A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

UX-865 / VT-55

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3本は各々に異なった形の電極なので、同等品とは見受けられ難いが、3本共に同じものである。

ミテクレだけでは判断が難しい類もある。

製造時期の順としては、右のS管は電極の作り込みが凝っていて、カーボンの様な筒状のプレートである。どちらにしても手間を思わす事から、この中では一番古そうである。

ST管の形状となると、S管の改良型であるから、時代は暫し新しい部類である。

ステムのシールドがパンチングの筒のものは恐らくSTの中でも古く、その後の物は舟になっている。舟も省いた形式があるのかは分からない。

 

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データシートには低周波の記述はなく、高周波RFの使い方だけで、B級C級の記述がある。

更に直熱管である事を考えると、立ち上がりは大凡2秒であるから、携帯送信機向けに作られた可能性は高そうである。

それにsgの電圧が送信管にしては低く、sg変調というよりかは、出力調整を行うのに使う可能性を思う。

もうそうなってくると、VTナンバーがあるから、キャップ向けというよりかは、信号隊ラジオが背負子の様な送信機を持ち歩くタイプの物かも知れない。想像の域は越えないが。

 

この事から、低周波AFで使う場合には、非常に使い難い物である可能性は高い。

更にAFアンプの製作記事を目にした事がない。

海外ネタでもやはりRFのみであるし、そもそもネタが殆ど出て来ない。
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そんな具合であったから、AFでは使い物にならない可能性も考えられたが、フィラメントが明るく光るし、電源制御でも良いが、増幅に使えるかやってみる事にした。

しかしまぁ通常ではやらないゼロバイアスで程々しか電流が流れないから、初っ端から楽観的に思っていると、一刀両断される。

普通一般の回路構成では、全くもって音が歪んで使い物に出来ない。

なるほど。だからAFの表記が無いのであろうな。そう痛感する。

 

5965のバッファで1W前後取れるから、単巻き反転トランスでやってみたが、ディストーション エフェクターにしかならない状態。

ギターアンプにはちょいと都合良いか?(^ω^;;)

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次に別電源でプレート電圧を倍以上にしてみる。

整流をして10μFのオイルコンだけで平滑しているからリプルは相当あるであろうが、不思議にハムは出ない。

逆に大きくなっていくとハムが増える場合がある。

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電圧が上がると増幅度が上昇して、音が大きくなった。

然し乍ら、低域の歪み感は酷い。反転チョークが悪さしている可能性を思って、2次を開放にしたOPTを繋いでみると、これが良かった。
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全てが完全という訳ではないが、試しに大きいコアだと具合が良くなるかやってみたが、大きければ良いという物ではなかった。

 

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消費電力の割に歪みが酷く、大きい音も出せないレベルでは無駄が多過ぎる。

そこで、UZ-42をカソードフォロアのドライブとした。

これは807の業務用AFアンプでも採用され、元はNHK研究所が発表したものである。
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42を入れると馬力があるから807族らしい、ドッシリした音が出る様になって、グリッドへ+150Vpp入っているからかなり大きい音が出せる。

然し乍ら今度は初段の5965がサチってしまって、終段側がフルスイングする前に前段がオーバー。

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初段がサチらないものを探してみる。