セミみたいなポータブルスーパーを社長から譲ってもらった。
以前に委託出品していた品物であるが、長い事売れなかった。
以前はバッテリーで動いていたが、全く動作しなくなっていた。
ACを繋いで通電すると、ボリューム最大でハムは僅か出たが、受信はしなかった。
壊れている方が私的には楽しみになって良いから、余計に欲しくなった次第である。
ACドロッパーの150ωは程々温まるから、隣のバンブービーが乾燥するのに役立っているかも知れない(笑)
ACが直に入り放しになるから、交換しておいた方が安全かも知れないが、絶縁も良いし、もし燃え出しても筐体は金属であるし、まぁ良いかと、其の儘にした。
分解。
5球スーパーの整流をセレンに置き換えたバージョンと同じで、4球のスーパーである。
ヒューズは入っていないし、安全対策は無い仕様であるが、壊れ難い設計の自信があるという事に見受けられる。
ヒューズに頼る様な危険な設計はしない方が良いのは言うまでもなく。
時代的に考えて、セレン整流器は怪しいから調べると600kの高抵抗を示して、これが問題に見受けられたから交換。B電圧の低下はしていたと推測。
電源を入れると、今度はボリュームを少し上げた位置でハムがブーンと入り、“ヒュオーボボボボ”と派手な低周波発振を起こして、使い物ならない。
これはボリュームの位置に関係なく、立ち上がり3秒程で始まり、爆音である。
低周波発振で考えられる原因として、10v400μのカソードデカップリングが機能しているのか疑問であるから外して調べると案の定、400μは700pfしかなくなっていた。容量抜けである。
全体のフィラメントはシリースに繋がっていて、これはカソードを4つ共に共有しているのと同じであるから、デカップリングがないと揺らされたカソードバイアスが全体バイアスに影響する。
発振はそこから回って起きていたと考えられる。
B側の2つは容量が大きくなってはいたが、生きていた。メーカー推定寿命は過ぎているから交換していまう。
ジャケットを脱がして、ミテクレだけ良くする方向で。
高耐圧の物を選んで詰めると良い塩梅だった。
戻して通電試験。OK 受信する。
5局受信する事を確認、ポータブルだからと侮るなかれ。
ノイズ少なく明瞭で、大きな5球スーパーよりも感度が良い様に聞こえる。ノイズが少ないのが不思議な位。
そりあ、15インチのユニットが付いたBOSCHのコンソールと比べたら、比にならない程低音は出ないが、ベッドラジオにするとすれば上等。
消費電力も小さいし、コンパクト、受信感度も良い。
ハンドルは単なる持ち手ではなく、バーアンテナが入っていて、固定で使う場合に回転させて最良受信が出来る様になっていて、なかなかの面白いデザインである。
AFNは特にシビアに向きによって受信状態の変化が大きい。
特に調整部は触っていないが、IFズレも最小かな。
3インチ程のS.Pが歪む位の大きい音が出る。
200c/s-1kc辺りが一番出易い特性であるが、20c/sも-30dB前後で出ているらしい。鳴っているかは確認できないが、マイクでは拾っていた。
5kc以上は出ないに等しいらしく、拡大してもノイズに埋もれる。
音声聞き取りは問題ないから、ユニットに書いてあったGoldenVoiceは間違えない。
消費電力は如何程なのか調べると、95.3mA流れていたから、9.53W。
ベッドラジオで使っているフィルコのセットは、定格60Wと表記があるから、1/6である。
それを考えるとフィルコを1時間使っていたとすれば、モトローラを6時間使っていたのと同じ電気代。
それを思うと聴きながら寝ちゃって、6時間経過したとしても何時もよりも電気代は安くなりそう。
まぁまぁ微々たる事ではあるが(^ω^;;)