OS51を使った代表的なアンプの様だが、数が少ないのか、マニアが放出しないのか、巷に出回っておらず、出たとすれば、レア度は十分高そうだ。無名過ぎて幾らにもならないかも知れないが(笑)
回路もハンガリー語の記載であるし、アンプの製造もハンガリー。OS51もハンガリー。
地産地消みたいな具合。
変な物でも、数少なく、何かしらで人目について、欲しい人が多ければ、自然と値段は上がるから、本当に良い物なのかは、また別である。骨董品の価値はそんなもの。
スコブル良質な物が、世間に知られていなければ、欲しがる人は少ないから、安価になるのは言うまでもない。
そんなでセットの詳細が良く分からないが、ケースのデザインからして据置可搬両用PA、拡声器であろう。
移動映画のトーキーに使っていた可能性も十分考えられる。
HiFiと言い出すよりも前の頃か、ギリギリかと思われるが、NFBも面白い戻し方でやっているし、まぁまぁHiFiのセットであろう雰囲気はする。Wide-Rangeである事には違いない。
ハンガリーと聞いてオーディオメーカーを知らないが、独自路線を行っていたと推測。
もしくはドイツの影響を受けているかも知れないが、スロバキアが近いし、チェコスロバキアの製品に多分似ていると思う。
割と近代になってもSP盤の録音装置を使っていたりして、音の質はナローかも知れないが、ソビエトっぽい独特な音の質感な様な気がする。
弦楽器が似合いそう。
OS51には1000Vを印加しているから、入力80Vもあれば、約200Wが得られるが、ここでは30Vの上下と表記があるから60Vで、これだと100W程である。
無歪み100Wなのかとも思ったが、試しにシュミレータに掛けると、30Vを得るのもかなりキツイ。
というか、結構盛大に歪んでしまう。
2段目でかなり吸い込み、歪むから、NFでゲインを下げて、歪みを改善しているのではないかと推測。
あまり良い方法とは思い難いが、当時はこれで良しとした事と思う。都合の良い部品が当時は手に入らなかったかな。
調べるとハンガリーでは、部品から自国の工場で作っていた(外の会社の物でも)らしいから、その辺りは徹底していたのかも分からない。
どちらにしても今とは違って、高性能な部品も無いわけで、その中で当時の最良を探していた事は間違えない。今と比較しては全くもって別世界だから、あれこれ今になって言うのは、お門違い思う。
とは言っても、最近も辞める所や生産終了で部品が手に入り難くなって来ているから、昔に戻るかも分からない。
作る人も少なくなっていて、売れないのが原因か。
その内、LCR全て手作業で作らないとならなくなる時代が来るかな(^^;;
Ecc40はμ30で、6SN7、12AU7に互換だと表記されていたが、確かに近くはあるが、同じではないから、其の儘では具合が悪過ぎる。
ただ、最大出力で使う事は恐らくない。が、使わないから、歪みっぱなしにさせておくよりかは、歪みなく綺麗な状態で待機させていた方が良い。ピークは綺麗に伸びるし。
その良さが分かるセットと対にしてもらわないと、意味は無いのであるが、まぁ良くしておけば、段々と他を良くしていけば、良さが分かる時が来るかも知れない。
Ecc40の2段でトータルゲインは15倍程度で、カソードデカップリングも無いから、局部NFに働いている事もあってμは低くなっている。
それならば、6SN7を2段にするよりか、6SL7を1段でも問題ないであろうと考え、置き換え試すとμ25で、で20μFのデカップリングを入れるとμ46に上がったが、100c/s以下が1.8dB落ちた。
デカップリングの無い方が極めてフラットに近いから、オリジナルも入れなかったのかも知れない。
カソードの時定数とを変更してコンバートした後に歪むギリギリ50V出るから、g-g100Vになるから、OS51をフルスイングさせるだけの初段/ドライブには計算上はなった訳である。
当時のスピーカーはハイ上がりになりがちだからか、それとも発振防止にか、プレートに68pfのハイカットが入っているのも古風な印象。
10kc〜20kcに掛けて緩やかな減衰効果が得られる計算になる。
大きい音を出した場合は、ローもハイも減衰させてやると、大音時の耳のカーブに具合良く合う。
最近のコンサートは、フラットで出しているのか、ドンドコもし過ぎるし、耳が痛くなるハイが突き刺さる。
もっとローもハイもラウドネス曲線に合わせて落とすべき。
ラジオの場合は1000pf〜4700pf程を入れてハイを落として低域が不足するのを防ぐのに入れる。
OPTに1000pf程度を入れておくのはお決まりの様に思う。
ただ、歪みの多い場合に、低域を効かすと、濁音になってしまって、全てがバビブベボになって、アナウンサーが何を喋っているのか分からなくてなるから、そういうセットの場合はローはカットするべきである。要はミッドが出ていたら良い。
これは作ってみたり、色々なセットを触っていれば、ラジオらしい音だとか、電蓄として作ってあるセットとの違いが分かるかと思う。
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06年の映画、“地下鉄に乗って”を見る機会が今になってあったのだけども、なんだか映画自体が物凄く古い装置で録音したのか、セリフのピークがかなり歪んでいる。
ただの歪みでなくて、フィルム独特の音。
光学録音、フィルムに現像して音を録音するサウンドトラックのあるトーキーフィルムの事を言うのだけども、これの音っぽい。
今はフィルムを回さないから、分からないだろうけれど、古風で良い質感である。
小さい音の時には気付き難いが、セリフは完全にらしさが出ている。
球式のWesternが入った劇場では、多分当時はこういう音が鳴っていたのだろうなぁ。
映画館クサイというか、何というか、後抜け良いスッとするダンピングの良い、軽くて硬めのコーン紙で。
まぁまぁ劇場らしい音。
フィルム自体の持ち味なのかも知れないけれども、私の所で16mmを回しても、こういう感じにはなっていなかった様な。
フィルムが新し過ぎるのかな。
また涼しくなって来たし、映写機出して見てみるかな