A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

6SN7 コントロールアンプ 改修

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18年に作った品。

Daleの抵抗で構成したりと高級仕様。

コスト高で安売りしていると、持続出来なかったという良い勉強になった頃かな(^ω^;;)

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Bのリプル消しはFETで、定電圧放電管を使った時同等で、大変に綺麗である。

ヒーターはAC点火で、100Ωでバランスしているが、当時はカソードバイアスに繋ぐと良いと思っていたらしいが、今はCでアースした方が一番ハムレベルが下がる事が分かっているから、オシロを見ながら一番小さくなる様に調整しつつハンダ。

 

本題は修繕で戻ってきたが、問題点はゲインが高過ぎてVRが僅かしか上げられないから、2連VRの問題であるアンバランス(ギャングエラー)が生じるという。

これは2連の宿命で、アンバランスは必ず生じるもので、バランス用を設けてはあるがこれを調整するのはあまり好かないとの事。

VRのAカーブは、丁度中央付近で使うのが良く、メーカーサイドとしても中央以上にフォーカスしているのが多いであろう。

ゲインに関しては、以前に作ったRCA MI-9377コピーが案外鈍感で、コントロールアンプかラインアンプは必須に考え、古いパワーアンプは、数Vはフルスイングに必要である事を踏まえてのゲインとした設計だったが、数百mVでフルスイングして、ラインアンプやコントロールアンプを飛ばして、其れ等を抜きでも使える様なパワーアンプ(?)複合アンプ(?)が流行りの様で、TパットATTというよりかはL型。

パワーアンプがダイレクトに鳴らせて、付加価値にNFBに音色コントロールを挟んで追加して、ボリュームにL型ポットの付いた廉価版アンプが姿を見始めたのが昭和30年代。

昔ながらのパワーアンプの構成でありながら、ハイgm、高ゲインの球が揃う様になって実現したものであるが、結局こういう廉価版の方が扱い易くウケが良かったから、今にも通用しているのだと思われ、昔気質のパワーアンプ、ラインアンプ、コントロールアンプ、そうやって分けて使っていた時代の代物は、アンティークの分類となって、昨今の機材と合わせようというのは、不釣り合いなのであろう。

 

もう1点は、VRを最大にすると掃除機のモーターが動いているかの様な、独特の発振が現れるという。

動画も送ってもらったが、私宅で再現すると、アンプ近くの電灯線にダイソンの掃除機を繋ぎ、モーターを回した時の雑音にかなり似ている。

モーターの発するキーンという音に近いノイズがスピーカーから聞けるのである。

しかしながら、その様な所見は見られず、最大でも安定が良かった。

定めし、電灯線から回り込みノイズであろう。

インバータかスイッチング電源かモーターか、色々とノイズを散らす品物は多い。

対策をしなくても平気な品物が多くなったから、電灯線がノイズで汚れていても、デジタルは元からノイズみたいな物だから、問題にならないのであろうが、アナログは飛び込みでノイズが音になってしまうから、困ったものである。

最近の安い品物は、高周波で聞こえないから、高周波が出ていても、問題ないと割り切っているメーカーもある様だが、そりゃマズイでしょう...

知らなければ聞こえないから分からないけども....

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最近のCDPは10dB送りが多いみたいで2V位出るから、ある程度VRを上げても歪まない様に-3.5dB落とし。

Aux、Tapeは其の儘とした。

DENONが売っていたカセットデッキの出力が200mVというのがあって、石の時代にしてはかなり低い出力で、当時のハイゲインのセットに合わせてだったのか分からないが、そういうのがあるから、使い分け出来た方が何かと良いだろう。
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以前に端子が緩いと連絡があったのだが、確かにグランド側が緩くてグランドの接触不良のハムが出る可能性もある。

とりあえず潰して良く接触する様にして試運転。

 

出力は-12dB落として、内部回路でも2素子でNFBを局部に強力に掛けた。

トーンコントロールは、真上に向いた時にハイはカット側に、ローはブーストに多少偏差があったから、位置調整。

単にツマミの位置変更をしただけであるが。

これもMNカーブと違うから、Bカーブでも中央付近で必ずしもフラットになるとは限らない。

耳合わせが効く人であれば、フラットがどの位置かは無表記でも探れる事であろう。

既存品でトーンスルーの付いた製品を見かけるが、各社で音色は考えて付けているから、スルーの意味合いがあるのか分からないが、スピーカーがそもそもフラットに入れてフラットに出ているのか。これが問題と思われ、トーンコントロールで最終的にスピーカーの具合を調整するのが良いだろう。

映画館であれば、決まった音量で鳴らすし、スピーカーはセットされたら動かす物でもないから、総合バランスで固定の音色調整回路を組み込むのが普通である。

だから、廃棄されたアンプを其の儘使おうとすると、ハイ上がりだったり、凄いカーブの掛かった音が出たりして、これが業務用アンプの音色かと思う方が居られるが、それは場内に合わせた設定で、EQ補正を外せば普通のアンプと同等である。

逆に言えば、同じ時定数の補正を掛けたら、場内と同じになるから、アンプを変える事が出来る。

但し、映画館に入っている様なセットは出力が大きくマージンを取っているから、民生機では大音時に歪みが大きくなるであろう。

まぁどちらにしても別段、業務用だからという事ではなくなる。

一昔前のP.Uカートリッジも、あえてハイ上がりにして、HiFiらしい感じを出したりと、各社が音色作りをしていた時代もあって、その昔からラウドネス補正という名の固定の低域ブースターで音色作りしているのもあった。

本来のラウドネス補正は、連続可変で、小さい音の時にドンシャリカーブに、大きい音の時に逆ドンシャリになって、中高音が上がる。

しかしながら、これもソースの信号が規定であれば、そのカーブと音量とで合うが、小さ過ぎる、或は大き過ぎて、カーブと音量が合わないと、変なカーブに聞こえる様になる。

ボリュームとは別に連続可変のVRでれば、都合の良い様に合わせられるが、大体ボリュームに連結してあるのが多い。

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全体ゲインは6dB。

小さい音で鳴らした場合の全体ゲインは-20dB(入出力の差)程で、単に衰退させているだけという事になるが、コントロールアンプであるから、これで良い。

ラインアンプであれば、バッファになるから、0dB出しが一般であるが、稀に+10dBなる規格外も安く売っていたりする。

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試運転。