A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

807pp 完

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発振の問題は無くなり安定している。しかし今度はクロストークが大分大きい事が気になった。

OPTに入るBを見ると、結構信号が出ていたから、追加で330μFを入れておいた。

これで改善があるかと期待したが、変化はないが、Bの揺らぎはかなり改善した。

VRを片方絞っても片方の音が半分以上普通に出る。

初段、ドライブで漏れているのか確かめたが、絞った方は綺麗に絞られている。

ドライブの終段も信号は現れていない。

しかし807のグリッドには、信号が現れていて、-Cが共通だから、そこで信号が伝達しているのではないかと思ったが、波形は出ておらず、デカップリングも増やしてみても変化がないから、完全に分離する様に抵抗を入れてデカップリングも入れて試したが、やはり変化がない。ここでは無いらしい。

そうなると、入力トランスのリーケージフラックスの影響を受けている?

そんな事は考えられないが、数十Vで励磁した入力トランスが隣同士で、漏れ磁束を受けて信号になっている?

トランスへマグネットを近付け動かしてみたり消える所がないか確認したが変化ない。

そもそも、リーケージフラックスの影響で、HiFiに鳴るのは考え難い。

もしもその類だったら大概中高域か、高インピーダンス回線のクロストークであれば、高音である。それでもガンガン鳴るのは不自然である。ある程度小さい音が聞こえる様な感じである。

低域も豊かに、普通に鳴るというのは経験がない。

専ら低周波トランス1次側に信号が全く出ていないのが決定的な証拠であろう。ここじゃない。疑っている場所が違う。

 

807のpp双方のグリッドをショートもさせてみたが、音は消えない。

プッシュで飛び込んで来ている信号ではなく、シングルらしい。

プッシュの場合だったら、グリッド対グリッドをショートさせると同相になって打ち消しになるから音は出なくなる。

これがなんの変化もなく、まるで信号を入れているかの様に低域迄も音が出続けるのは物理的な可能性が高いが、何がどういう作用なのか分からない。

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片chのプレートキャップを外しても音が出続けるか試すと不思議。音が出ている。

グリッドに信号もやはり出ている。f:id:A2laboratory:20210305093211j:image

抜いてみる。

電源を切っても直ぐには冷めない熱さになっているから、通電しっぱなしで、触って変化する事を頼りに探るスタイルに変更。

変化なし。出続ける。不思議。

しかしグリッドに出ていた信号は消えた。

球が挿さっている事によって信号が出ていた様だ。

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配線を間違えたのかと思って、ショートさせない様に一旦解してチェックしたが問題ない。

プレート線や信号線を一纏めにしたら良くないのかと、離してみたり握ってみたりもしたが波形に変化はなかった。

線の近さが影響している事ではないらしい。更に触ってハムが上がる事はないから、そこまで高インピーダンスにもなっていないらしい。

何故だろう、何故だろうと探って、OPTのP-P間をショートさせると音が止む事が判明。

外した球のプレートへ行っている線をOPTから外すとピタリ音が止んだ。

線がアンテナになっているとでも言うのか?

そこで、外した線をチョンチョンとタップへ触らせて、信号に変化があるか見ると、1本は変化なし。

もう一本は、タップに触れた瞬間にバチチとやって、電流が流れた。これには驚いたが、こりゃもしかして...
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初歩的過ぎて、恥ずかしい限り。

内側の左右でキャップがテレコに挿し間違えをしていた。

そりゃ、片方の音が絞ってももう一方へ出るわな(^ω^;;)

そんでもってシングルで動作しているも同然に。

どうも発振してgmが出過ぎる807を交換した時に、全部抜いて挿し戻した時にキャップの潜り先を良く見ずして間違ったらしい。

いやぁ、やっちまったなぁ。横倒しの時は特に気を付けなければ(ーー;)

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よく見たら、先程の写真でも逆さに挿さっているのが確認できた(^^;;

もう一度特性を測り直す。やり直し。

 

ちなみに、P-PでOPTを開放にしていても、400mV程信号が出るから、これはOPTのリーケージフラックスであろう。

但しこの状態では音が出ている様にはスピーカーからは聞こえない。感じ取れず。

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測り直し。あまりF特に変化はなかった。

大凡フラットに来ているからOKとする。

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これにて完成。

 

大元からDCバランサーは無い設計で、回路構成は変更なしを希望されていたから、ペアを2つ用意し球で合わせてやれば良いアンプである。

元の-Cバイアス回路は動作に問題を起こさせる為、改修させてもらった。それ以外はオリジナルを保っている。

 

球に合わせに行ける設計のアンプであれば、言ってしまえば、どんな球でも使えるから、エミゲンであろうが、最後迄使い倒す事が出来る。

昨今のアンプは、市販品もアマチュア作品も、DCバランスは調整できるが、ACバランスの調整がない物が圧倒的に多く、gmで合わせた場合には、ACバランスの調整は大凡必要はなくなるが、DCバランスは機械側で調整する必要がある。

DCバランスでペアとしたならば、ACバランスを機械側で調整する必要がある。

手持ちのチューブチェッカーが、gmを測定しているのか、電流を測定しているのか、確認された方が良い。

gmと電流が一致していると思われている方が居られるが、それは違う。

真空管工場では、gm、各電極電流を見て良否を下している。

どちらも±20%以内で出荷していたはずである。時間が経過すると値は変化を起こすが。

航空用真空管試験機は、gmと電流が見られる様になっていたはずである。

双方が完全一致する物が幾つも取れる事はまずないであろうが。

また、ヒーターだけを点火しておけば、エージングが進むと思っている方が居れられるが、これも誤りである。

高圧を印加し球を動作状態にしないとならない。

ヒーターだけを点火し続けるとエミッションが逆に下がるから、プレートへ高圧を印加し電流を流しておいてやると、エミッションは徐々に回復する。

 

 

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別途、807を頂いた。

1625も結構増えて来たから、大きいのが組める。

その前に4CX300Aでシングル100Wを作らねば(爆)