KT88、KT150は有名だが、効率よく使っているアンプは少ない。
結局30%、50%程度で動かしているのが多い。
ギターアンプは電圧を高く、オーバーに使っている場合があって、定格を120%で使っている物も中にはあるが、ドライブはやはり50%そこそこに見受けられる。
稀に押せるドライブ(完全に終段をドライブする)で、定格120%という設計もあるが、それだと1ステージ演奏すると、終段の球がオシャカになるのは言うまでも無い。
交換してナンボという使い方で満足行っている場合はこれで良いが、オーディオの場合はオーバーレベルで使う事も業務以外は無いだろうし、定格100%の設計でも問題ないが、100を引き出すには大きいトランスも必要になるし、それだけ耐えられる部品が必要になるから、メーカーとしては安上がりにはならないからやらない。
オーディオの分野は1920-1930年代から大きく変化が無く、完熟してしまっていて、熟れて腐りだしているとも言えるが、これは別段オーディオに限った事でなく、時計も完熟を迎えて、今は腐りきっている様に見受けられる。面白くもない機械にデザインに、精度は本体に求めなくても電波頼りにして安上がりになっている。全く凝りがない。人の苦労が見受けられない。
自動車の部門でも、電気自動車は19世紀にはあった物であるし。別段最新な物ではない。
ただ、イスパノスイザの電気自動車はバッテリーボックスと残量メーターが車体の外(ステップ横)に付いているから、風雨の問題がありそうであるが。
それを言うと、眞空管も新しい物であって、余程半導体の方が歴史は遥かに古い。
整流機能であって、増幅機能はないが。
亜酸化銅整流器やセレン整流器、鉱石を使ったものがある。
そんなで話が飛躍してしまったが、そんなで6L6の設計にKT88やらを乗せた様な物は多い。
色々な球が差し替え出来ます…そう言ったアンプは、最低定格の一番小さい球を基準に、逆に大きい球を挿す分には問題ない。(その逆は小さい球を挿されると定格オーバーとなるから出来ないが無視した設計も中にはあるかも知れない)
KT150のデータシートを見ると、Pd70Wだから、ppにしたらKT150という位だから、150W位は出そうだが、75W辺りのアンプが良い所の様だ。
ドライブをもっと押せる物にして強靭なものにしたら、もっとグッと引き締まり、安定が良くなりそうな気はするが、そこ迄やっているのは国内には無いのかな。
それだったら、807ppは外見は小さい割にAB2級動作で80W出るから、KT150のアンプと対等になってしまう。
それで言うと、欧州ではポピュラーな球らしいが、国内では見向きもされず隠れているOS51は、ppで194W(Dist5%)出る優れ物。
それもあまりドライブ力を消費せずに済む経済球に設計されているから、KT88やKT150を選ぶのであれば、こちらの方が断然有利。
ただ、電源は余裕無いと球に負けてしまう可能性大。
でもって数が少ないから、有名になると途端に値上がりして数がなくなってしまうから、隠れ銘品であり続けてほしいと願うばかり。
まぁまぁ市場にゴロゴロ出る様な球でないから、忘れ去られる一方であろうが。
色々考えている内に、ビームとしてではなく、三結で使った方が、より締まりが効くかなと思い始めた。
KT88pp三結で40W程々出る様だ。
807を三結にすると30Wギリギリかな。
ビームで使用した場合は、出力が大きく取れて効率的。
ただ、内部抵抗は高め。低域のオーバーシュートは若干大きめ。
制動性を求めるスピーカー対の場合はブホブホするから、NFBでオーバシュートを殺す。制動性を上げる。
同時に球自身の持ち味もネガチブに相殺される。
英国のアンプはブホブホ対策にカソードやらスクリーンやら、色々な所にNFを施したのがある。歪みを少なく、フラットに、制動性も良く。
タンノイでもアーデン以降のユニットはブホブホ系かも知れない。店で試聴して私の所では鳴らないなと思った。内訳は、どこの有名メーカーの石アンプだか知らないが、結構重そうなので鳴らしていたが、低域も出ないし、何よりスッキリ冷たい高音も冴えない。中高域は派手。
それよりか古いレクタンギュラーの方が売値も高かったが、豊かな低域と冷たくスッとする高域が出ていて、これだと思って買ったのは良い思い出。
恐らく、皆様方が良いと思うから中古市場価格が高いのだと思う。そうでなければ中古価格がより新しい物よりも高い筈がない。
その後にダイアフラムやら、マグネット再着磁やらをやって手入れしているから総合的にはかなり高く付いているが、モニタには最適。
球の時代の後期、70年代迄が球で鳴らすギリギリ。80年代以降は石向け設計のスピーカーと私は思っているが、あながち外れていないと思う。
現代のはよく分からない。あまりHiFiではない感じがする。低域寄りかな。
スッキリした印象がなくゴムのダンパを介して鳴ってる様な柔らかい印象はある。
タンノイやアルテックの様な、応答の俊敏な音は飛んで来ない。暗い印象。耳あたりは柔らかな気はする。
…
三結で使うと出力幅が狭くはなるが、その分、NFを掛けなくとも球自体のインピーダンスは低くなるし、制動性もぐんと良くなる。
…NFを掛けないと書いたが、三結はプレートとスクリーンをショートさせて使う…即ちスクリーンもプレートも同一素子として使うという事であるが、スクリーンには逆相の信号が現れるから、実質的には、三結にする事によって、反射電子のNFになっていると言える。
どんなアンプでも、無不帰還(NF)は有り得ない。
構成的に多くを戻している事だけを言うならば話は変わるが、基本はフィードバックはしている。局部的に。
807三結ではKT88にも肩を並べる程々で、普通と言ったら普通で面白くない。
そこで、814、828の手持ちを思い出した。
814はPd60W、828がPd80Wである。
807のPdは25W
KT88はPd40W
OS51はPd45W
KT150はPd70W
大凡、KT150に近い球であるが、AB1級ppで出力380Wも出る力持ち。
KT150のアンプ5台分のパワーが得られるやり手な球。
その代わり、其れ相応の電圧が必要なのは言うまでもないが、トッププレートの球は無理も効くし、なによりタフ。
そもそもの用途が違うから耐久余裕は大きくみているから無理が効くという事もあるけれども、とにかく当時価格は高級品。オーディオ用途に使うなんていうのは、業務以外だったら、湯水の如くお金が有り余ってる人でなければ楽しめないレベルの品物。
だからメーカー品では多分特注のPA機か軍用だと思う。完成の現物は見たことがない。
今はそれから半世紀も経って、骨董的価値になって安くなっているが、本来は高価な品物である。
それで、300Wも出力は必要ないし、スピーカーを壊す危険があるから、これを三結に使って、1/4のパワーになったとしても90Wはある。
B電圧が低くなっても50Wはキープ出来るであろう。
KT150を三結で使ったら、こうはならないから、既に上を行っている。
ここまで来たら、せっかくだからKT150を負かすレベルの普通には出回っていないのを作ってみる。
毎度他には無い変なのしか作っていないが(笑)
少しシャーシが大きくなるかな…
良く検討設計図を起こしてからまた改める。
814をppで実験してみるのは多分初めて。
ビーム使いのシングルでもかなりの出力が得られる。
今回は三結ppである故に、ゲインは程々下がっているが、入力を大きくするとモニタのS.Pが壊れるのではないかという程歪まず大音が得られている。
アタックと低域の引きはかなり良い。ロクハン2発でも奥深い低域が出ているし、ライブの背景のアンビエントの細い音も前後にある。
ただドライブがそこそこに押せないとヘタりそう。勿体ない。
ppだからAC点火でもハムバランサでバランス出来ると思ったが、低域を歪ませて、バズレベルでハムが盛大に残って消えなかった。
DC点火でないと実用レベルのハムに収まらない。
直熱管の致し方ない点。少々回路が複雑に増えるし、案外シビアだから、やる人が少ないのかも知れない。
トランスは勿論誂えないとならないし。
最高状態で使ったら民生メーカー品は軽く負かすだろう。最早業務用機。
モノーラル単発の最高峰だったら数百万出しても今じゃ買えない代物になりそう(笑)当然メーカーは作らないし。業務用機も作っていないし。
アマチュア向けオーディオは高が知れているのが多い。昨今の品物の具合として。
マッキンはトランスの巻き方が独自で特殊で、その内容も公開していないから、ミソな事は言うまでも無いが。