Manual-Autoのレバーが次第に重くなっている気がして、Manual動作時、Offにする為にSpeedを一度0にセットしてアイドラを切り離す操作をするが、それも重い。
稀にアイドラがプラッタに接触しないというエラーも起きたからOHする。
室温が低いから、オイルが渋くなっているかも知れない。
バラしてみると、Speed切り替えの位置を検知するアームの真鍮コロが固着。
かなり渋くなっているから、ラスペネで柔らかくしてやり引っこ抜く。
556でも良いが、ニオイが好きじゃないから使わない。これらは潤滑油とあるが、持続性の無い物であって、洗いのためか、固着した部分の解しに使う用途で使い、用が済んだら拭き取るかして、マシン油か、指定稠度のグリースを入れてやらなければならない。
間違っても、スプレーして、柔らかくなったと思って其の儘使うと危険である。
元の油が流れ出て、気化が始まり乾燥すると、最悪焼き切れる。
年中吹き掛けていれば良いが、それをやるなら、適切に対処した方が手間がない。
柔らかくして外したコロの表面は、一部だけが綺麗に擦れた跡があった。
グリースを僅かくれて元へ。
折角バラしたから、メインシャフト部分もバラした。3枚が重なっていて、其々が貝開きする様な構造になっている。
ここへ流れた油が入り込んで、各々がくっ付きあって、エラーを起こす事が暫し見受けられたから脱脂をしておく。
貝開きをさせるアームが、何処へ入るかによって、連続動作なのか、終盤なのかを検知する役目になっているから、滑り入る部分だけグリースを残しておくが、トルクが大きい場所ではないから、無給油でも大丈夫そうな気もする。
3つの突起が、どの層に滑り込むかで、凸凹が決まり、この突起の有無を検知するアームによって、どの動作をするかを決める。
良く出来ている。感心。
これが2000ドルの価値。
輸入税も安くて驚きである。
まぁ価値の分からない人の方が助かるが(笑)
組み戻して試験。
フェードインアームのバランスが僅かズレて、プラッタに置いてから、吐き出しのディスクを掴めなくなったから、調整穴にマイナスドライバーを入れて僅か回しながら調整。
調子が良い。
時計も裁縫機も、繊細な機械だから手入れは重要で、修理屋に出すのも面倒、何となく動けば良いやと、手入れを怠る様な主には、ヴィンテージ トーレンスもガラードもRCAもEMTも向いていない。
旧式な物は技術代が嵩むのは当然で、そういう道楽でもあって、幾ら注ぎ込めるか、何処まで其の物を生かすか、愛せるかという事であろう。クラシックカーと多分一緒。
それはどの物でも同じであって、今一時期動けば良いやと使い捨てにするべきではない。
特に半世紀以上も残った物となれば、良い物だから残っているのであって、初めから良くない物は残らない、残り難い事であろう。
そういう私が作っている品物は果たして良い物なのかが問われるが、それをジャッジするのは、手にした人によって決まる。
自身では良いと思っても、十人十色の意見である。これは尊重しなければならない。