マグネチックスピーカーというと、戦前から戦中、戦後間もなく迄、音声を聞く為にラジオに使われていたスピーカーであって、HiFiとはかけ離れているし、とにかく音声を聞き取る為の物であって、ダイナミック型が出現してからは、安上がりにする為の言ってしまえば、廉価品であった。
これが最近になって“良い”という言われをされる様になって、雑誌にもなっているもので、全く何が売れるか見当がつかないモンで。
これが専用アンプとしてスピーカーと一緒に売っていた物だそう。
終段 UX-254で、古風なソケットで仕上がっている。
構成はこの様で、OPTをチョークとして使ってコンデンサカットでマグネチックを鳴らそうというもの。
マグネチックも年月経っているから、あまり電流を流すと切れるかも知れないから、これの方が安心かも知れないが、コンデンサでカットした分、このCの音だったり、OPTのクセが出るかも分からない。
当時のセットはこんな様に使うのが普通で、とにかく安価にする為に作っていた訳で、トランスを多用しては、コストを下げられず、マグネチックを使う意味がない。
だったらフィールドのダイナミックを使った方が高級品として売れるが、廉価品にはならない。
コロンビアかのセットで、コンデンサでDCカットした物があったが、この場合終段の電流が多く流れる為に、コイルを切れ難くする為にコンデンサを入れた事推測。
本題であるが、このアンプで鳴らす音を、“より良い音にならないか”という改造依頼である。
...仕事を貰うという事は有難いが、“マグネチックはマグネチックの音。これ以上に良い音にはならないでしょう”と断っておいた。
何か雑誌の先生方の“良い音”という評判を期待している様で、信じるか信じないかの様な、なにか気が進まない部類ではあるが...
まぁ確かにHiFiでなくても、良い音(?)がする様なナローなソースを再生するならば、良いのかも知れない。とにかく良い音とはなんだ?具体性がなくて分からない...非常に難しい仕事である。
マグネチックを鳴らす上で、アンプを改良してマグネチックが良い音で鳴る様であれば、ダイナミックスピーカー等を作った意味がなくなる。そんなに良ければ、今でも作っている筈である。
今でも売っていないのかと言うと、そうでもないのであるが、病院の売店で、テレビ用のマグネチックイヤホンが売られているのは確かである。しかしながら、振動板が紙ではなく、鉄板で、所謂レシーバであるが、一応マグネチックである。
改造は至って単純であるから、さっと仕上がった。
ただし、UX-45がどれ位流れるか分からないから、持っているマグネチックで試験してみると、1kで24V出ていたから、24mAである。
国産の古いセットに使われていたUX-12Aであると、8mA程であるから、その3倍も電流が流れるから、切れ易さの危険度は幾分上がると思われる。
UX-12Aでもうるさい程に鳴るから、45でなくとも良さそうな気はする。
試験に使ったマグネチックであるが、コイルの引き出し線がフレームに接触、漏電していて、マグネチックを触りつつシャーシに触れたら、久しぶりにドッカリ感電した(^ω^;;)
250V程であるか、DCは随分とショックが大きい。痛い程ではなかったが。
少し前にも、ウェスタンラボの作ったフォノイコライザのブロックケミコンを通電中に触ったら、フロートして回路が組まれていて、100数十Vのショックがあった。剥き出しでブロックを並べた簡単に感電する最悪なセットだったが、まだまだ易しい。
その昔に500Vを触った事があるが、あれは腕の付け根迄ショックが上がって来て、半日くらいは痙攣が止まらずピクピクが続き、次の日は酷い筋肉痛で、後々迄痛いという。どちらにせよ感電は御免であるが、350Vを超えた辺りから、強烈になってくる様な印象はある。要注意である。
まぁ私みたいな変な人は、少し脳にバイアスが掛かった位が丁度良くなる可能性もある(爆)危険なので真似せぬ様