A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

6AS5を使った 三極/五極 AB級

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6AS5がドサっとあるから、これで変わった回路の実験アンプを試作してみる。

 

つかみとして...

五極使いはパワーが得られる使い方であるが、歪が多いのが難点である。

三極使いは、パワーは得られないが、歪は減らせる使い方である。

 

出力をとるか、質をとるか。

 

これの良い所取りをしようというのが、今回の変わった回路の全容である。

パラプッシュの様で、動作ポイントが互いに異なり、三極使い側は常にオフセット電流が流れ、A級動作をさせておき、もう一方は五極使いでカットオフ動作をさせておくB級動作にしておく。

小音時にはA級部分が動作し、大きい音が入った時には、B級動作が動き出し、AB級となる。

小音時のリアリティを改善し、更にピークもモヂらず、良質な天高空間が期待出来るというワケである。

計算上では上手い塩梅に行っているが、実際の所は、如何なものか。実験してみる。

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実験用だから、モノーラルの単発で、出力としては、ステレオのスピーカーをシリースに繋いで使っても、パラって鳴らしても両立する様にインピーダンス選択が豊富なハモンドのOPTを選んだ。
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初段と位相反転は6J4を使ってみる。

そんなに小さい信号を扱う訳ではないから、カソード接地で使っても問題ない範囲であろうと推測。

6AS5のSGが117V最大とあり、低い電圧で動作させる球だから、定電圧放電管0A2を自動抵抗として使用してBをドロップさせて使う。

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試験。

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6J4ダイレクトカップリングを試したが、大出力時に先に歪んでしまって、終段をフルスイングさせられない事が判明。

結局カップリングコンデンサを追加し、自己バイアスとすると飛躍的にパワーが出せる様になって歪率も小さい。

6AS5をドライブでフルスイング出来なければ実験の意味がない。

4本のスピーカーを同時駆動させても、結構鳴らせて、十分過ぎる程であった。

確かに5極管のみの構成に比べて小音時の雰囲気は曖昧にならず、どっしりしている様に思われる。ボケていないかも知れないが、難しい所。もっと深くバイアスを掛けるとA級でも電流が減るから意味が無くなると思われ、ある程度電流を流しておくと小音時の輪郭がクッキリする様である。

大音になると後押しする様なパワーが出て来る様な気もするが、ソースによっては全く分からない。低域の補強はされている印象。ブーミーではない。

B級で動作させている側の球は、完全A級で使いたい場合は抜いてしまえば、A級プッシュになる訳である。

単純な回路ではあるが、採用している例は聞いた事がない。

ステレオ版で1台作ってみる事にして、気になる方が居られたら是非とも聞いてみて頂きたい次第。