A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

GRADO 断線MC カートリッジ

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GRADOのMCを預かった。

症状はコイル断線。それもステレオで。

カンチレバーは樹脂のオリジナルは折ったらしく、ターンオーバーと思われしカンチレバーが貼ってある。
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ケースはコジった跡があり、修理を試みた感が伺える。
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ケースは糊付けでどうやら抉っただけで、外せなかったらしい。

鉄粉がギャップへ多く入り込んで音がビビりそうである。

端子部分でコイルは繋がっていたが、調べる為にピンセットでコイルを撫でた途端にパラパラと崩れ落ちた。

ウレタンの皮膜を残して内部は腐っていたのかなと推測。

残った部分は摘んでも崩れなかったから、ここへハンダして線を継ぎ合わせてみたが導通は無かった。

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カンチレバーユニットを取り出すと、もうこの部分でコイルは既に跡形なかった。

導通のない理由が良くわかる。
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引き出し線のないユニット。
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ワニスで良く固まっている部分は頑丈で、コイルを剥がすのに苦労した。
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オルトフォンと同じと言ったら同じであるが、線経がオルトフォンは0.05だったが、本機は0.02で、今.02径が手に入り難く、.035が最小である。

巻き数が少なくなってしまう事は承知で、巻けるだけ巻いてみる。

元が何回巻いてあったのか不明な為、実験的になってしまうが、巻けるだけ巻いても発電電圧は少ない筈である。
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今回は巻きが斜めに巻いて行くから、ジグを作った。

これが案外良い塩梅でやり易かった。

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ワニスで全てを包んでやって元と同じ状態へ戻す。

巻き数はなるべく多くして、大きさは暫し大きいが、ダンパー径にも程々合うであろう。

ガイドの爪は出ているから、問題ない筈だ。

結構な量をくれたから明日、固まったら組み立てる。