A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

球を替えると音が変わる?

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5965Aは暗い音がする?

試しに持っていたガラクタレベルの12AX7、5751、12AU7、5814A、12AT7を挿してみた。

X7系はゲインが少し上がると同時に、ハイが少しシャキリとしてアメリカンなキラキラさを感じる。5965Aが随分暗く感じた。

T7はゲイン同じといった印象であるが、キラキラ感は5965Aよりもある。

U7系は少しゲインが下がる。しかしながらやはりキラキラ感はある。

5965Aに戻すと、両ch共暗い音で揃う。

 

若干気にはなっていたのは、5965A側と別球側とで、両ch同時に鳴らすと低域が少し引く点。

位相ズレがどちらかで生じていて、薄く打ち消し効果が出ているかな。

しかしながら、高域の打ち消しはなかなか難しいもので、場所によって変化するから、判別は難しい。


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明らかに5965Aは暗い音がしていると感じたから、テスト信号を入れて、f特を見てみたのだが、大凡フラットで綺麗。
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ゲインが同じに感じるT7は測定通りだった。

ハイは上がる事もなく、若干低域が僅か下がっているかなという程。
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U7は大凡-10dB落ちている。

これも特性にあまり変化がない。
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5751は+3dB程上がっているかなと。f:id:A2laboratory:20220623221442j:image

X7でも変化はあまりない。

低域が落ち気味であるが、それ故にハイが明るく感じていたというのだろうか。

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もう片ch側も試験。

5965A。入力を大きくした。

綺麗にフラットに来る。
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12AX7。低域が撫で肩にも見えるが、5965Aも殆ど同じ。

 

訳分からない悩ましい域に来ている。

試験信号ではどれもフラットに出ていたが、音楽ソースで変化を感じたのであるから、音楽ソースのピークのデータを取ってみる事にする。

尚、固定抵抗負荷ではなく、スピーカーを繋ぐとインピーダンスが一定ではないから、ウネリを生じさせる。

 

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5965A
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12AU7
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12AX7

 

1曲を頭から最後迄、ピークホールドにして測定した図である。

悩ましい。あまり変化が無い様に見受けられる。

でもって、ゲインの僅かな違いで、明るく聞こえていたのか、暗く聞こえていたのか、何度もやっていたら、変化を感じなくなった…というのが最終的な結論。

慣れてしまったのか、そもそも先入観、気分的なモノだったのか、分からなくなった。

結果として、歪みが一番小さいのを選ぶだけで良さそうだが、815の-Cバイアスの具合が一番歪率に直結している様に思える。

ACバランスは上下の波形のアンバランスを調整可能な事が分かった。終段のプレート対プレートで揃えるのでも良さそうであるが、OPT2次に出る波形のppが揃う様にセットした方が良さそう。

DCバランスよりも、球を変えた際にはACバランスの調整をした方が良いであろう。

言ってしまえば、ACバランスさえ調整すれば、後は許容入力の大きさの問題だけで、どの球でも差し替えられて、調整してやれば良い…という事になってしまいそうだ。

最も、ACバランスの調整を省きたいのであれば、入力トランスで、ppにした信号を、初段から全てプッシュプルで構成するのが最良という事になる。

アルテックやウエスタンの業務用は、このスタイルを採用しているから、ACバランスのアンマッチを極力小さくする様に努めた回路と言えそうだ。

それで言うと、昨今のpp回路はバランス調整がDCしか無いから、ppの割に歪み率は高いかも知れない。

それならシンプルにシングルの方が歪みの少ないより良い音がするかも分からない。

インターステージでppにしても、初段でアンバランスになっていては、単音のテスト信号では基準がズレてアンバランスでも中央に寄るかも知れないが、音楽信号の場合は複音だからアンバランスはアンバランスに出る音がある筈である。

とは言っても、カーブの目がキッチリ揃っている訳でなければ、大きい信号の時はエクスパンダの様に、大きい音は大きくなるし、小さい音は小さい、と言った様に出力される。

ただ、BカーブのVRよりも、湾曲したAカーブの方が、自然な音量可変に感じるから、2A3や300Bの割と綺麗に揃っているBカーブ的なロードカーブよりも、ビームや5極管の様な、Aカーブ的なロードカーブの球の方が、音の大きくなる感じ方は自然に近いかも知れない。

それで言うと、綺麗に揃ったリニアなカーブ(Bは急激に音量が上がる感じがあるから、それでピークにハッタリが効いて凄い音がしている様に聞こえるのかも分からない。

 

とりあえずの所、また1つ良い勉強になった