A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

807pp 修理依頼品

修繕依頼品がドック入り。

症状は電源トランスが熱くなり、臭いがするとの事。

その場でトランスのレアショート、絶縁を見たが、1次側がシャーシに漏れている様子。

配線組み立てに問題があるのかトランス自体に問題があるのかまだ分からず。

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低周波トランスは型番から辿らないと何対何なのか分からないけれども、AB2動作をさせられそう。

馬力のある音が出そうである。

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コンデンサがパンクしているとの話だったが、ミテクレからすると、パンクしていない様子で、電解液の臭いも無いし、紙屑も無いから、パンクはしてないですよ。と言ったが、よく見ると、確かに...
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パンク...していそうな、まだしていない、防爆弁が開きそうで、開いていないという具合だった。単にパッキンが剥れただけかな?

どちらにせよ、具合は悪そうである。

フォーミングしても漏れ電流が多そう。

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回路は後で追ってみるが、-Cバイアスを30V台でやっているらしい。

これではかなり電流が流れるであろう。

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データシートを見ても、やはり-50Vであり、業務用PAのアンプでは、-90Vをドロップして使っているから、低過ぎであろう可能性が高い。

電流が流れて熱が凄かったと思われ、これがトランスを焼く主な原因かなと推測。

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回路を追うと10μFのケミカルでP-Kフィードバックをやっている。終段は三結でNFは初段だけだ。

構成的に上杉先生の回路感がある。無線と實驗かで記事を読まれて作っられたのかも知れない。

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P.Lが切れていたから交換、1次側をチェックしたら、ハンダが乗っていない部分のヒゲ電線がシャーシに触ったり触らなかったりをやっていたらしい。

線のハンダが良くないからショートもしそうであるから、一旦全てやり直しした方が無難である。

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回路は書き出したのであるが、-Cバイアスが浅い可能性と、バイアス調整VRが100kであるのが問題があると見受けられる。

バイアスを深くしようとすると、トランスのグランドに対しての抵抗値が増し、最大にした時に100kがシリースに入るわけだから具合が悪い。

この部分は出来るだけ低い抵抗値で、VRの中点には結ばない方が良いであろう。

負荷は固定で電圧だけが可変できるのが望ましい。

そうでないとトランスの場合は周波数特性がVRの位置でそれぞれ変化を起こす可能性がある。

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図にすると分かり易いかと思われ、左が良くない接続法、右が固定である。

但し、低い抵抗値で電圧が高くなると電流が幾分流れるから、バイアスを絞った時には小さいVRでは燃えてしまう可能性があるが、絞った時はプレート電流も増して赤熱してしまうから、良い具合に固定で決めておいても良いかもしれない。

少し考える。