A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

ナショナル T14-R1P pt5

続編。

f:id:A2laboratory:20200908204206j:image

電源のトータル電流は1.5A程で、高圧が掛からなくなると数百mA程下がる。
f:id:A2laboratory:20200908204214j:image

音声IF/検波基板のペーパーコンも交換、音が大きくなるかと思ったが、変化無しに近い。

S.Pは3.5Wの楕円で、音圧は高いだろうから結構な音量は出そうだ。

終段の16A8に合わせてある。

映像もフォーカスが甘い様な雰囲気だから、映像IFTの2段目を少し回してみると絵のボケが解消、3段目で音も大きくなって来た。

ケースと共にダストコアの外れかかっていたIFTであるから、外れかかっている状態で工場出荷になったのか分からないが、ペイントもズレていないから、可能性は高そうだ。f:id:A2laboratory:20200908204203j:image
f:id:A2laboratory:20200908204150j:image
f:id:A2laboratory:20200908204147j:image

IFTの調整をして、暫く通電しているとペーパーコンの幾つかが発熱して蝋が溶け出している物が出始めた。

絶縁試験をして20M以上あった物も、調べ直すと1M迄落ちていて、ダメになったらしい。

音声カップリングも絶縁が悪く4Vも出ていたから交換。

f:id:A2laboratory:20200910224603j:image

垂直のペーパーコンも交換して、絵は良い様に伸びる様になった。
f:id:A2laboratory:20200908204200j:image

交換して各所の電圧を見ていたら、ポンッと鳴ったと同時にバシュッと飛沫の霧が出た。

f:id:A2laboratory:20200908204210j:image

高圧ワイズに入っていたオイルコンが爆破したが、試験では50M以上出ていて問題無しとしたが、高周波高圧が印加される部分には問題アリだったか。

ビニールの様なマシン油とは違う独特のニオイがあって、手を洗ってもニオイは落ちていない。

年代からしてもPCBな可能性は高いか。

手にも顔にも飛沫を浴びてしまったが、とりあえず小さいチューブラだからか、すぐに冷えた様であるが、熱々の油じゃなくて良かった(^ω^;;)

交換して再度確認、高圧ブースト電圧が上がって、正常範囲に。

輝度を最大にしても、絵が大きくなって輝度が落ちる様な事はなくなった。

ただ、輝度を最大にするとハイコントラスト部がネズミ色になって、後もう少しで白黒が反転な雰囲気がある。

AGCの調整不良か疑ったが、大きく変化がなく、もしかするとCRTのエミッションがあまり宜しく無いのかも知れない。

チューブチェッカーでは一応Goodの方へ示していたが、?にもReplaceにも近い。

他に考えられるとすれば、映像IFTの調整不良か。

f:id:A2laboratory:20200908204153j:image

垂直サイズは垂直直線性/補助VRで調整してやると引き伸ばせた。

カーボン抵抗が幾らか増大化している様であるが、調整範囲内でマージンも多いから良いだろう。

水平の安定はスコブル良いが、垂直の安定性がイマイチ不安定で、流れたかと思えば止まってを、不定期に起こす。

同期増幅と垂直発振の間にある積分回路が怪しいとなると、複合素子CR-101が疑わしいが、壊れていると交換は出来ないから、ディスクリートで作らなければならない。

f:id:A2laboratory:20200909204323j:image

外してテストすると①-③で36k、②で4000p程。

絶縁も100M以上あって良好。

大体、10k-10kで間に2000pf、5000pf程で構成されている事であろう。

これらの複合素子の内部数値の一覧が無線と實驗に載っていたが、どの号だったか忘れてしまった。掃除の時でも見返してみる。

f:id:A2laboratory:20200910135741j:image

古いセットの積分回路は上記の通りである。f:id:A2laboratory:20200909204320j:image

他にペーパーコンも交換しているし、チェックしていないのは、カーボン抵抗しかない。

大体古いカーボンは増大化しているのが普通で交換した方が良いであろうが....(^ω^;;)

とりあえず、全てチェックすると垂直の1Mは7.5Mになっていて、+750%になっていた。

1.5Mも同様に+1600%以上と桁違いに膨大化していたから交換。

音声終段グリッドリークの560kに至っては無限大。切れていた。

f:id:A2laboratory:20200910213817j:image

これで少しは改善されたが、やはり垂直同期の安定ポイントが非常に狭い。

絵によっては、同期が外れる場合があって、何かしらに問題あり。

2000pfを絵を見ながら各所に当てて、どう変化するか見ていくと、積分回路の複合素子辺りがやはり怪しい。

良く良く考えてみると、10kが2つで20k程の筈で、これが36kという事は、これまた増大化している様だ。

積分回路の①を切り離すと、VRを調整しても常に絵が上か下にグルグルして、止まりどころがない状態になった。死点に近くなるとゆっくりになるが、止まる事はない。同期するトリガがなくなった為に安定しないのだ。

①、②を切り離すと垂直の幅が狭くなり、半分程で同期外れの状態になった。

こういう症状をノートするのも、今度壊れた時の症状判別知識として重要。

 

この事から同期信号が小さくなると、安定が悪くなる可能性を考えて、空中配線ディスクリートで複合素子を作って組み込むと、同期の安定幅が広がった。

しかしながら、幅は広がっても、今度は上下に僅かユラユラ、ブルブルとしていて、落ち着かない。

垂直発振は綺麗にしているが、オシロで観ると、トリガが安定せずにズレた位置に立ち上がり、彷徨っている。

そこで、水平発振トランスのスチコン3000pfに0.01μFをタッチさせると、発振周波数が変わり、VRの静止位置も変わってくる。

0.047μFに変えると、発振は低周波になってしまい、ラスタが上下に振幅するという絵が観測出来た。

オシロのX-Yリサジューをやっている様な具合に近い。

水平と垂直信号をオシロに入れたら、映像が得られそうに思う。

 

ここはあまりにも信号が大きいと同期が不安定になり、ある程度パスしてやると良い事が分かったから、スチコンを外して0.01μFをハンダしてやると、僅かに揺れていた絵は静止し始めたが、まだ完全ではない。

カーボン抵抗の増大化が悪影響なのか、球的なシビアな問題なのか追求する必要あり。

それと、輝度を最大にすると、白い場所がネズミ色になり、明るくならないという問題は残ったままで、次第に明るさが得られないという症状が現れた。

コントラストも浅い様で、画面サイズが若干ではあるが小さくなっている様である。

f:id:A2laboratory:20200910213813j:image

そこで水平出力管、25E5のプレートにドライバーを近付けてもアークが弱いから、高圧が低いと見受けられる。1mmは出ているから、1kV程度であろうが、p-Capは2mmは飛んだ方が良い。

球は試験済みで、フラッシュさせてgmはそこそこであったが、交換すると輝度がかなり上がって明るくなった。

コントラストも反転しない。

テレチューブのエミッションはまだ大丈夫だ。

テレビ球がシビアなのは承知であるが、特に高周波は余計に左右され易いのであろう。

もしくは、エミゲンに戻ったかである。


f:id:A2laboratory:20200911143018j:image

f:id:A2laboratory:20200911143021j:image

電源を切って、暫くしてから再投入すると、垂直が小刻みに揺れているのが酷く、安定を乱す迄に至った。

そこでもう一度カーボン抵抗のチェックをすると、垂直同期VRに行く560kが4.5Mにも増大化している事に気付いた。

VRも大丈夫かチェックすると大丈夫であった。

もう一度、同じ抵抗をチェックすると、今度は630kと出る。先程は4.5Mと表示されたのに不思議だ。

片脚を切って、厳密に測定すると、極性らしき症状があることに気付いた。

上記の写真がその時に撮ったものである。

怪奇過ぎる故障モード。初めて遭遇した。

カーボン(ソリッド)抵抗は、L型よりも良くない可能性...