A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

良い音とは

お客さん回りをしていて、日増しにオーディオの世界から少し離れたいと思い始めている。

 

全く音が楽しくない。もしくは楽しめていない。苦痛を伴っている。そう感じる様なお客さんが多い。

“音楽”其の物をまず楽しめていないのではなかろうか。もっぱら何を聞き取ろうとしているのだろうか。少し疑問符。

HiFiじゃないと、という割には、ナローでも音像が立てば(?)良いとか、ノイズが気になるという割にはSP盤を聞いているだとか、何が気になり、何を良しとするかが、非常に困りもの。

ダメとなったら徹底的な時期、気にならなくなるとヤタラ大雑把。

 

私は良い。別にお客さん宅まで行って音楽を楽しめていなくとも、機材が良い状態で動作しているかを見極められたら、それだけで良い。

問題点があるならば、改善した方が良い可能性を指摘する、それが私の仕事だと思っているから。

 

出向いて行って、自慢の機材を聞かせてくれるのは有難い。しかし人に音の理解を求めて感情的になられても非常に困ったなぁというのもあり、賛同が得られないと不機嫌になられるのも非常に困ったもので、かなり厄介で、正直私の苦痛。

最近結構多いというのもある。

そもそも、こういう状況が見える様だ、だとか、この音像がというシビアでディープな感想をパッと来た人に求めないで頂きたいというのもあるし、3分と温まっていない機材で、良い音かどうかは、多分音が出ているかどうかしか分からない。

測定器の校正の場合は30分の予熱をしてから行うのが普通である。

トランジスタの測定器が30分だから、真空管の場合はもっと温めておかないとならないのではなかろうか。

“楽しむ”という領域を越えて、厳密に聞き取りを行うならば、の話である。

 

突然に鳴らされた聞いたことの無い音源をパッと聞いて、あれこれ感想が言えるのは相当の耳の持ち主であろう。凄いと思っている。私には真似が出来ない。

だから皆様には、当宅へ遊びに来る時は聞き慣れたソースを持参下さい。と言っているのは、そういう意味で、手持ちの機材とで比べば、どちらが良いかが比べられると思っているから。

だから最近は、不具合判別用にiPhoneに試聴用音源のソースとRCAジャックを持って行く様にしている。

そもそものスピーカーユニット、ダイヤフラムが真っ当なのかが簡易ながら検査できる。

音が出るかどうかの次のレベルに、レベルアップしたとも言えるかも知れない。

 

私は厳密に聞きたいというよりかは、如何に楽しめるか、如何にソースを正確に忠実に表現出来るかが楽しみであって、入れた信号ソース以上には良質には改善できないと思っているし、その逆の劣らさせるのは幾らでも出来る。

良質な録音ソースを保って出力へ導くのが簡単では無いのであるから難しく面白いのである。

 

胡麻擂りして次も呼ばれようとなんてしたくないし、本当の事は本音で言うから、厄介になるのかも知れないが、本当にそう思えば音像が、などという表現もするかも知れないが、それを感じていないのであるから、もうどうしようもない。感じていないというのも本音なのである。自宅のTannoyでもMSでも立体的な音像を感じた事はないが。

ステレオで立体感を加速させようというのは理解が出来るが、モノーラルで立体感を得ようというのは非常に難しいが、実際はそれが出来たらステレオにしたら倍の立体感が得られるハズで、とんでもない再現性という事になりそうである。私の中では唯一知っているのはA7であるが。

 

私としては、売ったアンプに線を繋いで音が出るようにしてほしい、という依頼であるとか、他の製品だけども音が出なくなったから見てほしいだとか、そういう仕事はなんて楽しい事か。

電器屋を越えてご機嫌取りのカウンセラー(?)ではないから、オーディオの良い音云々の次の次元を共有しようというのは無理が有り過ぎる様に思う。少なくとも私には。

もっと優秀な耳を持つ人を頼るべきである。

その事を言っていないと今ふと思った。次回その時が来たら言う様にしよう。

私にはどうしようもできないグレードアップした方々が多い