A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

阿部式電氣時計

ここ最近は週数秒差と、かなり良い精度が出ていましたが、工事がお隣で始まってから、1、2分の週差が出たりして。


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そうこうしていたら、今日2度程連続で振り止まりする様になったもので、何かしらの不具合が出た事と考えられる。

機械はバラして洗っているから、ホコリで動かなくなった訳じゃあないとは思うけど、どんな具合か。
調整する場所が多いから、ネジの緩みなんかで、ズレを生じるなんて事も以前にあったが、それはなかった。
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原因としては、追い巻きゼンマイが緩くなっていた。


本機は分銅の錘式ではあるが、それは運針部のみで、1分毎に運針した時に脱進機側のゼンマイを巻く仕組みである。


だから、錘を外しても1分間は自分で動き続ける構造で、常に非常に弱いトルクで動作をさせるものだから、これまた重く長い振り子を搭載している。
僅かな力でも、振り子が重いと持続する。


また、力任せの動作にはならないから、非常に高精度な時計となる。

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然し乍ら、非常にシビアーな機構の為、調子良く動いていても、ふとした時に動かなくなり易い。


更に、この時計は普通のホールクロックではなく、親時計であるから、一旦止まると、子時計を合わせなくてはならなくなるから、これまた面倒な構造となっている。


分銅は6日で下まで降りてきて、最下警報のスイッチを押し下げる仕組みになっている。
普通この時計は、用務員室にあるのが殆どだから、ブザーを鳴らすのも分かる。

 

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蓄音機の様に、専用のクランクで巻く。


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風防の戸には重要である故に鍵が掛かる。

鍵自体は欠品していたから作った。
昔の2段式である。鑢とノコで上手い事作れば其の儘使える。


鍵が掛からないと、パタパタ開いてしまうし、木が撓って建て付けが悪くなるのも嫌だから、毎度触る時は鍵を。

 

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台になっている部分は電源函。


錘の警報スイッチは一番下に付いている。

 

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調整し直しゼンマイを45°多く巻く様にしてやり、動く様にはなったが、今度は錘とゼンマイのバランスが近くなった故に、錘を更に重くしてやらないと、ゼンマイが上手い事巻けなくなる可能性が。
オリジナルは、相当なバランスで動いていた事と考えられる。

 

面白い事考えたものだと感心するが、フルオリジナルを見てみたいもので。