A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

励磁スピーカー キャビネット色々

f:id:A2laboratory:20201103121130j:image

先日譲ってもらったスピーカーキャビネットの中身を入れ替えてみる。

f:id:A2laboratory:20201103121118j:image

Excelloのゲルマンユニット。結構現代的な音がする。

電源に使っているRGN504が1929年発表らしいからWide-Rangeの時代にまだ入っていないと思うのだけれども、かなりワイド。

ラジオ用途なのか、トーキー用途なのか分からないが、密閉にしても低域が引き気味の雰囲気からして、トーキー向けかな?

光学録音は低域は良く出るが、高域の再現は応答が鈍い。

f:id:A2laboratory:20201103121134j:image

ハムバッキングが巻いてあるが、オープンになっている。

電源平滑が不良の場合に、励磁にリプルがあるとVCに入った信号をリプルで変調する様なもので、それを防ぐ為にリプルを起電力の応用で別にコイルを巻いて、逆相でVCに入れる事で打ち消しをする為にある。


f:id:A2laboratory:20201103121121j:image

ベークの蝶ダンパーで、ダンピングは結構硬く、ストロークはあまりない。

f:id:A2laboratory:20201103121144j:image

コーン紙は薄い紙である為なのか、高域のイコライザの為なのか、金属フレームが付いている。

f:id:A2laboratory:20201103121127j:image

先日手にしたキノコと比べると、キノコの方がかなりストロークはあって、フカフカダンピングする。

フィクスドエッジではなく、鹿皮エッジであるから、ダンピングは良いのであろう。
f:id:A2laboratory:20201103121124j:image

都合の良い高さとユニット穴であったが、箱に収まらず、若干尻が出てしまうが、後面開放ならば良いだろう。
f:id:A2laboratory:20201103121141j:image

平滑に抵抗が1本入っていて前のFCが220V弱であったから、其の儘繋いでも大丈夫であろうとやってみると、大体似た様な電流具合か、ちょっと多く流れているか、そんな様子。

プレートが若干青光りを見せているから、定格近く迄接近しているかな。

f:id:A2laboratory:20201103103736j:image
f:id:A2laboratory:20201103103733j:image

付いていたキノコランプのヒューズが、どの位の定格なのか調べると、2V 140mAでホワリと光ったから、200mA程で切れるかなと予想。

 

気になる音の方は、箱に入ってもエクセロの方がやはり現代的な印象でバランスが良い。

キノコイコライザの方が古いというのもありそう。

中高域が独特でダンピングが良い割に低域が出ない。

Cを挟んで全体音圧を下げて、パワーを掛けてやるとバランス良くなるが、そこ迄やってエクセロに近くなるかという印象。

専用にアンプを設けて、EQで調整した方が良さそうである。

スピーカーOUTでネットワークの様に調整するのは効率が悪い。

 

時期的に涼しくなって来たから、16mmを回しても文句が出ない頃合いである。

夏場にやるのは暑くて酷である(^^;;

トーキーで使ってみて、如何なものか試してみる。

RCA MI-11888 REP.

f:id:A2laboratory:20201103092109j:image

Lightweight P.U. MI-11874の使える16吋アームを譲ってもらったから、先日修繕したMI-11888、Nartbパッシブイコライザを作った。

肝心P.U自体を私は持っていないから、それを入手出来れば使える...という感じで、アーム、デコードユニット、アンプを揃えて、針先が無いというのは、何とも順番違いな気もするが、まぁお楽しみ程度に楽しめたら良いかなと(^ω^;;)
f:id:A2laboratory:20201103092112j:image
f:id:A2laboratory:20201103092115j:image

P.U自体が結構な値段するし、局用のP.Uだから、針先も不良になっている物が出回っていても不思議ではなくて。

かと言って針先は交換出来そうにない(?)構造の様であるから、ビンボーの私には縁がなさそうな気もする。身の丈に合わない代物かな。

 

電気工事士...?

f:id:A2laboratory:20201017101244j:image

電気工事士の分野は配線加工はするけど、修理迄は範囲に普通一般は無いのかなとか思ったり。

修理と言っても、これまた普通一般には壊れた物の交換程度であろうけども、修理が可能な壊れ方であると推測出来たから、再利用する方向で。

専ら、同一デザインの物が手に入らないであろうから、修繕する他ない。


f:id:A2laboratory:20201017101233j:image

症状はクリックが弱く、トグルを触っていないと照明が点かないという具合。

バラしてみるとバネ板はリン青銅で、時間経過で曲げが弱くなったらしい。

クリックが強くなる様に、曲げ具合を調整してやり、接触部との位置も合わせて、組み直して完了。
f:id:A2laboratory:20201017101238j:image

活線作業ではあるけども照明線だから暗がりの中での作業である(^^;;

各電鉄の列車の修繕でも、パンタを架線から離してから作業するから、やはり暗がりの中での作業だから、まぁ慣れたモンで(笑)
f:id:A2laboratory:20201017101241j:image

化粧を被せて完了。

OK

UZ-57 修繕ス

先日のラジオに入っていた57であるが、トップが飛んでいて普通であれば廃棄であるが、あまり数が無いから強引に修繕する。

昔は真空管自体を修理するラジオ屋はあったが、戦後、テレビが一般に行き渡った頃には、修理するよりも交換した方が手間もなくて安上がりになっていた事と思われ。

f:id:A2laboratory:20201027113800j:image

17.9の印から、昭和17年ではなかろうか。

受信機許可印がある。

f:id:A2laboratory:20201027113750j:image

少しダイヤモンド鑢で頭を削いでやった。

腕時計OHではないが、キズミでハンダが乗っているかチェック。


f:id:A2laboratory:20201027113757j:image

ハンダの熱で外れるからリードは熱が届かない様にして、接着は後にする。

そもそもエミッションが大丈夫なのか、試験機に掛けた方が良いが、他が大丈夫であったから、良好であろうと推測(笑)

これでエミゲンだと泣けるが。
f:id:A2laboratory:20201027113753j:imagef:id:A2laboratory:20201101093933j:image

手持ちの57Aよりも感度が良くなる気があるから、57Aは幾分エミゲンしているかも分からない。

より良くなって、修繕して良かった。

RCA 70-D MI-4975 フィルタのF特を計算してみる

先日70-D用に、ダブルアーム用 イコライザ/ミックスアンプを作ったが、RCAのP.U側には、Vertical/Lateral Filterなる回路を含んでいて、これがMI-11888のNartbデコードの様な機能を持っているのか謎であった。

f:id:A2laboratory:20201031100336j:image

有難い事に、マニュアルを頂いたので、時定数をPCで計算させてみる事にした。

f:id:A2laboratory:20201031100453j:image

Varticalのみであるが、基本的な通り道は、バーチカルもラテラルも変わりは無いが、入力の結線が異なっている。

実際には、複数のコンデンサが寄せ集まっているが、希望値になる様に容量を加算して使っているだけである。

出力として、下の1〜4がセレクターと同期した特性である。

どれも50c/sか60c/sに山があり、終段のLC構成のハイカットに入ると、急激な谷が出来ている。

30kc迄出力させたが、当時は20kc迄出ていなかったのではないかと推測。SP盤の時代である。

これで行くと、低域が持ち上がっているし、SP盤のEQフィルタになっているとも言えるのだろうか。

そもそも、電源周波数の様な50c/s、60c/s帯を通しても、そんなに深い所迄カッティングされていたのであろうか?

やはりEQというよりかは、フィルタであろうか。

HiFiの時代ではないけれども、Wide-Rangeの時代である事は確か。

音声が聞き取れたら合格の時代ではなく、音楽再生用に使える時代ではある。

f:id:A2laboratory:20201031102659j:image

同マニュアルには、周波数特性表があるのであるが、こちらには50c/s〜10kc帯域で記載されているから、これが特性なのであろう。

50c/s付近が持ち上がっていたが、これにはその様な事はないから、P.U自体の減衰を補う意味で持ち上げているのかも知れない。

そう言えば、針先を撫でると、かなりカッチリしていて、低域が出なさそうな雰囲気があった。

盤によっては、アーム本体がブルブルと共振しているのか、震える物があった。

ハムが録音されていると、それがP.U自体の共振周波数に合わさるのか分からないが、とにかく頑丈そうなP.Uである。

 

他には、キャビネットマウント ブースターアンプ、BA-2 シリーズとの表記あり。

ググったら、BA-2Cの回路図が有ったから、それを見る限り、2kc程から上昇するハイパスフィルタが入っているだけだった。(-2.5dB程)

VRの手前にフィルタが組んであるから、推測であるが、VRの角度でハイ落ちするのを補正しようとしたのではないかと考えられる。

使用球の1620は、シャープカットオフの様だから、cグリッドにVRを直付けしても問題ないが、VRを100kにしている点を考えると干渉を多かれ少なかれ起こすのではなかろうか。

色々あるであろうが、BA-2には、EQ機能はなく、所謂ヘッドアンプであった。

似たようなので、BA-21Aという回路があったが、こちらは終段をppに、NFでフィルタが組んである。これがEQかは少し疑問であるが、時定数が組んであるのには間違えない。

BA-2Cとは違って電源は含んでいない。

 

Cheney Reproducer.

f:id:A2laboratory:20201025222532j:image

預かり品。サウンドボックスをWide-Range化をしてみる。

 

久しぶりの蓄音器 サウンドボックス。

これはかなり古いか、リプロデューサーの名称になっている。

f:id:A2laboratory:20201025222536j:image

ポンポコ叩くと、タッタッタと中高域上がりのあまり音圧の無い音がする。

振動板が厚い場合には、低域は減衰、音圧も落ちる。

案の定、再生しても、筐体の大きさの割にシュンとした様な、ハッキリしない出音であった。

ひと回りか筐体の大きいHMV(歌口はNo.5B)は、電気増幅の様なWide-Range感で、下手な電蓄よりも数段上質であった。

モチロン、アコースティックであるから、ハムは無いし、振動板とホーンの構成だから、力量は振動板に委ねられている。比べ物にならない程に上物。

電気録音のRCA黒ラベルであったから、低域もそこそこ出るだろうし、そう悪いレンジの録音では無いはずだ。

これが上手く鳴らないのであるから、何処がしに問題を抱えているのは間違えない。

ただ、音は酷くビビっていないから、ガスケットの不良はまだ無いらしい。

とりあえず引き上げて、早速バラす。

振動子のガスケットが固着、かなり硬い。

低域の減衰に影響あり。

f:id:A2laboratory:20201025222528j:image

振動板は0.6mmと厚い。

そもそもアルミ板か?

裏は黒の塗装で表は銀色である。

色を塗っている様な雰囲気。

柔らかさはあるが、形状記憶の質が強い雰囲気。樹脂板か?マイカではない。

f:id:A2laboratory:20201026000927j:image

振動子のクッションダンパーから交換。

シリコンブッシュを加工したが、それでも硬くて、豊かな低域を潰しそう。却下。

柔らかなシリコン材へ変更。色々試したが、高圧用電線のシリコンシースが一番柔らかくて都合が良い。

これでも低域が出そうなポンポンと良い音になって来たが、音圧はそうでもない。

元々、ガンガン大音で鳴らすというよりかは、凝ったホーンの面白い音作り(?)を楽しむ向けという印象。

ポータブルとはまた違う感じ。

ポータブルと言えば、アーミーの携帯用蓄音器が、HMVっぽいワイド感とドンとしていて大音を出す優れものに思う。

f:id:A2laboratory:20201026000925j:image

0.1mmのアルミ板を切り抜き交換してみる。

薄い分、音圧が増してポンポンと良い雰囲気。

ガスケットが0.5mm薄くなって緩かったから、鹿皮ガスケットを作りたかったが、生憎良いサイズが無いから、クロスにした。

さて、ホーンとの相性は如何かな。

アース点不良/完成 マツオ サウンド プリアンプ 改造

f:id:A2laboratory:20201029084211j:image

色々と問題のあるマツオサウンドのアンプであるが、電源部で既に1点アースが成り立っていない所が気になったから修繕してみる。

 

平滑の初っ端2段は、ACアウトレット付近にシャーシアースされている。

しかし、それ以降は入力(?)の方まで線が引き伸ばされていて、シャーシアースされている。

普通、1点アースというのは、電源、終段、初段、入力部でシャーシアースが普通であるが、これは、電流ループをシャーシを通す設計であるから、この電流渦がシャーシに起こる事になる。

増幅側のシャーシアースも、多岐に打ってあるから、複雑なノイズを発生させても不思議ではない。

1点アースは守れないし、これで小信号増幅をしようというのだから荒っぽい。

改良というよりも、殆ど配線は総やり直しをしないと、良くはなりそうにないか。

言い換えたら、幾ら良い豪邸でも、地盤や基礎が不十分であれば、グラグラ不安定という結果になるのと同じ。

パワーアンプであれば、扱う信号が大きいから、こんな様な配線方法でも悪さしているのが気にならない程に済むであろうが。

言い換えたら、掘っ建て小屋ならば、地盤が悪くても、その悪さに気が付かないか。

f:id:A2laboratory:20201029105719j:image

アースを1点に変更したが、複雑にアースが取ってあるから流れが綺麗にループしているのか、少し怪しいが、ノイズレベルに変化はなかった。

フォノ段は外してしまって、全体利得は20dBである。(ゲイン不要の場合は-20dB掛かる様にした)
f:id:A2laboratory:20201029105713j:image

ステレオ出力とモノーラル出力とを別出しにして、ステレオミックスを球で行い、高忠実ブレンドにしている。

抵抗でミックスすると、他chとのクロストークがあるし、両chで干渉があって低域や高域の一部が下がって変な音となる事がある。

これを解決する為に、混合管を使う事で、互いの信号に干渉せず、変調して出力となる。

f:id:A2laboratory:20201029105715j:image

スペルミスと打刻ミスが多かったから、上から貼らせてもらった(^ω^;;)
f:id:A2laboratory:20201029105722j:image

試聴。

f:id:A2laboratory:20201029105710j:image

シールド線を幾分減らしたから、HiFiである。

元の音は聞かずバラしてしまったが、まぁHiFiではないだろう。

10cm大体300pfにはなる傾向があるから、それを1m使ったとすれば、3000pf、0.003μFのコンデンサがぶら下がっているのと同じ効果で、長ければ長い程、ハイカットに作用して、ナローになるのは言うまでもない。

YamahaのCA-1010を使っていた事があるが、シールド線を使わない為に、入力の近くにセレクターを配置し、長いシャフトをフロントパネルへ回していた。良い設計である。

High-Fiderity、高忠実度アンプを設計するのは難しいが、基本を抑えたらそんな外れた物には仕上がらないかと思う。

昔の雑誌で、パワーアンプは素人でも作れるが、プリアンプはメーカー品を買った方が、難ないと結構長い事言われていたが。