A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

2024/06/15

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会社へ2A3シングルの修理持ち込みがありました。

キット品との事だけども、文句なしの出来栄え。

5球スーパーを組んだ経験がありそうな雰囲気に見受けられ。

音が出なくなったとの事だったが、数年?と通電していなかったそうで、コンデンサが電流を吸う様になっている可能性は高いかなと思ったが、スライダックで上げて様子見しながら通電したが、熱くはならなかった。

パンクもしていない。

各所の電圧を見て問題はない。

球は疲れている様子だから、チューブテスターにかけたが、良好を示したからまだまだ使える。

スピーカーを繋いでグリッドに触ってやると、ハムが聞けたから動作はしていた。

端子が錆びていたのを磨いたが、それが抵抗値が高くなった原因かな?

そんなで特に何とやった訳ではないが問題が現れないから最終試験に信号を入れて試験。合格。

 

 

ただ気になるのは、このメーカーの設計思想。

P.Tから180v、230v、310vと3タップ出していて、180は-Cで使って、230は初段、ドライブへ供給。

310を2A3へ送る。

230は整流平滑で300へ上昇。

RLでドロップするが、ドライブの6CG7は最大定格と言った具合。

2A3側は380近く出て、-Cで-45を与えているからカソードに下駄は履いていないから、其の儘380が印加されている状態。

自己バイアスの場合は-45をEbbから引いて、335程であるが、固定バイアスの場合にはカソードから見てEbbが印加してあるのと同じである。

OPTの巻線によっては数Vかドロップするが、それでも定格オーバー。

自己バイアスと固定バイアスの違いを理解していないメーカーなのか、熱くして使ってどんどん消費しようという考えなのかは分からないが、定格一杯一杯で数分もすればかなりの熱になって、熱くて抜けない。触っていられない。

-Cを深く入れて、Ipを減らして熱くしない様にも出来るが、シングルであるし、Ipを減らすとEbbはより無負荷に迫って電圧が上昇して良くない。

無駄にはなるが、RCAの様にブリーダーを入れてレギュレーションを改善して安定にしてやった方が締まりが効いてくるかも知れない。

ただ固定バイアスであるし、暫しのレギュレーションの悪いも出難いとも言えるのかな。