A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

ニホン周波時計 NSC 、N.K.S.

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これは私物。

先日に買って少し解体して、色々やる事が積み重なったから其の儘放置していたもの。

100vを印加してコマを回せば動く時がある。

自動起動型ではないから、手で回してやる必要がある。シンクロナスの典型。

テレクロン、シンクロン、マツダの自動立ち上がりのタイプは、単なる2極ではなく、一部に銅線を巻いて位相を遅らして自ら回転を始める様にした物で、改良型。

これはテレクロンの初期型と同じであるから、割と古い物ではないかと推測。

それでも大正期かな。

固着しないで動くからOHしているのかと思ったが、その様な事はない様子。

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電気時計である割にはコチコチと1秒を刻む音がして、秒針も不思議な動きをするから、機械に興味があって。

こんな状態で放置していたが、かなり古い油の匂いがして、時計らしくない、蓄音器の様な甘い香りがしていた。それも結構強い。

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1秒を割り出していた歯車は2重で、コチコチとやる様に作ってあった。

スムーズに静かに運針させると存在が無くなるからだろうか。分からない。変わった機構をしている。

歯車のプレスは、米 セス・トーマスの物の様な具合に見受けられるデザインであるが、国産らしいプレスの感じがする。

金型を買って使っていたのかも知れない。

精工舎とは違う路線である雰囲気はする。
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一見して、中空コアかと思ったが、銅メッキの板がコアらしい。

リーケージは大きそうだから、電蓄やらがまだそうそう量普及していない頃かなと思う。

リーケージが多いとP.Uが拾ってハムの原因になる。

特に置き時計であると、壁と違って、場所が近くなる可能性も考えられるからである。

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回転を調べると30rpmである。

この手の物としては、かなり高速である。

割とスムーズには回るが、振るとガタガタと音がしている。何か外れているか?

その中身を見てみる事にする。

NSCかと思ったら、モーターはNKSとある。

別会社かな?
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モーターはオイルで満たして封をするのが普通で、ハンダで封がしてあるから、ツボで焼いて開封する。煙が物凄い上がる。完全に乾き切っていないから密閉は上手く行っていた事になるであろう。
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回転子はギザが付いたもので、空回りする銅か真鍮円盤が上へ乗っかっている。

これの惰性で回転を維持する役目かも知れない。

上手く回り出さない理由は、このホイールが固着気味だったのかも分からない。

それと、ガタガタ音はこの為か?

とにかく、本来は2極では恐らく回らない物なのだと思う。

記憶では、ニコラ・テスラの交流モーターの試作品では4極か3極だったかと思う。

 

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洗い洗浄をして組み立て、試運転をしたが、モーターが止まり易い。

尚且つ逆転し易い。

これはモーターの励磁位置が良くなく、僅かの遊びが軸を中心としてあって、回せる様になっている。

逆転し易いのは、コアの向き、位置によって絶妙な位相差ができる様である。

モーター押さえはフェルトのパッドであるから、ある程度の調整を必要とする意味と思う。

もし無調整であれば、カチリと位置決めした金具で止めたら良い。

そうではない構造から推測、研究しながら、作業を進めるのもまた楽しいモノだ。

いや、それが楽しみでやっている様なものか。

 

それと同時に、斜めに動かすとホイールが干渉を起こすらしく、垂直に置くと止まる事はなかった。

但し60c/sの歯車であるから、毎秒20%の遅れを生じさせる。

60c/sの低消費インバータが作れないか、検討。