A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

キノコが生えたスピーカー

Harman Kardonの無指向性S.Pの多くは最近のAppleと提携した時の物を言われる方が多いが、1960年代には、ラウザーのセンターイコライザに、大きいキノコを付けて、真上を向いた無指向性スピーカー、Citation X がある。

ラウザーのTP-1や3も似た様にイコライザが付いているのだけども、あれは電球程度。

ユニットの大きさ程ある大きなキノコが付いた物は、CitationXしか知らない。

フロリダ州のアルタモンテ・スプリングスに、貯水タンクが、それに似たデザインで聳え立っている。(ネタ元Omnidirectional speakersにて)

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その後のハーマンカードン HK-50、ゼニスのCircle of Soundのスピーカーを持っているが、どちらもユニットを上向きにしているのには相違無いが、拡散器が円錐型の物で、キノコではない。

尚、HK-50は前オーナーが、vcを焼き壊した為、FostexのFE206NVに交換して使っている。

設計的にバックドロンホーン向けだそうだから、低域は小さいエンクロージュアに入れると出難く、高域だけがシャリシャリ飛んで来る。

しかしながら、無指向性のエンクロージュアには寧ろ都合が良くて、高域が広がりをみせる為に減衰し、強烈な高域はマイルドになり、出なかった低域を補う様に働き始める。

元あったトゥイーターのユニットも、vcが焼き切れて鳴らなかったが、これを外しておくと、バスレフポートになって低域が出て来る。

この様に、個々にみると全体バランスは悪いが、総合的には、外れていないかなという具合である。

ゼニスの無指向性は、5インチのユニットが入っているが、HK-50よりも更に小さい筐体であるから、低域は其れ相応、高域もまぁまぁだから、HiFiというよりかは、アンビエントで後ろで鳴らすのが良い印象である。(HPDの広がりが良いから今は暇を出しているが)

HK-50もメイン(MS737)に対して後ろに配置して同時に鳴らしている。

部屋で定位置で聞くというよりかは、定まった場所には居なくとも、部屋全体に届くから指向性強さを曖昧にさせられる。

その代わり音像は幾分ボケるが、ホールにいる様な広い場所らしい感じは得られる。リバーブともまた違うが、無指向性をリバーブ専用とすれば、大ホールのアンビエントらしい雰囲気には近くなるかなと思ったり。

 

前置きが長くなってしまったが、奇妙な形のイコライザの付いたフィールドスピーカーを手にする機会があったから、物好き病が出てしまったのである。

古風な設計ではあるが、出音はWide-Rangeで、聴き劣りない雰囲気である。

所謂ラジオ声かと思っていたから尚更であろうが、ダイナミック型は基本はワイドレンジなのであろう。

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10インチのユニットにしてはコイルも大きいしヨークも大きい。

vc 10Ω fc1.3k

これだけ巻いてあって1.3kだから、結構電流が流せそうである。

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50BM8シングルでvcを動かし、117N7/M7電源でfcを動かす。
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センターイコライザは木製でネジで外れる。
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キノコとは言い難い丈の長さかも知れないが、らしい感じはある。

有る無しを比較すると、無い方がかなり高い周波数迄伸びが良いが、ギャンつく。

イコライザ有りは、中高域の位相が少しズレるのか、指向性に変化あり。高い周波数が少し落ちる。

ステレオではないけども、立体感のある音に聞こえる。

バーブの強いソースが特に立体的に鳴る印象。

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センターベークダンパーであるが、±5mm位のストロークはあるか、結構軽く動く。

重い低域は出ないが豊かに鳴る。

福音の8インチフィールドかの方がドンドコしたが、ハークの様に鹿革エッジであるし、元からドンドコタイプでは無いだろう。

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試しにダンボールに納めて鳴らすと箱の裏でバランスが良い雰囲気に鳴っている。

変わった出音だから、フィルム映画用に1つ箱を誂えて、16mm映画でも見てみようかな(o^^o)

 

ps:RCA Victorの電蓄に入っていたのがこのユニットであったのを見た事があったのだが、実際の所、このユニットには特に表記がなく、“RCD RL-2A”と刻印があるだけであった。