精工舎っぽいけど、SではなくK。
ICHIBEI HAYASHIと振り子室にサインが貼ってあって。
Made in Japanと書くくらいだから、明治の終わりか大正期かなと推測。
良い機械が作れず、機械を輸入していた時代から、安価に我國でも機械を作れる様になった。という意味の事だと思う。
似ていそうで似てない。
ゼンマイは両方巻けたから、切れていないと思ったが、文字盤を外したら、時打ちは破断していた。
歯車は緑の油がくれてあって、カチカチ、いえ、ガッチガチに固着。
外側が破断。これは寿命による破断症状と思われし、巻こうとするとある程度巻けてしまい、固着も相まって、うんとも静かに装っていたが、触るとバーンと弾けて危険だった。
外側1ターンも逝ってないから、これは再加工して再利用する事にする。勿体無いし。
ボンボンのハンマーは見た事ない面白いバネ掛けになっていた。組み易さは高い。
緑の油は固着というか、引っ掻くと粉々になる程合いである。
綺麗に仕上がったが、動きはイマイチ悪い。
まだ細部の内側に入った部分は綺麗に抜けてなくて、カナピンが回らない。
カナピンの部分も再度洗ってやったが、良く観察すると、カナピンは完全にカシまっている部分もあって、回らなくても良いらしい。
次に、動きの悪さ、伝達悪さは、ホゾの広がりがあるから、叩き直す。
以前にポンチで叩かれてはいるが、片側だけであるから、痩せるのが早いであろう雰囲気はする。
叩き直して時打ちもチェック。
回らないから何かと思ったら、歯車が酷く変形。
こりゃ回らぬ(笑)
ゼンマイの破断の衝撃で曲がったのか、どうなってこうなったのか不明。
風切車も曲がって外れた状態で、この風切は別の物のを付け替えた様に見受けられたが、止め溝がピタリ合うからオリジナルの様である。
直し上がり。
ゼンマイ清掃。
錆びているから拭き取る。
上がり。
切れた方を加工する。
丸める。
合う。良い。
吹いてグリースを引いて巻き上げ、仕上げ。
組み立て。良い…
と思ったら、シュモクの振り止めが綺麗に折れたから、手直し。
良い。
給油して試運転する。
ケースは割りかし疲れていて、背板が割れているが、まずまず止まっている。
後で補修するか検討。
試運転中に指針錆を取っておく。
破断したゼンマイ。
破断した部分以外にも割れていて、この部分は焼き入り具合が悪かったのかも分からない。
さ、この部分でオープナーを作ったりマイナスドライバーを作るのは古い人かな(笑)