キャビネットは汚いが、貼り合わせは上手く出来ていて、ボロではない。
磨いてやれば綺麗になりそうだ。
ダイアルの風防のセルロイドは濁って、全く向こうが見えない。風防ではなく化粧板化している。
更に小さく縮んだか、留め具の位置が合わないが、オリジナルであるから、これを修復する。
汚れを洗い落として、大凡の汚れを取り除いたら、向こうが見えない程に曇りに曇った部分をバフを掛けて、磨きに磨く。
セルロイドは熱に弱いからサッとバフに当ててすぐに離す。
とにかく熱くしない様にやって、時間を掛けて磨けば、元へ戻ってくる。
艶も透明性も上がった。少し黄色いのはセルロイドの元々かな。ヤニが浸透しているのかも知れないが、セルロイドらしくて良い。
昔のセットはよく、終段の断熱に囲ってあったりした。
触るとパサパサするから触らない方が良い(^^;;
回路は特に触っていない様であるが、平滑コンデンサは交換、AC線は繋ぎ直した様子。
他はオリジナルと見受けられる。
IFTがシャーシ上からは1本しか見えないが、内側にパッティングとセットになった裸のIFTが入っている。
-Cバイアス用のマイナス側に入れられた220Ωは燃えてパックリ割れているが、220Ωピッタリ出ていた。
通電すると-5Vが発生していた。全体で300Ωであるから、16mA流れている。
7B5Eのカップリングを見ると2.5V出ていたからカップリング絶縁不良。
更に-Cバイアス式だから、+2.5Vのバイアスで動作していた事になる。
交換してやると-4.5Vになった。15mA流れている事になる。
歪みが改善。明るい音になった。
IFが空気球で動作していないから、電流は少ない物と考えられる。
様子見していると、黄色いダブラーの電解コンが結構熱くなる。
パンクしたのか、防爆弁が割れて膨らんでいるが、吹いた感じはない(?)様子。
どちらにしても、漏れが多くてダメになっているだろう。交換した方が良い。
それにしても、80もかなり窶れている感がある。
全てPhilcoの球が刺さっているし、汚れからしても、当時の其の儘な可能性が高そう。
そうなると少なくとも80年前のセットという事になる。
当時は毎日使っていただろうし、何年使っていたのか不明ではあるが、これはかなり使い倒している雰囲気が強い。
コンバータの6A8は温まってはいるが、ヒーターが赤くない。
OSCへ行くg1を見ても6.5mVしか出ていないから、発振もしていない様子。
これは空気球の可能性がありそう。
ゲッターはマグネシウムだから、空気が入ってもミテクレからでは判別出来ない。
外して試験機に掛けるとヒーターは薄ら赤くなる事を確認したが、ガス試験でグローがボーッと出たから、真空度が良くない。gmも出ない。
手持ちは無いから、会社に行って探したら6A8は2本あった。
7A7は後数本はあった。
6A8を交換してやると発振し出したからOK。
7A7を交換すると受信出来た。
様子見していると温まるペーパーコンデンサが幾つかあるから、これは交換しておいた方が良いであろう。漏れが大きいから抵抗成分が出ていて熱くなる。
古い線も交換してケミコンも交換。
古いバンド型は外れなかったから残しておく。
キャビネット内に警告文が貼ってあった。
カナダ運輸省(?)に許可を得ず設置、使用した場合に、略式起訴され$25以下の罰金があり、セットを没収される可能性がある。との事。
舶来物の電波法の事なのかな。
今回交換した球。
ラジオで2本交換したのはかなり珍しいかな。
大体1本か、交換しなくて済むのが多い。
磨けば綺麗に。
組み立て。
縮まった分だけ小さくなっているけど、可視性は抜群に(笑)
裏蓋は元々無い仕様。
これにて完成(o^^o)