A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

トライオード アンプ 調整 KT88 シングル

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土曜に、“アンプ調整を頼みたいというお客さんが来るから技術担当宜しく”とクラシックの社長から電話貰って、雨だから本当に来るのかなぁ(^ω^;;)とか思いながら出社したのであるが、ビショになりながら持ち込まれて、見てみるとトライオードのKT88シングルで、不具合があったから修理に出したそうで、球はオリジナルでないから、受け付けてくれないかなと外して出したらしい。

その後のバイアス調整を頼まれたわけである。

 

球は初段とドライブに12AX7、終段にKT88である。

AX7はgmは良好であったが、電極の形が随分と12AT7風で、プリントも無かったから、AX7か分からないが、AX7のバイアス設定で4、50(TV7)であったから、まだ廃棄値ではないが、今思うと少し低めか。

AT7だと電流が幾分流れるから、まぁ差し替えても差し支えはないであろうが、僅かゲインは落ちる。

逆のAT7設計にAX7を使うのは問題がありそうであるが。電流的に。

KT88は一方はゲッタが減って、もう暫しで真空度が悪くなり急激に不良になるが、gmは80出ていて廃棄値よりかは遠く、ガス試験でも特に問題ないから、真空度が悪くなって放電し始める迄は使えるかなという印象はあるが、バイアス調整をしても、再調整が早い段階で必要になるのは目に見えた雰囲気。

そんな話をして店にあったGoldenLionを買われて、その場で交換、調整をしたが、前のが幾分弱っていたか、電流が多く流れる様になっていたから設計推奨値に合わせて。

ノイズが出るようになったらしいが、どんな修理をしたのか、セレクターは触るとビショになっていて、接点復活剤を吹いたらしい。

RCA端子はハンダを当て直したのか、交換したのか、ハンダにツノが出ていて、触った部分が分かる様な修理がしてあった。

音出し試験をしたが、ノイズは特にないから、内部の接触不良であったのだろうが、まぁプロ技師のやり方とは少々思い難い。

修理代を取らないアマだったら許されるのかも知れないが。

 

Ebbは410でSGに395V印加してあった。

表記通りシングルA1でも12Wは出そうだ。

cgに-43V乃至-45V掛かっていたが、結構深い印象。シャーシgndとB-が浮いているのか、独特の構成であろうか。基板であると分からない。回路図もなく。

基板に付いた抵抗が幾分熱を持った形跡があって煤けて若干焼けていたが、定格ギリの設計なのであろう。

キンピであるから、そうズレてはいないであろう。

各所の電圧も見て、問題ないと判断して。

 

本品の写真は撮らなかったから、挿絵にて。

小さい筐体の割に重くて、トランスはまぁまぁの大きさのが入っていそう。

電源が重いであろう。

 

後に社長夫人に幾ら貰ったのと聞かれたから話したら、“器用貧乏なんだから(怒)”とまた言われてしまって(^ω^;;)

まぁ利益目的じゃなくて触ってるのが楽しいタチだから、営業的には全く向いていないのは良く分かっているツモリ。だけどお客さんが喜んでくれたら嬉しい限りで。

逆に僻みで変なクレーム付けてくるマニア(?)もいるけども話を聞けば、難癖を付けたいだけだったり面倒な変な人種も僅か居るのも確かで。

好きを仕事にすると、そういった変な人の対応をしなきゃならなくなった時に嫌になるっていうリスクもあるかな。

特にネットで顔合わせ無しはタチが悪い。

最近はイタ電は無くなったけど(笑)