A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

励磁電源

フィールドスピーカーの電源を頼まれた。

2発使うかな?4発使うかな?1発かな?

あやふやで曖昧な感じであるから、ならば何でも使える様に、ヴァリアブルにしようって言う事。

言ってしまえば高圧の出る安定化電源。

それをまぁ石でやると普通過ぎて面白くないし、研究所としても球が良い(有り余ってる)から、球で構成する。

壊れ難さ、タフさに於いては最良。

ショートさせてもまぁまぁ幾らか耐えるでしょう。

石では保護回路入れないと即座に吹っ飛ぶかも知れないが。

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それで、球で電圧を制御しようという図解。

KGP、カソード、グリッド、プレート。3つあるから3極管、トライオード。

K、cG、sG、Pで4極管、テトロード。

k、cG、sG、supG、Pで5極管、ペントード。

supG、サプレッサグリッドがコの字になった板だとビーム管という。

4極あっても、サプレッサが板だと3極ビームになる。種類は少ない。

周波数変換の7極管をヘプトード、ペンタグリッド。

 

グリッドを抜いた物を、2極管、ダイオードという。

3極の場合は、グリッドがプレートから出る電子をカットオフにさせたり、目一杯流したり電子制御が出来る部分。

普通一般には、カソードから見て負の電位で、深くなる程カットオフになる。

0Vを超え、正の電位では電流が極端に流れ易くなる。

これはプレートと同じく、陽極となる為に、プレートと同じ働きをグリッドがし始めて、電流が増加するのである。

従って、0Vよりも上は、グリッド電流が流れ出す。

グリッドの網は細く、プレートの様に頑丈でないから、あっという間に赤熱して拉る。

従って、常時大電流を流す事は出来ない。

 

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2図は早く答えを言ってしまえば、制御出来ない回路である。

一見して電圧が変えられそうにも見えるが、実験もしたが、電圧は変わらなかった。

更に電流を流すとボリュームが焼けた。

これはプレートとグリッドが同じ陽極側だからである。

グリッドに電流が流れ、ボリュームが焼けたのである。

 

3図は上手い塩梅に制御が出来る。

カソードから出た電圧がボリュームを通って陰極へ戻る。

従って、ここへバイアスが発生する。しかもカソードから見ると負の電位である。

ここに発生した電圧をグリッドへ戻す事でセルフの如く電圧は下がる。

カソードに近付く程0Vに近くなるから、電圧は大きくなるが、球自体の損失があるから、プレートへ印加した電圧よりも下がった電圧になる。

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今μ2の球で制御するとして、μが2、2倍の感度だから、300vの制御で0vに近くするとすれば、150vが必要になる計算。

…これでは完全に0Vに下がる事はないのだけど。

こんな様に制御は出来る。

 

実際は、負荷を色々変えると電圧は一定でなく、レギュレーションの悪さが物を言う。

だから、普通一般には、制御用の球をもう1本加えて、更に基準電圧がフラつかない様に定電圧放電管で安定化しておく。

球を1つ増やすだけで、レギュレーションの調整も効く。

但し、定電圧放電管は電圧が低くて75V。

従って、75Vより下がらないとも言える。

もっと下げたい場合は-75Vの下駄を履かせたら良いのであるが、少々凝る事になる。