A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

プッシュプル バイアス バランス調整 / 並品-通測用Hi-S

相変わらず耳鳴りとフワフワとした感覚は継続しているが、強くヨレヨレするという程ではなくなった。

しかしながら、床の物を少し持ち上げつつ、横に置き直そうと動くと平衡感覚がバグるのか、体が行き過ぎ(?)て危うく倒れそうになる。

顔を上げるとか下げるのも、一旦勢いがつくと急にフワッと急加速する様な感じで、寝る時に横になろうと半分倒れたか位になると急激に後ろに引っ張られている様な引き強さが襲って来て毎度バタリとやってしまう(ーー;)

 

 

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さてさて...先日の807をチェックしてみた。

gm良好である。TV12はガス試験機能は無いが、管内グローは出ていないから良好の範囲内であろう。
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左が、選別型 通測用Hi-S、右が標準品。

Hi-Sの方が若干ガラス丈が長く、ガラスは叩くと高い音がする。対して標準品は丈が短く低い音がするから、こちらの方が製造が幾分古いと推測。(1955年よりも前と思う)

製造時期が異なっても双方の電極の違いは外見からは判別付かないが、ガラスにフッ酸かでUY-807の文字が入っている方が古いだろう。

通測用は一般等級の選別品で、専用に製造して流していた訳ではない。

高信頼型 SQ管は、製造も構造も異なり、専用に作られた物である。

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交換するとプッシュで互いのDCバランスが崩れるから、バイアス調整をしてやりバランスさせる。

このPA機はバイアス、バランスが別々のレオスタットに入っている。裏に手を回せば調整が出来るから便利だが、端子が剥き出しで上は90V出ているから、触ればある程度ショックがあるだろうが、大き目の抵抗が入っているはずだから、瞬間に電圧降下を起こすと思われ。

バイアスとバランスが付いているのは普通と言ったら普通であるが、コスト減設計はバイアス調整だけでバランサの無い機体は良くある。

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まだ新しいらしい。電子光りして良い。
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pp上下で見て同じになれば良い。

メーターの無い機体は、テスターでカソードの電流を見たら良い。

互いのカソードが結ばれている815や、コスト減したアンプの場合は、シャントの電圧を見て、電圧が一番低くなる谷底部分に合わせたらバランスが取れている。

電流はシャントのVとRで、Ik=E/Rsで求められる。尚2本の合計電流であるから使用球の1/nで、1本分が求められる。

 

店に「真空管アンプのバイアスの調整を願いたい」と持ち込まれるお客さんが多く、技術担当の私が請け負っているのだけれども、作業内容は上記の様に設計と構造を確認、何処で調整したら良いのかを把握して作業するという流れである。

良い設計は簡単に済むが、高級なのに調整ポイントが無い案外手抜きの設計だったりする事があって、シャントを付けないとならなかったり、そもそも調整するという概念のない、荒い設計の物もある。

 

ホンモノの高級なHiFiアンプは、ACバランスとDCバランスがある。

一般的に、バランスと言うと、ペアチューブやら、バイアスをシビアに気にする方は多いが、信号バランスである、ACバランスの調整は案外疎かで、気にした事もないという方も多い。

DCバランスを重要視するのであれば、ACバランスは信号部分であるから、もっと重要視した方が良いのではないかと思うが、オシロスコープかバルボルを集めないとならないから、オーヂオマニアやアマチュアでは持て余す機材かも知れないから、目を瞑っている事と思う。

ACバランスは相互の信号のバランスを調整するという事だから、プッシュプルの場合に互いの信号が一致している方が歪みは少なくなる。より高忠実な増幅器になる。

12AX7は1本にペアで電極が入っているが、劣化速度は互いに同じではなく、ペアというだけで左右のズレは生じるモノである。

P-K分割にしても、カソードバイアスの抵抗が含まれたら、プレート側とは抵抗値が異なるという訳であるが、実際に上下で抵抗値を合算で合わせると、上下の信号が一致するかと言うと、そうでもなくアンバランスが生じる。

クオードの回路構成は、プレートから変調された信号を圧縮して下段に戻して逆相を得ているが、あれも結構クリチカルであると思われる。

その為にNFが2段で効いて補正していると思われし。

 

JANやSQの球を使って構成したアンプの場合は、球自体が特性を揃えてあるから、抜き球を使わない限りはアンプ側が固定であっても設計通りにバランス良く行くはずである。

R、C類の劣化誤差が出た場合はまた別であるが、長期に安定的である事は間違えない。

OTLの場合は、特にSQ管を使うべきと思われる。