A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

8930

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会社に転がっていた8930を譲ってもらった。

これでオーディオアンプを組む人は恐らく世界的にみても居ないであろうとの事。

そんな事を言われると余計に取り組みたくなる性が出てしまう(笑)

 

8930

UHFリニアアンプ用に開発された250Wセラミック出力管。強制空冷。

これはラジエーターが前のモデルである、4CX250(7580)よりも大きく、強制空冷のファンの音をラジエーターを大きくする事で、風量を少なくして静音化する事ができ、寿命的にも優位なのではないかと推測。

ソケットと強制空冷のパイプは、旧型の物で、チムニーと球はソケットに対しては、新型の新しい物が挿さっている事になる。

ソケットは粉塵にすると有害のベリリウムが使われているから、加工はしてはならない。

しかしながら、ベリリウムのバネ性は熱の加わる部分に対しては、大変に有効の様で、米軍の使い倒しから外した物にしても、全く接触不良が無い。

まぁまぁ、軍用がヘタる様な物を使っていては負けるのは間違えない(^ω^;;)

 

頭のラジエーター全てがアノードであるから、シャーシ対で触ると感電するから危険である。

シャーシには0側をアースせずに浮かしておいた方が良さそうである。もしくはセットの中に納めた方が安全だ。

 

通常、プレートには2000Vを印加しプッシュプルとして使用するが、1個で250Wだから、オーディオアンプとしては、業務用機、或いはプロパガンダ放送用の大変に大きい出力で遠く迄轟かせる必要のある現場で使う…と言った事が無い限り、シングルで十分用を成す事であろう。

通常、8930の価格は@¥70,000-であるが、これは50年位前の価格...?であろうか。

今は作っていないし、古い事は間違えない。

今でも、アマチュア無線家の中には、使用して居られる方もあるだろう。

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試しにEbb300Vで電流が250mA流せるシングル100WのOPTを用いて、どれ程鳴るのか試すと、全く良い音では鳴らなかった。

歪みの激しい音で、使い物にはならない。

Ebb300、Eg-50、Ik35mA程。

μは実測5だった。

使い方を変えて、sgに信号を戻してやると、マトモに鳴る様になった。

バイアスはもう少し浅くして電流を流した方が全体に粒立ちの良い、コントラストが効き出すが、熱量も上がるであろう。

そよそよとでも、仰がないと周りの部品の類も壊れるかも分からない。

今段間では、ラジエーターに一瞬触ると、熱いなとという程度だから、80℃程の様な気はする。

音は低圧ながら、かなり大きい球を使った時と同じく低域のユッタリとした、余裕の塊といった大物感が半端なく味わえる。

小さい信号でも満足行く鳴りをして、細部も嫌な化粧がなくスッキリしていて気持ち良い。

ドライブは単に1:4のトランスだけであるが、英国的な設計の、小さい音で満足の行く状態をクリアしていると感じる。