで調べたと言うから、これでは漏れは分からないから、絶縁計を買う様に言っておいた。

着信でベルが鳴っている最中は90V近く電圧が印加されるから、せめても100Vで絶縁試験はしてもらわないと誤作動の原因になるとも伝えておいた。

コンデンサは自分で交換しておいた。

ダイヤルは古い様式だから、10ppsであるが、どうも少し遅い。

速度計で見てガバナーを調整したのか聞いたが、給油しただけだという。

流石に速度計は今手に入らないから、どうしようか迷ったが、10ppsで調整済のダイヤルに準じたらどうかと、揉んでいるところ。

デザイン的には後期の品物っぽく見えるかも分からないが、ATEA 30は1926年から1931年に製造された、国産で言うところの自動2号電話機と同じダイヤル機構で、国産は輸入品を乗せていたから、ATEAは元祖になる。

後の3号はウエスタン102のデザインを模した物だが、4号、600番台はATEAがやはり元祖なデザインと思われ。

尚本体は鉄製である。強度は極めて高い。

 

 

結局のところ、自分で手直しして技術指導(?)をする様な、頼んでおいて逆になってしまった。

勉強代を逆に貰わないとならない具合だが、サンワの絶縁計でも買う資金にしたらと貰わなかった(笑)

 

 

ps:紹介したお客さんから連絡があったが、技術者って自ら“出来ます やります”と出しゃばらない、お願いしますと頼み込みに、お客が来る様な人が、腕の良い技術者だと思うよ。と伝えておいた。

チェンジニアは多いけど、エンジニアは少ない。