A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

Philco 32A 続き

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キャビネットは汚いが、貼り合わせは上手く出来ていて、ボロではない。

磨いてやれば綺麗になりそうだ。
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ダイアルの風防のセルロイドは濁って、全く向こうが見えない。風防ではなく化粧板化している。

更に小さく縮んだか、留め具の位置が合わないが、オリジナルであるから、これを修復する。

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汚れを洗い落として、大凡の汚れを取り除いたら、向こうが見えない程に曇りに曇った部分をバフを掛けて、磨きに磨く。

セルロイドは熱に弱いからサッとバフに当ててすぐに離す。

とにかく熱くしない様にやって、時間を掛けて磨けば、元へ戻ってくる。

艶も透明性も上がった。少し黄色いのはセルロイドの元々かな。ヤニが浸透しているのかも知れないが、セルロイドらしくて良い。

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機械とキャビネットの間には石綿の断熱材が敷かれていた。

昔のセットはよく、終段の断熱に囲ってあったりした。

触るとパサパサするから触らない方が良い(^^;;

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回路は特に触っていない様であるが、平滑コンデンサは交換、AC線は繋ぎ直した様子。

他はオリジナルと見受けられる。

IFTがシャーシ上からは1本しか見えないが、内側にパッティングとセットになった裸のIFTが入っている。
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-Cバイアス用のマイナス側に入れられた220Ωは燃えてパックリ割れているが、220Ωピッタリ出ていた。

通電すると-5Vが発生していた。全体で300Ωであるから、16mA流れている。

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7B5Eのカップリングを見ると2.5V出ていたからカップリング絶縁不良。

更に-Cバイアス式だから、+2.5Vのバイアスで動作していた事になる。

交換してやると-4.5Vになった。15mA流れている事になる。

歪みが改善。明るい音になった。

IFが空気球で動作していないから、電流は少ない物と考えられる。

様子見していると、黄色いダブラーの電解コンが結構熱くなる。

パンクしたのか、防爆弁が割れて膨らんでいるが、吹いた感じはない(?)様子。

どちらにしても、漏れが多くてダメになっているだろう。交換した方が良い。

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それにしても、80もかなり窶れている感がある。

全てPhilcoの球が刺さっているし、汚れからしても、当時の其の儘な可能性が高そう。

そうなると少なくとも80年前のセットという事になる。

当時は毎日使っていただろうし、何年使っていたのか不明ではあるが、これはかなり使い倒している雰囲気が強い。
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コンバータの6A8は温まってはいるが、ヒーターが赤くない。

OSCへ行くg1を見ても6.5mVしか出ていないから、発振もしていない様子。

これは空気球の可能性がありそう。

ゲッターはマグネシウムだから、空気が入ってもミテクレからでは判別出来ない。

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外して試験機に掛けるとヒーターは薄ら赤くなる事を確認したが、ガス試験でグローがボーッと出たから、真空度が良くない。gmも出ない。

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手持ちは無いから、会社に行って探したら6A8は2本あった。

7A7は後数本はあった。
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6A8を交換してやると発振し出したからOK。

7A7を交換すると受信出来た。

様子見していると温まるペーパーコンデンサが幾つかあるから、これは交換しておいた方が良いであろう。漏れが大きいから抵抗成分が出ていて熱くなる。

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古い線も交換してケミコンも交換。

古いバンド型は外れなかったから残しておく。

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キャビネット内に警告文が貼ってあった。

カナダ運輸省(?)に許可を得ず設置、使用した場合に、略式起訴され$25以下の罰金があり、セットを没収される可能性がある。との事。

舶来物の電波法の事なのかな。

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今回交換した球。

ラジオで2本交換したのはかなり珍しいかな。

大体1本か、交換しなくて済むのが多い。

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磨けば綺麗に。
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組み立て。
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縮まった分だけ小さくなっているけど、可視性は抜群に(笑)
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裏蓋は元々無い仕様。

 

これにて完成(o^^o)